映画「WOOD JOB!」あらすじ、感想【矢口史靖監督の最高傑作】

WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~

正式タイトルは「WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~」

三浦しをん原作の神去なあなあ日常を映画化。他にも舟を編むや、まほろ駅前多田便利軒なんかも映像化していますね。今作は林業を通して描くノンビリとしたヒューマンドラマなのにスピード感のある素晴らしい作品。ロケ地が三重県の美杉町という場所で、心が洗われるような風景がたくさん出てくるので疲れてる人は必見!めっちゃ癒されますよ。

本記事ではあらすじやキャスト情報の他に、感想や主題歌の事なんかも書いていきます。

作品情報

2014年公開。アカデミー賞は伊藤英明優秀助演男優賞を受賞しております。

が、第38回日本アカデミー賞は優秀作品賞にもなってないのは個人的に納得がいってません。邦画全体を見渡してもかなり完成度の高いエンターテイメント作品です。ちなみにこの年の最優秀主演男優賞(永遠の0)と最優秀助演男優賞(蜩ノ記)を岡田准一が受賞してます。

ちなみに監督の矢口史靖監督は初の原作付き作品となりました。ウォーターボーイズスウィングガールズハッピーフライトなどのメガホンをとった安心の名監督です。

あらすじ

どこにでもいるような都会の若者・平野勇気は大学受験に失敗し、ひょんな事からケータイの電波も届かない田舎で1年間、林業の仕事に携わる事になる。過酷な山仕事で辛いことがたくさんあれど、それらを凌駕する雄大な自然とまわりの山男たちに勇気は少しずつ魅了されていく。都会では味わえない経験を通して彼が得たものとは一体?恋愛あり、笑いあり、感動ありの青春ドラマ。

WOOD JOB!

キャスト、スタッフ

原作 – 三浦しをん 「神去なあなあ日常」
監督・脚本 – 矢口史靖
主題歌 – マイア・ヒラサワ 「Happiest Fool」

平野勇気 – 染谷将太
石井直紀 – 長澤まさみ
飯田与喜(よき) – 伊藤英明
飯田みき – 優香
中村清一 – 光石研
中村祐子 – 西田尚美
田辺巌 – マキタスポーツ
山根利郎 – 柄本明

光石研、マキタスポーツの安定感も最高なんですが、特に伊藤英明はやばかったですね!

 

ここからはネタバレ有りの感想になるのでご注意くださいな。

 

 

 

 

感想(ネタバレ有り)

  • 1年という年月をちゃんと描く2時間
  • 誰が観たって面白かったと思える作品
  • エンドロールがめっちゃくちゃ心地良い!

ポスター、予告編と本編は全く違う

今作品は映画というエンターテイメントの素晴らしさをたくさん感じる事ができる。

特筆すべきは伊藤英明・・・!と言いたいところだけど全ての役者が尋常じゃないくらい素晴らしかった。全員本当に存在する人達かよ!と言いたくなるくらい自然で、彼らの演技の事だけを書いたって感想レビューとして成り立つくらい素晴らしかったんだ。ただ今作は他にもたくさん素晴らしい部分があるのでバッサリ割愛するよ。

さて、まず言いたいのはポスターや予告編からも感じられるふわっとした”ゆるさ“みたいなもの・・・確かにこの映画は軽い気持ちで観ることができるし、それがまた矢口監督らしく心地良いんだけど、反対に林業という仕事を結構詳しく描いていて、例えば木を切り倒す道具の使い方や、木の上で体を固定する為のロープの結び方など・・・これがしっかりとした”固さ“を作っており、同時に山の厳しさを表現している。それはまるでドキュメンタリーのようで、エンタメ作品を観てるのに「なるほど、こうやって林業は成り立っているのか」と感心してしまうようなwこの”ゆるさ”と”固さ”の緩急のバランスが絶妙なのだ。

少数ではあるけど他レビューで、序盤に出てくる作り物の鹿やラストの大木にのっている平野勇気の人形に対して、鬼の首を取ったように「明らかに偽物で萎えた!」みたいな事言ってた方がいたけど、その”ゆるさ”があるからこそ林業や人間関係に重みが出るんじゃないか!もはやこれは芸人のボケに対してマジレスしてるのと同じ、無粋というものだ。そもそも矢口作品は雑な笑いをバランスよく散りばめる事が多いし、それが映画らしくて面白いと思うんだけども。

そんなチープな笑いをとりにきたと思ったら、急に黒澤明かよ!とつっこみたくなるような名シーンを放り込んでくるから矢口監督はたまらない。特に中盤で勇気(染谷将太)が現場に弁当を忘れた事で与喜(伊藤英明)が怒り狂ってるシーンはケラケラ笑えるコメディなのに、その直後にくる勇気と直紀(長澤まさみ)が無言でおにぎりを食べるシーンは壮大な自然を描くと同時に2人の距離や勇気の成長など、たかが数分で相当詰め込んでるのにごり押し感が全くない。むしろ時間をゆっくりに感じさせる。

本当上手な監督だ。

シモネタ要素を通して描く生きる事の素晴らしさ

万年少子化問題を抱える我が日本。

地方は特に若者が減っており、今作品の軸である林業を含め職人になる人は減少している。別にそんなお堅いテーマを全面に掲げているわけじゃないが、今作品は一貫して性欲というものをお下品なシモネタで表現しており、それは同時に生きる事の大切さや楽しさを描いているように思う。それにしても遊びすぎだろwwとつっこみたくなるくらい雑でチープなシモネタを数多にぶっこんでるに、どうしてこうもどしっと構えた作品になっているのか・・・本当によくできた作品である。

今作品の登場人物は基本的に一貫したキャラクターであり特に変化はないが、勇気だけ少しずつ成長していく。が、あくまでも少しずつだ。その繊細な変化を表現しつつも、お下品なシモネタから地方の抱える社会問題という”ゆるさ”と”固さ”の緩急を主役として絶妙に演じきった染谷将太には拍手喝采すべきだろう。

結構序盤の勇気や中盤に出てくるスローライフの大学生たちに対して「こんな大学生いないだろw」といった意見もあるけど僕はそう感じなかった。自分の人生と全然真剣に向き合わずまわりに合わせて何となく生きている・・・若いうちなんて皆こんなものじゃないか?真っ白なキャンパスノートに、下手くそなりにも大胆な絵を描いていく・・・そんな勇気の成長は見ていて心地よく応援したくなったよ。

綺麗に伏線を回収しつつ最高のラストに繋げた矢口監督

一番わかりやすいのはおにぎりだけど、それよりもさよなら!の伏線は見事だったと思う。

中盤に子供たちが「バイバーイ!」としつこく言い合ったり、勇気と「おやすみ!」をしつこく言い合ったりというシーンがあり、最後に勇気と直紀が「さようなら!」と言い合う・・・これは素敵なシーンだったと思う。1年間、山男たちと暮らし林業を通して成長した勇気だが、それでもまだ高校卒業したての18歳なのだ。この少しだけ大人になった勇気と少しだけ子供に戻った直紀の絶妙な距離感はあっぱれだ。ちなみに、これは僕だけかもしれないがこのシーンは屈指の名作・少年時代のラストをオマージュしたんかなと思った。

そして最後・・・頭の悪そうな顔で電車にのる勇気と共に流れる素晴らしい主題歌からの笑顔になれるエンドロール・・・なんと心地よいラストだろうか。この主題歌なんだけど、マイア・ヒラサワ の「Happiest Fool」という曲、幸せなバカってw最後電車にのってる勇気そのものなんだよね。

矢口監督の作品はどれを観ても「観て良かった、映画っていいなー」と思わせてくれるし、押し付けのない普遍的な感動を表現するのが上手すぎる。日本のラッセ・ハルストレムだ!

評価

正直言うと「WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~」というタイトルのせいか予告編のせいか、初見当時は矢口監督とわかっていてもあまり期待せずに観ましたね。しかし見始めてすぐに矢口節を感じたので安心しましたが。

監督名を知らなくてもウォーターボーイズスウィングガールズは好きな人って結構いるんじゃないでしょうか?そんな方こそぜひぜひ今作品をご覧になってみてください。一発で好きになる事を保証しますよ。本記事で細かくここが良かったとかあーだこーだ書いてますが、何にも考えずボケーっと気楽に観ても楽しめる事が矢口映画の真骨頂だと思いますので安心してくださいw

はっきり言って矢口監督の最高傑作だと僕は思います。

では、良き映画の時間をお過ごしください。