映画「WOOD JOB!」あらすじ、感想【ロケ地はどこ?矢口監督の傑作】

WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜

2014年公開。正式タイトルは「WOOD JOB!~神去なあなあ日常~」

原作は舟を編むや、まほろ駅前多田便利軒三浦しをん先生による青春小説「神去なあなあ日常」です。それをウォーターボーイズスウィングガールズ矢口史靖監督がライト層でも楽しめる素晴らしい映画に仕上げてくれました。

今作品は林業を描いてますが一切堅苦しさは無く、ノンビリとしたヒューマンドラマなのにテンポが良いので非常に観やすいと思います。ちなみにロケ地は三重県津市美杉町、古き良き日本の素晴らしい景色が広がっている場所で、現地には今作品の記念館もあるので、機会があれば行ってみるのもいいかもしれません!

本記事ではあらすじ、キャスト・スタッフ情報の他に、個人的な感想、視聴方法も記載しています。

ジャンル:青春ヒューマンドラマ
作品時間:116分

作品情報

  • 第18回富川国際ファンタスティック映画祭 – NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)
  • 第38回日本アカデミー賞 – 助演男優賞/伊藤英明
  • 第69回毎日映画コンクール – 男優助演賞/伊藤英明
  • 第10回おおさかシネマフェスティバル – 2014年度ベストテン第9位

もっと評価されていいと思うんですけどね・・・。矢口監督はいつも観やすく誰も傷つけない素敵な映画を作ってくれるので大好きな監督の1人です!名前は知らない人でも観た事ある映画があるんじゃないでしょうか?

ちなみに矢口史靖監督の作品一覧はこちら↓

  1. 1993年 – 裸足のピクニック
  2. 1997年 – ひみつの花園
  3. 1999年 – アドレナリンドライブ
  4. 2001年 – ウォーターボーイズ
  5. 2002年 – パルコフィクション(※鈴木卓爾とのオムニバス作品)
  6. 2004年 – スウィングガールズ
  7. 2007年 – 歌謡曲だよ、人生は(※第9話のみ)
  8. 2008年 – ハッピーフライト
  9. 2012年 – ロボジー
  10. 2014年 – WOOD JOB! 〜神去なあなあ日常〜
  11. 2017年 – サバイバルファミリー
  12. 2019年 – ダンスウィズミー

あらすじ

どこにでもいるような都会の若者・平野勇気は大学受験に失敗し、ひょんな事から林業の仕事をする為に電波も届かない田舎に行く事になる。はじめは過酷な山仕事でやる気もなく逃げ出そうとしていた勇気だったが、雄大な自然に囲まれた中で山で生きる人達と触れ合っていくうちに少しずつ魅了されていく・・・。都会では味わえない経験を通して勇気が得たものとは一体?

キャスト、スタッフ

原作 – 三浦しをん 「神去なあなあ日常」
監督・脚本 – 矢口史靖
主題歌 – マイア・ヒラサワ 「Happiest Fool」

平野勇気 – 染谷将太
石井直紀 – 長澤まさみ

飯田与喜(よき) – 伊藤英明
飯田みき – 優香

中村清一 – 光石研
中村祐子 – 西田尚美
小山三郎 – 有福正志
田辺巌 – マキタスポーツ

林業組合専務 – 近藤芳正
山根利郎 – 柄本明

主演の染谷将太も素晴らしかったんですが、今作品は脇役の皆さんが素晴らしすぎます。中でも伊藤英明がずばぬけて輝いていますよ!

※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。

 

 

感想

  • 観ていて心地よさがある映画
  • 人を選ばない面白さ
  • めっちゃくちゃ心地の良いエンドロール

笑えて学べる絶妙な緩急のバランス

今作品は映画の良さをたくさん感じる事ができる。

まず特筆すべきは役者陣!素敵な演技を撮るのは監督の手腕が問われると思うけど、出てくる登場人物が根こそぎ名演技で、中でも伊藤英明与喜というキャラクターがかなり合っていたのか最高に光っていたと思う。なんというか実際にいそうな感じ・・・もちろん伊藤英明のような超絶イケメンや長澤まさみのような絶世の美人がそこらにいるわけないんだけど、リアリティを感じるキャラクター達と映像だった。はっきり言って役者陣の演技について書くだけでも感想として成り立つくらい素晴らしかったんだ。ただ今作品は他にもたくさん素晴らしい部分があるのでバッサリ割愛するよ。

この映画は勇気という1人の若者の青春を描いていて、気軽で観やすい矢口作品らしい緩さがある。一方で林業という固い世界を描いており、例えば木を切り倒す道具の使い方や、木の上で体を固定する為のロープの結び方、木がどうやって世の中に出回っているのかなど・・・まるでNHKの教育番組のような固さもある。

この緩さと固さの緩急のバランスが絶妙なのだ。

矢口史靖監督はいつも肩の力が抜けた軽い笑いを散りばめてくれて非常に観やすい映画を作ってくれる。良い意味でチープな笑いをとりにきたと思ったら、ドキっとする壮大な風景や役者の表情といった名シーンを放り込んでくるから油断できない。特に中盤で、勇気が現場に弁当を忘れた事で与喜が怒り狂うシーンでケラケラ笑わせてきたと思ったら、直後に勇気と直紀がおにぎりを食べるシーンで2人の距離感や勇気の成長、そして壮大な自然の素晴らしさまで・・・たった数分で様々な事を表現してくる。にもかかわらず詰め込み感がなく、むしろ時間をゆっくりと感じさせてくれて、なんというか心地よいんだよね。

矢口監督は、実に映画らしい表現法とセンスを持つ監督だよ。

シモネタを通して、生きる事の素晴らしさを描く

今作品は性欲を通して人生の素晴らしさを描いていたように思う。

クライマックスなんて男のイチモツの形をした大木が女の花園の形をしたワラに突っ込むというド直球のシモネタだ。一体映倫はどういう気持ちで審査したんだかwでもすごいのは、こんなお下劣でくだらないシーンが「この映画観て良かった~」なんて心から思わせてくるんだよ。

それはこの映画の軸がぶれてないからだと思う。勇気の成長や、山で生きる人々の気持ち良い人間関係・・・村に住む全ての登場人物たちは、中盤に出てきたスローライフの大学生や序盤の勇気とは違い、真剣に人生を楽しんでるから憧れちゃうし観ていてホッコリするんだよね。普遍的な日常がどれほど楽しく幸せな時間なのかを上手に描いていた。

今作品はセックス大好きな与喜夫婦や前述したクライマックスのシモネタ、他にも明らかに作り物の鹿とか腫れすぎた耳たぶみたいな、全くリアリティなんか無い粗雑な演出があえてされている。こんなの一歩間違えればC級映画と言われてもおかしくないレベル・・・

でもこれが実に上品に感じちゃうんだ。

観てない人には理解しがたいかもしれないけど、誇張なんか一切してないし観ればわかる。本当によくできた上質な映画だよ。

スマートな伏線の回収と素晴らしいラスト

おにぎり愛羅武勇のタオルと、この映画には色々な伏線が張られている。

これを綺麗に回収していくから映画として気持ちいいんだけど、なによりもさよなら!の伏線は見事だったと思う。

中盤に子供たちが「バイバーイ!」としつこく言い合ったり、勇気と「おやすみ!」をしつこく言い合ったりするシーンがあった上で、最後に勇気と直紀が「さようなら!」をいつまでも言い合う・・・これは素晴らしい仕掛けだった。1年間、山男たちと暮らし林業を通して成長した勇気だが、それでもまだ高校卒業したての18歳なのだ。この少しだけ大人になった勇気少しだけ子供に戻った直紀絶妙な距離感はあっぱれだ。

そして最後、頭の悪そうな顔で幸せそうに電車に揺れる勇気と、共に流れる素晴らしい主題歌・・・そこから笑顔で観ていたくなるエンドロールは素敵な余韻を残す非常に心地よいラストだった。

この主題歌がまたいいんだよ。マイア・ヒラサワの「Happiest Fool」という曲・・・幸せなバカってラストシーンの電車にのってる勇気そのものなんだよねw

矢口監督の作品はどれを観ても「観て良かった、映画っていいなー」と思わせてくれるし、押し付けのない普遍的な感動を表現するのが上手すぎる。日本のラッセ・ハルストレムだ!

評価

映画にハマる入口を作ってくれる名監督

僕は映画の良し悪しの大半は監督の要素が大きいと思っています。

正直言うと「WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~」という意味のわからないタイトルのせいか、初見の時は矢口監督とわかっていてもあまり期待せずに観ましたwでも実際に映画が始まるといつものテンポの良い矢口節で安心したのを覚えています。

この監督の事を知らない人でもウォーターボーイズスウィングガールズは好きな人って結構いるんじゃないでしょうか?本記事では緩急がいいだの伏線の回収が上手だの、細かい事をあーだこーだと書いてますが、監督の矢口史靖という人は何にも考えずに観ても存分に楽しめる映画を作るのが非常に上手で、シネフィルだけじゃなくライト層にも映画の楽しさを教えてくれる素晴らしい監督だと思いますね。

そして今作品は、その矢口監督の最高傑作だと断言しますよ!

是非、これを観て映画の世界にどっぷりとハマってみてください。

「WOOD JOB!~神去なあなあ日常~」の視聴方法

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気持ちの良い青春映画ならピンポン、三浦しをん原作ならアカデミー作品賞をとった舟を編むもオススメしますよ!

では、良き映画の時間をお過ごしください。