映画「ジャンゴ 繋がれざる者」あらすじ、感想【ディカプリオが怪我?白熱の演技合戦!】

ジャンゴ 繋がれざる者

2012年公開。クエンティン・タランティーノ監督による7作目です。

他の西部劇映画ではまず描かれない黒人奴隷問題という、アメリカ史上最大のアンタッチャブルに切り込んでいる映画なんですが、そんなお堅い感じじゃなくスカッとするエンターテイメント復讐劇になってます。

前作イングロリアス・バスターズでは最狂に恐ろしいナチス軍人を演じたクリストフ・ヴァルツが、今作品ではめちゃくちゃ良い人キャラで出てきますよ!相変わらず素晴らしい演技力で渋い存在感を放っておりましたw

本記事ではあらすじ、キャスト・スタッフ情報の他に、個人的な感想、視聴方法も記載しています。

ジャンル:アクションヒューマンドラマ
作品時間:165分

作品情報

  • 脚本賞 – クエンティン・タランティーノ[受賞]
  • 助演男優賞 – クリストフ・ヴァルツ[受賞]
  • 作品賞
  • 撮影賞 – ロバート・リチャードソン
  • 音響編集賞 – ワイリー・ステイトマン

タランティーノ監督はアカデミー賞でパルプ・フィクション以来2度目の脚本賞を受賞しました。ちなみにタランティーノ作品でアカデミー賞を受賞した唯一の役者がクリストフ・ヴァルツです。イングロリアス・バスターズに続いてこちらも2度目の受賞となります。本当に演技が上手な方ですね!

タランティーノ作品一覧はこちら↓

あらすじ

南北戦争直前のアメリカ南部。黒人奴隷ジャンゴは、ドイツ人賞金稼ぎの歯科医キング・シュルツにある縁で助けられる。シュルツはジャンゴを白人と対等に扱い、相棒として賞金稼ぎとしての生き方を教えていく。そしてジャンゴの生き別れた妻ブルームヒルダを助ける為に、奴隷商人のフリをして黒人の酷使で有名な農園領主カルビン・キャンディの屋敷へと向かう・・・。果たして2人はブルームヒルダを助けられるのか?

キャスト、スタッフ

監督・脚本 – クエンティン・タランティーノ
撮影 – ロバート・リチャードソン
編集 – フレッド・ラスキン

ジャンゴ・フリーマン – ジェイミー・フォックス
ドクター・キング・シュルツ – クリストフ・ヴァルツ
カルビン・J・キャンディ – レオナルド・ディカプリオ
ブルームヒルダ・ヴォン・シャフト – ケリー・ワシントン

スティーヴン – サミュエル・L・ジャクソン

ビリー・クラッシュ – ウォルトン・ゴギンズ
スペンサー・”ビッグ・ダディ”・ベネット – ドン・ジョンソン
ララ・リー・キャンディ – ローラ・カユーテ
レオニード・モギー – デニス・クリストファー

ランディ – ジョナ・ヒル
カーティス – ブルース・ダーン

アメリゴ・バセッピィ – フランコ・ネロ

フランコ・ネロは今作品がオマージュしている元ネタ続・荒野の用心棒(邦題)という映画で主人公ジャンゴを演じた、イタリア西部劇映画・・・俗に言われるマカロニ・ウェスタンの代表的俳優です。今作品ではカメオ出演してくれています!

※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。

 

 

感想

  • クリストフ・ヴァルツの独壇場!
  • 2時間45分が長く感じない最高の脚本
  • どうしても霞んだジェイミー・フォックス

たった2作品で世界を獲った最高の役者

クリストフ・ヴァルツの発掘はタランティーノ最大の功績になるかもしれない。

こんな事を言っても過言にならない程、素晴らしい俳優だ。ドイツ語、英語、フランス語を巧みに使いこなし、全盛期のロバート・デニーロのような圧倒的な存在感を放っている。もはやこの方が出る映画は、どう主役を食ってるか?を楽しむレベル・・・あまりにも魅力的すぎる。

タランティーノの前作・イングロリアス・バスターズでは悪役、そして今作品では完全なる善玉・・・その真逆のキャラクターでどちらもアカデミー助演男優賞をかっさらっている。コメディタッチの演技からシリアスなのもお手の物、ヒール顔なのに目は優しく、ブリティッシュな貴族的な品格を帯びているかと思いきや、育ちの悪そうなニヤけ面・・・僕の中ではエドワード・ノートン以来の衝撃だ。

褒め倒してるけど、それでも足らないくらい最高の役者である。

で、こんなにも素晴らしいクリストフ・ヴァルツが冒頭からクライマックスに入るまで物語を引っ張っていく。大変申し訳ないけど、主役のジェイミー・フォックスはずーっと食われている。誤解してほしくないのは別に彼だって悪くはない・・・ただ、あまりにもクリストフ・ヴァルツがすごすぎただけなんだ。

もはや「あのシーンが良かった!このシーンが上手だった!」とか細かい事を言う気にもならない、全て完璧だった。

確かに今作品はそもそもストーリーが面白く、よく出来ていると思う。が、このクリストフ・ヴァルツの独壇場を見るだけでも十分すぎるほどの価値がある。

ここに加えて悪役のディカプリオサミュエル・L・ジャクソンが出てくるんだ。何なんだ、この映画は!

ディカプリオが本当に怪我をした?

クリストフ・ヴァルツの独壇場が続く中、とうとう中盤からディカプリオが登場する。

歳を重ねるごとに渋くなっていく我らがディカプリオ・・・このお方もまた最高だった。まるでやばい薬物でもやってるんじゃないかと思わせる眼力は、完全に極悪人の表情・・・ウルフ・オブ・ウォールストリートのラストシーンに匹敵・・・いや、もっと悪い顔つきでジャンゴシュルツに対峙する。

物語の後半、ディカプリオが演じるカルビンは黒人差別を全面に押し出した狂気の演説後、テーブルを強く叩き叫ぶ。そしてカルビンはテーブルを叩いた衝撃で真っ赤な血に染まった自分の手を見つつ「くそが、きっちまったぜ」的な表情でタバコに火をつける。実はこの時、ディカプリオは本当に手を切っており、のちに縫っているそうな・・・。じゃあ何故カメラは止まらなかったのか?タランティーノ監督は、あまりにも迫力のあるディカプリオの演技に押され、演技を止めずカメラも回し続けたそうだ。

頭がおかしいw

怪我をしても瞬時にアドリブをいれて演技を続けたディカプリオはもちろん、カメラを回し続けたタランティーノ監督も相当イッてるが、何よりもそこにいた全役者が当たり前のように演技を続けている事だ。

こんな映画馬鹿たちを愛さないわけがない・・・おかげで尋常じゃないほど緊張感のあるシーンになっているので、是非自身で観て欲しい。

ジェイミー・フォックスは悪くない

クリストフ・ヴァルツの独壇場からディカプリオによる驚嘆の演技・・・

これに加えて後半~クライマックスはダメ押しのサミュエル・L・ジャクソンまで参戦してくる。彼らが同じ画面に映っているだけでも脳汁が出るのに、もはや演技合戦状態だ。今作品はクリストフ・ヴァルツディカプリオサミュエル・L・ジャクソンの3人の演技を楽しむ映画と言っても全く過言ではない。しかも脚本まで最高ときてる。

にもかかわらず・・・クライマックスがいまいちに感じてしまった。

このクライマックスは日常的に差別されてきた黒人のジャンゴが、シュルツの教育によって得たガンマン技術で悪党白人をバカスカと撃ち殺していくという、展開的にも「やっちゃえやっちゃえ~!」と、カタルシスを感じる作りになっている。

ジャンゴを演じるジェイミー・フォックスだってめっちゃかっこいいんだ。

なのに、ちょっとトーンダウンしてしまうのは・・・前述した3人が素晴らしすぎるからだろう。特にクリストフ・ヴァルツ・・・彼はあまりにも主役を食いすぎた。

ただ、それでもカタルシスが成立したのは、サミュエル・L・ジャクソンが本当にむかつく演技をしてくれたからだと思う。まるでバック・トゥ・ザ・フューチャー2の未来のビフみたいな演技で、本当にイラつくキャラクターだったからラストはしっかりスカッとさせてくれた。確かにクライマックスからのいまいち感は否めない。しかし、それはクライマックス手前までが面白すぎたからだ。

今作品はクリストフ・ヴァルツが最高の演技で物語を引っ張り、タランティーノが最高の脚本を書いたのが悪い。決してジェイミー・フォックスが悪かったわけじゃない。(と、思う。)

評価、視聴方法

オマージュした元ネタの西部劇映画とは?

まずは続・荒野の用心棒(原題Django)ですね。

上記の作品で主役を演じたフランコ・ネロは今作品のあるシーンでカメオ出演しています。

他にも雪原のシーンでは殺しが静かにやって来るのオマージュだとタランティーノ監督は語っていますね。確かにあの雪原シーン前後は少し唐突感があったように思いました。それさえもタランティーノらしい不器用感がでていて好感もっちゃいましたけどねwただ今作品に限りませんが、タランティーノ作品を観る時はこうした元ネタなんてあまり気にしなくていいです。

昨今、映画界はMCUが流行ってますよね。あれってスパイダーマンやアイアンマンというマーベルのキャラクターが、一緒に出演してるという点が面白い要素の1つになってるじゃないですか?次は誰と誰が共演するんだろう?というワクワク感、こうしたクロスオーバーは楽しいですよね!でも別にキャラクターを知らなくたって面白いじゃないですか?

タランティーノ監督も同じ事をしてるだけなんです。自分の好きな映画のシーンやキャラクター、プロット、そして役者を自身の作品で色々クロスオーバーしてるだけなので、そっとしておいてあげてくださいw

というわけで、タランティーノ監督の他作品!どれもこれも面白い傑作ばかりなのでオススメです。

「ジャンゴ 繋がれざる者」の視聴方法

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今作品が面白かったなら、まずはイングロリアス・バスターズだと思います。クリストフ・ヴァルツにもっとハマると思いますよ!

では、良き映画の時間をお過ごしください。