映画「レザボア・ドッグス」あらすじ、感想【至極のオープニングと素晴らしい選曲たち】

レザボア・ドッグス

奇才クエンティン・タランティーノによる第1回監督作品。

92年の作品ながら素晴らしい脚本とプロットで、今でも語り継がれる傑作クライムムービーです。

オープニングのカフェシーンにて、マドンナの代表曲「ライク・ア・ヴァージン」について馬鹿馬鹿しい解釈の話をしていますが、タランティーノは後にマドンナ自身からダメ出しされたそうですよw

本記事ではキャスト情報や視聴方法の他に、オープニングや作中に使われた素晴らしい音楽の紹介、ラストシーンでエディ(クリス・ペン)を撃ったのが誰なのか?なども交えて感想を書いてます。

ジャンル:クライムサスペンス
作品時間:99分

作品情報

大きな受賞はしてませんが、2005年にイギリスの映画雑誌「Empire」が発表したインディペンデント映画ベスト50にて堂々たる1位を獲得しています。

タランティーノは映画通と自称していて、本当にB級・・・いえ、C級映画までも網羅している方。

日本映画も異常なまでに詳しく、今作品は仁義なき戦いに影響を受けたと公言しています。その為、日本で発売されたビデオでは「仁義なき男たち」というキャッチコピーがつけられ、仁義なき戦いの監督・深作欣二が推薦コメントまで出してます。

タランティーノ作品一覧はこちら↓

あらすじ

強盗の為に集められた6人の男たち・・・色を使ったコードネームで呼び合っている彼らはお互いの素性を知らない中、宝石強盗計画を企んでいた。しかしこの計画は警察が事前に把握しており失敗に終わり、Mr.ホワイトと重傷を負ったMr.オレンジは命からがらアジトに逃げ帰る。そこにMr.ピンクも到着し「この中に裏切り者がいる」と言い始めるが・・・果たして裏切り者とは誰なのか?

キャスト、スタッフ

監督 – クエンティン・タランティーノ
製作 – ローレンス・ベンダー
製作総指揮 – リチャード・N・グラッドスタイン、モンテ・ヘルマン、ロンナ・B・ウォーレス
製作補 – ハーヴェイ・カイテル

主題歌 – ジョージ・ベイカー「リトル・グリーン・バッグ」

ミスター・ホワイト – ハーヴェイ・カイテル
ミスター・オレンジ – ティム・ロス
ミスター・ブロンド – マイケル・マドセン
ミスター・ピンク – スティーヴ・ブシェミ
ミスター・ブルー – エディ・バンカー
ミスター・ブラウン – クエンティン・タランティーノ

エディ・キャボット – クリス・ペン
ジョー・キャボット – ローレンス・ティアニー

ホールダウェイ – ランディ・ブルックス
マーヴィン・ナッシュ – カーク・バルツ

DJ K-ビリー – スティーブン・ライト

主役のハーヴェイ・カイテルがタランティーノの脚本を気に入り、製作総指揮を申し出た事で今作品は実現しました。

ちなみにエディを演じたクリス・ペンはもう他界してしまいましたが、ショーン・ペンの弟さんですよ!

※ここからはネタバレがあるのでご注意ください。

 

 

感想

  • オープニング10分がかっこよすぎる
  • 作品の軸はしょーもない無駄話
  • 笑ってしまう拷問シーンは秀逸

脚本が!プロットが!とかじゃない

いや、よく出来てる映画だけど、この作品はそういう話じゃない。

タランティーノ監督はシネフィル・・・つまり映画通と自称しているが、今作品を観れば彼が本当に映画を好きなんだと一発でわかる。理由は映画らしいかっこよさが詰まっている作品だからだ。

乱暴に言えばオープニング10分以降の本編なんて正直どうでもいい!

というのは言い過ぎたけど、とにかく音楽、映像、俳優たちの表情からセリフ回し、美術(服装)と何もかもがカッコイイんだ。こんなシーンいいよな~ワクワクするよな~というタランティーノ監督の妄想みたいなモノがすごく感じられる。そしてそれが映画好きにはすごく嬉しいんだよね。

もちろん脚本やプロットがしっかりしているからこそ面白い映画になってるんだけど、それはもう前提ってだけで今作品の真髄はタランティーノが描くカッコイイやつら・・・つまりレザボア・ドッグス。ちなみにこのタイトルの意味には諸説あって、タランティーノはインタビューで「雰囲気を重視し、あえて幅広く解釈出来るような題名にした」と答えているので、重視したのは深い意味とかよりもやはりカッコよさなんだ。

レザボア・ドッグスの意味
“Reservoir”とは貯水池、貯蔵、蓄積などを表すフランス語が語源となっている単語。reservoir(酒の貯蔵庫-酒場)に群がる犬(不良)から「たまり場の男たち、盛り場の不良ども」という意味。

僕はこの説が好き。だってまさに冒頭のオープニングじゃないか。

マドンナのライク・ア・ヴァージンは巨根好きの女の歌だとか、トビーなんちゃらの話に1ドルのチップは払いたくないだのwマジでしょーもなく、くっだらない会話をしているワル達の食事風景を垂れ流し、そこからDJ K-ビリーのナレーションで流れ始めるジョージ・ベイカーの「リトル・グリーン・バッグ

冒頭10分だけでここまで心を掴んでくる映画が初監督作品・・・タランティーノどんだけだよ!

間違いなく映画史上最高峰のオープニングだ。

タランティーノ独特の無駄な会話

本当タランティーノ作品には無駄な会話が多い。

中にはこの人の無駄話シーンをあまり好まない人もいるね。ストーリーに一切関係ない話だから苦手な人達の言いたい事もわからなくはないんだけど、無駄話は決して無駄ではないし、むしろタランティーノ作品では軸になっていると僕は思う。

今作品でいえばメインキャストである強盗実行犯6人とキャボット親子はまさに不良だよね。こうした街の不良たちはしょーもない無駄話をするのがかっこいいと思っている。ミスター・ホワイトが倉庫でタバコを吸う時にジッポの火を何が何でもフィンガースナップ(日本でいう指パッチン)でつけようとしたのも、ミスター・ピンクがコードネームはパープルがいいと駄々こねるのも、全部かっこいいと思ってるからだ。

確かにストーリーの軸には何も関係がないけど、登場人物のディティールにおいては必要不可欠じゃない?変なところで意地張ったり、どうでもいい事に美徳を持ってる少し子供じみた不良の性質をしっかり描いた素晴らしい脚本と演出だと思うよ。

こういうしょーもない不良が持つ泥臭いかっこよさ・・・タランティーノ監督は大好きなんだろね。パルプ・フィクションジャッキー・ブラウン、最近だとヘイトフル・エイトとかも全部そんな奴らばかり描いてるしw

そして僕もそんなタランティーのが描く不良たちが大好きだ。

好きなシーンは人によって結構わかれる?

皆はどのシーンが一番好きなんだろう?

やっぱりオープニングって人が一番多いのかな。前述したように僕もオープニングは素晴らしいと思うんだけど、一番好きなシーンってなるとマイケル・マドセン演じるミスター・ブロンドの拷問シーン

スティーラーズホイールの「スタック・イン・ザ・ミドル・ウィズ・ユー」がかかる中、ノリノリで耳を切り落とすマドセンさんは最高だった。しかも1度外に出て音が遠のき、少しの間だけ現実の世界を描く。そこからもう1度戻った時、倉庫に響くマーヴィンのうめき声と、肩を揺らしながら近づくミスター・ブロンドの映像は異常な怖さを醸し出す。

こんなイカれたシーンなのに終始ポップな曲が流れているというのがあまりにもミスマッチだから、怖さもあるけど少し笑えてきちゃうんだよね。

ちなみにこんな曲だよ↓↓

実に映画らしいテンションのあがる音だ。

タランティーノ作品は共通して選曲が本当に素晴らしいし、個人的に非常に好み。本記事を書くにあたって久しぶりに今作品を鑑賞したけど、映画において音楽って本当に大切だと改めて感じたね。

やっぱりタランティーノ作品は面白い。

ちなみにこういうオールディーズな雰囲気の音が好きな人はガイ・リッチー監督のスナッチもオススメだよ。

評価、視聴方法

最後にエディ(クリス・ペン)を撃ったのは誰?

ジョー、ミスター・ホワイト、エディの3者が銃を向け合い、息をのむラストシーン・・・銃撃が始まると全員倒れますがエディには誰も銃口を向けていませんでしたよね。銃口が向いていた方向は下記の通り。

  • ジョー → ミスター・オレンジ
  • ミスター・ホワイト → ジョー
  • エディ → ミスター・ホワイト

実はこれ、当初の予定ではホワイトがジョーを撃った後に被弾しながらもエディを撃つという流れになっていたそうですが、エディ役のクリス・ペンの衣装に仕掛けられた火薬が暴発してしまったそうです。しかしリテイクする時間がなく、結局このままでいこうとなったみたいですね。

結構致命的なミスだと思うんですけど、それでも今作品を名作と言う人が多いのは間違いなくシンプルに面白いからでしょうね。タランティーノならではの無駄話演出選曲センス・・・これは彼の映画を愛する想いからくる努力の賜物と言えるんじゃないかと僕は思います!

タランティーノ作品はどれも面白いので全部オススメですよ。

「レザボア・ドッグス」の視聴方法

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タランティーノ作品は映画っていいな~と思わせてくれる仕掛けと魅力がつまっているので、92年と古い作品ですが世代じゃない若い人ほど、このレザボア・ドッグスは観て欲しいと思いますね!

では、良き映画の時間をお過ごしください。