映画「チア☆ダン」あらすじ、感想【広瀬すず主演!実話モデルの高校は?】

チア☆ダン

正式タイトルは「チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~

元ネタは2009年に福井県立福井商業高等学校のチアリーダー部JETS。本場アメリカのチアダンス選手権大会で優勝した実際のお話を描いたノンフィクション映画です。かなりオーソドックスな青春ドラマでキャストも主演の広瀬すずを筆頭に若手が沢山出てますね。

本記事ではあらすじや感想を中心に、視聴方法なども書いています。

ただ今作品が好きな人には申し訳ないですが・・・今回は酷評してるのでご了承の上お読みください。

ジャンル:青春ノンフィクション
作品時間:120分

作品情報

監督は鈴木先生俺物語!!ニセコイなど青春・恋愛モノをよく撮っている河合勇人堤幸彦本広克行などの作品で何度も助監督をやっている方です。

第41回日本アカデミー賞では中条あやみ新人俳優賞を受賞しましたが、残念ながら作品自体はあまり評価が高いとは言えず、他の受賞は特にありませんでした。

あらすじ

県立福井中央高校に入学した友永ひかり(広瀬すず)は、中学からの同級生でサッカー部の孝介(真剣佑)を応援したい為だけにチアダンス部へ入部する。しかし彼女を待ち受けていたのは、顧問の女教師・早乙女薫子(天海祐希)による超厳しいスパルタ指導だった。早々に周りが退部していく中、チームメイトで部長の彩乃(中条あやみ)と共に全米大会制覇を目指す。失敗やチーム内の確執もありつつ、メンバー全員がまとまっていく様を描くピカピカした青春ドラマ。普通の女子高生たちの夢への挑戦が今始まる・・・。

キャスト、スタッフ

監督 – 河合勇人
脚本 – 林民夫

友永ひかり – 広瀬すず
玉置彩乃 – 中条あやみ

紀藤唯 – 山崎紘菜
東多恵子 – 富田望生
永井あゆみ – 福原遥
村上麗華 – 柳ゆり菜
絵里南乃 – 彩希

山下孝介 – 新田真剣佑
矢代浩 – 伊藤健太郎

ひかりの父 – 木下隆行(TKO)
ひかりの母(写真) – 鈴木杏/ノンクレジット

校長 – きたろう
早乙女薫子 – 天海祐希

新田真剣佑と伊藤健太郎は最近ドラマなどでも引っ張りだこになってきましたね。ちなみに一番驚いたキャスティングは写真のみですが、鈴木杏でしたw

※ここからはネタバレがあるのでご注意ください。

 

 

感想

  • もっと面白くできたはず・・・
  • 広瀬すずのずば抜けた存在感
  • 監督が違ったらどうなっただろう?

冒頭のつかみが失敗している

いきなり叩いて申し訳ないけど、今作品はまず・・・スタート導入部分が致命的に失敗している。

はじめに主人公のひかりが普通の女子高生だという事をパパッと描き、すぐにスパルタ先生役の早乙女薫子(天海祐希)を登場・・・。監督はこの早乙女先生の登場シーンをつかみに持ってきたつもりなんだろうけど、ここがいきなりすべっている。

彼女の車のナンバーは4598だからか、生徒たちから地獄や(4598)=地獄先生と恐れられてるんだけど、この地獄先生とかいうパワーワード、まさかのその後一切出てこないという・・・。この直後にくる地獄先生の「目標は全米制覇!」と語る演説シーンも全く怖くない上に、そんな地獄先生に軽々と逆らい部をやめていく先輩たち・・・もはやどこにもスパルタ感はない。

主要キャストに広瀬すず中条あやみという綺麗目の2トップがいるので、この先どうなっていくんだろう?彼女達がどんなダンスをするんだろう?という期待感はあるんだけど、逆に言えばそれ以外の期待値がほぼ無い。導入部分であるこの冒頭で、登場人物たちの人間関係や早乙女先生の背景、先輩部員がやる気をなくしてしまった理由などが全て雑に描かれているせいで全く感情移入ができない作りになっている。

間違いなくここはもっと丁寧に演出した方が良かったと思う。

広瀬すずなんて若手女優の中でもS級の人気を誇るし、他の役者さんだって誰も決して変な演技をしているわけではない。極端な事を言えばこうした青春映画において圧倒的な演技力なんて言うほど求めてないわけで、むしろ観たいのはただ一つ・・・はじめやる気が無かったキャラクター達が”ある出来事“をキッカケに一丸となって夢に突っ走っていく勢いのある映像だ。

その超大切なある出来事・・・それは間違いなく地獄先生こと早乙女先生の存在なのに、こんなインパクトの無い登場から悲しいくらい雑な演出をしてしまったのは致命的としか言いようがない。

その後の展開も突っ込みどころが多い今作品・・・脚本、演出、構成と何がまずかったかそこまで言及する気はないけど、映画が面白いかどうかは全て監督の手腕であり責任だと僕は思っている。

残念ながら僕は面白い映画と思えなかったよ。

広瀬すずの存在感

作品が好きな人には辛いレビューとなったかもしれないけど、主役の広瀬すずは素晴らしかった。

正確には彼女と伊藤健太郎、この2人の演技は頭1つ抜けていたように思う。特に広瀬すずはどんな映画でも圧倒的な存在感を放つが、それは容姿が際立っているだけではなく、そもそもの演技力がずば抜けているところにある。

アカデミー賞では中条あやみが新人俳優賞を受賞しているけど、特に今作品で演技力が光っていたとは言い難いし、正直なところ今後への期待により受賞した事は否めない。一方、広瀬すずはしっかりと友永ひかりというキャラクターになりきっていて全く違和感はなかった。ただ彼女の1人飛びぬけた演技力こそが、余計まわりを大根役者に見せてしまったかもしれない。

天海祐希だって、本来こうしたスパルタ教師なんてハマり役なんだけど少し見飽きたというか・・・真新しさが全くないんだよね。はっきり言うけど、早乙女先生というキャラクター設定からキャスティングしたような安直さが伺える。

興行的な映画と言わざるを得ない今作品だが、そんな中でもしっかりと細かい部分まで丁寧に演じきった広瀬すずは称賛されるべきだし、レビューサイトで高評価の人も結構いるのは間違いなく彼女のおかげだろう。

制作関係者、スタッフは広瀬すずという女優に多大な感謝をすべき。

矢口史靖に撮ってほしかった

河合勇人監督がやりたかった事はよくわかる。

普通の学生たちが苦楽を共にして一つの目標に向かい突っ走る!というような極めてオーソドックスな青春映画を目指したのだろう。そして今回の元ネタである福井商業高校のチアリーダー部JETSが全米制覇したというお話は紛れもなく100点満点の素材だった。なのに非常に残念な作品になった理由は一言でいえば演出が雑という事だと僕は思う。

こうした青春ドラマを得意とする映画監督が1人いる・・・それは矢口史靖

代表的な作品を連ねてみたけど、これだけで僕の言いたい事は伝わるんじゃなかろうか?若者の青春ドラマを撮らせたら日本随一のレベル、わかりやすくポップな作風なのに、内容やディティールは毎回しっかりしたものがあって映画として面白い作品を量産している。一番コンセプトが似てるスウィングガールズでも観て比較すればわかるはず・・・間違いなく今作品に求めていた面白さを感じられると思う。

正直、今作品はかなり酷評してるけど、天海祐希広瀬すずが抱き合うシーンにはウルウルきたし、伊藤健太郎の素朴な表情には感心したんだ。メンバーたちのダンスだって尋常ではない努力が垣間見えるし、もちろん称賛に値する。でも、だからこそもっと丁寧に作品を作ってほしかったし、どうしても矢口さんが撮っていたら・・・とよぎってしまった。

河合勇人監督には悪いが、改めて映画において監督の大切さを再認識する作品だったと僕は思う。

評価、視聴方法

今作品を一言でまとめるならば「もったいない」

元ネタの題材がまさに映画的な素晴らしい実話なだけに非常に悔やまれます。

今作品は冒頭のつかみから失敗していると書きましたが、クライマックスのダンスシーンでもアメリカ人のチープな実況嘘くさい歓声を入れたあたりは正直理解に苦しみます。何だったら定点カメラで一切の無駄な演出を省き、ノーカットでダンスを流した方が良かったのでは?と思ってしまいましたね。

細かい部分を言えば最後のダンスを観ている人達も音楽にノリノリの人がいる横で、圧巻のダンスに目が点になっている子供がいたりとか・・・現場で「子供達は呆然としてる感じにしよう!」などと演出したのかわかりませんが、こういう細かい部分の粗雑さの積み重ねによりクライマックスのダンスシーンがブレて盛り下がってしまった要因の1つだと感じました。

あるレビューコメントで「時間がなく飛ばし飛ばしで30分くらいしか観てませんが良かったです」という見方によってはアンチの書き込みにもとれる星5評価を見かけましたが、雑に観て絶賛するというのは作品に対して、監督や制作陣、キャストの方々にも失礼にあたるように思います。少なくとも映画を愛してやまない僕は悲しい気持ちになりました・・・。

色々好き勝手書きましたけど、誤解してほしくないのは河合勇人監督の事が嫌いとかじゃないんです。脚本家・古沢良太とタッグを組んで撮った鈴木先生は個人的に好きな作品でしたし・・・どうか次は懇切丁寧に映画を撮っていただきたいですね。次回作、期待しております!

「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」の視聴方法

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広瀬すず出演作品なら海街diary怒りなどもレビューしてるので、良かったら是非映画も鑑賞の上、読んでみて欲しいです!

では、良き映画の時間をお過ごしください。