映画「ヘイトフル・エイト」あらすじ、感想【タランティーノは外れ無し】

ヘイトフル・エイト

2015年に公開。奇人クエンティン・タランティーノ監督の8本目となる密室系ミステリー作品。

今作も渋いタランティーノ節がさく裂していて、相変わらず緩急のある良い意味で”変な”映画に仕上がってます。映画好きにはたまらない作品ですね。

作品情報

アカデミー賞もっと取ってもおかしくない良作なんですけどね。

  • 作曲賞 エンニオ・モリコーネ 受賞
  • 助演女優賞 ジェニファー・ジェイソン・リー ノミネート
  • 撮影賞 ロバート・リチャードソン ノミネート

タラさんの映画はいつも万人受けしないのでご愛敬でしょうか。

あらすじ

猛吹雪の夜、ロッジに閉じ込められた7人の男とひとりの女。
全員がワケありで見るからに怪しげだが、特に目を引くのは手錠で腕をつなぎあった男女だ。
男は賞金稼ぎで、1万ドルの懸賞金のかけられた重罪犯でお尋ね者の女を連行する途中だった。
ロッジに流れる不穏な空気から男は、この中に女の仲間がいるのではないかと警戒する。
やがて偶然集まったかに見えた8人の過去が重なりはじめ、互いの疑心暗鬼が頂点に達したとき、最初の死体が出る。
しかしそれは、予測不能な密室殺人事件のはじまりに過ぎなかった―。(引用:amazon)

HATEFUL8

amazonより

キャスト、スタッフ

サミュエル・L・ジャクソン
カート・ラッセル
ジェニファー・ジェイソン・リー
ウォルトン・ゴギンズ
デミアン・ビチル
ティム・ロス
マイケル・マドセン
ブルース・ダーン

【スタッフ】
監督・脚本:クエンティン・タランティーノ
製作:リチャード・N・グラッドスタイン、ステイシー・シェア、シャノン・マッキントッシュ
製作総指揮:ジョージア・カカンデス

その他に、音楽は西部劇映画を数多く手がけてきたイタリアのエンニオ・モリコーネが作曲。美術監督にキル・ビル以降、世界で引っ張りだこの種田陽平。と、制作陣も渋いメンツが揃っております。

 

ここからはネタバレ有りの感想になるのでご注意くださいな。

 

 

 

 

感想

  • セリフがいちいちかっこいい
  • 美術とロケーションがすごすぎ!
  • 中盤以降の畳みかけはやっぱりタランティーノ

もはや小説、役者陣の会話だけで楽しめる

タランティーノ監督はキル・ビルで当時話題になったので日本でも知名度は高い。が、いざ他作品も観た事あるか?と聞くとキル・ビル以外は知らない人が多い。その理由は作風がコアに感じやすいからだと思うが、実際に観てみるといつも映画の中身は濁り混じりっけなしの古典であり、しかもそれをサラッとやってのけている。

今回のヘイトフル・エイトも極上の密室系ミステリーとしてシンプルに面白い作品であった。

序盤からサミュエル・L・ジャクソンを中心に落語のような会話が展開し、全てを語るわけでもなく綺麗に登場人物と状況を紹介していく監督としての腕前には感心の連続だ。そんなタランティーノのやり方を知っていてもワクワクするんだから参ったものである。

序盤はまさに嵐の前の静けさそのもので、ついひとつひとつのセリフの裏を読もうと考えながら観てしまったが、それこそがタランティーノの罠なのだろうね。物語が大きく転機を迎える頃にはドップリその世界観に浸かってる自分がいるんだ。

人によっては序盤退屈に感じてしまう人がいるかもしれない。何故なら物語自体はただただ渋いオジサンたちが渋い会話をし続けているだけなのだから。映画が好きすぎて頭がおかしくなっている僕みたいな人はケラケラ笑いながら観てるのだが、客観的にみたら描きすぎと言われても仕方ないかもしれない。でもどうか中盤まで我慢してほしい。中盤からは映画のテンポ、そして空気がガラっと変わってくるので、退屈だった人でもかなり引き込まれると思う。しかも、序盤のセリフは全て中盤以降に紐づいているし、まさに布石となっている。加えて、カート・ラッセルの存在感ジェニファー・ジェイソン・リーの表情なども含め、役者陣の面白い掛け合いは映画史でも屈指といっても過言ではないシーンの連続なので必見である。

こんなかっこよく、くだらない会話はそうそうない。タラさん、いつもありがとうございます!

※ちなみにこの映画には他の映画を観ていると楽しめるギミックがちらほらありますが、ただのタランティーノの良き悪ふざけなので放っておいてください。

エンニオ・モリコーネの作る音

エンニオ・モリコーネ、知らない人も多いかもしれないが西部劇映画の音楽を数多く手がけてきたレジェンドの一人。

名作ではよくあるが挿入歌があまりにも映像にフィットしすぎていて、観ている人が意識もせず聞き流している時がある。このエンニオ・モリコーネは今作品においてもかなり”丁度良い“音を作っていて、それが時に自然すぎて気付かないレベルの時もあれば、物語を盛り上げる一役を担っている時もある。そしてそれらを採用し作品内に配置しているタランティーノ監督もはやり素晴らしい。

特に中盤のサミュエル演じるマーキスが、ブルース・ダーン演じる将軍を煽り散らかすシーンは何回も観たくなるね。もちろん役者の演技や薄暗い映像など全てが絡み合って完璧だが、中でも挿入されるBGMは下手な小手先のテクニックなど一切なし、静かな会話のシーンではあるけど今作品の見せ場の一つだろう。

とにかく映画全体に染み込むような、ミステリー作品に一番合う音をもってきている。エンニオ・モリコーネ、おそるべし。

評価

今作品は黒人差別があーだこーだとか”長いから”つまらないという批判的な意見や、元ネタを知ってなきゃ・・・みたいな映画ソムリエが結構いるようだけど、全部ひっくるめて気にしなくていいです。

というか、タランティーノ作品はいつもこんな感じですから!!

映画が好きすぎて頭がおかしくなっているタラさんは、いつも映画で遊びを入れてくれるし万人受けするような超わかりやすい映画なんて撮った事ない。ただシンプルに変な人達の変な物語を描くのが天才的にうまい、それがタランティーノさんなんです。むしろ今作品は思っていた以上にちゃんとしたミステリー作品だったので逆に驚いたし、その上バイオレンスな描画もあるので観終わったあとはアクション大作でも観たかのような感覚にさせてくる。細かい事を言えば本来70mmでの撮影だとか色々タラさんのこだわりがあるんだけど、とにかく細かい事は置いといて秀逸なミステリーを楽しむのが正解かと思います。

これぞ、映画これぞミステリー!と再確認させられるような素晴らしい作品ですから、一度はご賞味あれ。

では、良き映画の時間をお過ごしください。