映画「少年時代」あらすじ、感想【名作と言われる理由】

少年時代

篠田正浩監督のえげつない名作「少年時代」

何度観ても素晴らしい・・・!と胸打つ映画です。僕が初めて映画館で観た作品だったと思うけど、どうだったかな・・・小学生の頃なのに今でもかなり印象に残ってます。
ちなみに有名な井上陽水の「少年時代はこの映画の主題歌。というか、この曲を聴くためにこの映画を観るといっても過言ではありませんw

観終わったら笑顔なのに涙が出る感じ、古き良き邦画。

ジャンル:ヒューマンドラマ戦争
作品時間:117分

作品情報

1990年の夏公開、当時は興行的に決してよくなかったそうですね。しかし、しっかりと日本アカデミー賞では主要部門はもちろん、その他映画賞も30部門以上受賞したモンスター作品。

  • 最優秀作品賞 – 篠田正浩
  • 最優秀監督賞 – 篠田正浩
  • 最優秀脚本賞 – 山田太一

あらすじ

昭和19年の秋、東京に住む小学5年生の進二(藤田哲也)は戦局の悪化に伴い、富山県の田舎に縁故疎開することに。そこで彼は子どもたちのリーダー格である武(堀岡裕二)と親しくなるが、彼は学校では性格が変わったように進二につらくあたるのだった…。終戦間際に描かれる本当の友情の物語。

キャスト、スタッフ

原作は柏原兵三の「長い道」、これを忍者ハットリくんや怪物くん、笑ゥせぇるすまんなどなど昭和アニメのレジェンドである藤子不二雄が漫画化した「少年時代」

今では漫画の実写化って賛否両論ありながらも大作として当たり前に作られますけど、これもそうだったんですねw

風間進二 – 藤田哲也
大原武 – 堀岡裕二

主要キャストはこの2人、残念な事に今は俳優活動をしてないようです。
脇に高畑淳子大滝秀治大橋巨泉などそうそうたるメンツがちょこっと出てきたりします。

※ここからはネタバレもあるのでご注意ください。

 

 

感想

  • ラストシーンがたまんない!
  • 全編、ラストシーンを観るための布石!
  • ラストシーンで井上陽水が全て持ってく。

心情描写がよくできた青春ヒューマンドラマ

時代背景は戦時中・・・なんだけど、中身はまるで違う!

疎開してきた都会っ子の主人公「風間進二」と疎開先のガキ大将「大原武」の純朴な友情が軸で、それはまるで恋愛のようにも見える。

冒頭、進二は母に連れられ疎開先である富山の親戚宅へと向かうのだが、どことなく遠足気分。でも富山に到着すると見たこともないような田舎町に少し不貞腐れるあたり、まさに子供だ。一方、ガキ大将の大原君、家は貧乏で弟たちの世話から家事までこなし、常に裸足か草履で駆け回り、喧嘩も強く勉強もでき、学校では級長(今でいう学級委員長)をやっている。しかしだからこそなのかプライドが高く、結構理不尽に子分を殴ったりする・・・こちらもまさに子供なのだ。

そんな大原君は都会から来た優等生の進二に学校だとイジめてきて、2人きりになるとめちゃくちゃ優しくなる・・・例えば、子分らがいる時には進二に歌を歌う事を強制し泣かせたりするのに、進二が不良数人にからまれた時には一人で助けにいったりする。これは大原君がサイコパスなのではなく不器用だから。仕方ないんだ・・・ガキ大将だからね。かなり不思議な関係性だけど、進二は戸惑いつつも仲良くなっていき、気が付けばガキ大将グループのNo.2に。人によっては大原君に「なんだこいつは!!」とむかつく事もあるかもしれないけど、貧乏で苦労してるからこそ、都会から出てきた裕福な進二への嫉妬があるからこそ・・・彼の中でも葛藤がすごかったんだろうね。学校のガキ大将としてNo.1の座は渡せなかったし、でも仲良くなりたいし・・・。

このあたりまでが映画の前半部分になるんだけど、とてつもなく丁寧に描いてくれるからまだほとんど何も起きてないのにのめりこむように見入る・・・篠田監督おそるべし

戦時中の話ではなく、戦時中の子供の話

この映画の素晴らしいところは登場する子供たちにとって戦争はあくまでも他人事のように描いている点なのだ。

そりゃそうだ、子供たちからしたら戦争なんて知ったこっちゃない。途中戦争を色濃く映すシーンもちらほら入るけど、それらは全て子供視点で描かれ、むしろ大人の世界との対比として見せてくれる。

一方で物語は折り返し、後半から病気で休んでいた須藤という子が復学する。頭のきれる須藤はクラスの皆を説得し、ガキ大将の大原君に対し下克上を仕掛ける。それにより大原君は完全に孤立、今まで従っていた子分たちも襲い掛かってくる始末。実はこの須藤の下克上に進二も行動を共にしていたのだ。彼もどこかで理不尽な大原君の横暴には思うところがあったんだけど、それよりも須藤に「仲間にならないか?」と誘われた時・・・同調圧力に負け、その場のノリで返事しちゃったんだ。ああ、なんとくすぐったい感情だろう。

しかし、ここまで戦時中の映画で戦争をそっちのけにした作品って他にあるだろうか。完全に青春映画だ。

全てはラストシーンへ、淡いエモい物語

さて、物語は終盤へ。子供たちが遊んだり喧嘩したりとワーキャーしてる中、太平洋戦争がとうとう終戦したと一報が入る。ある者は敗戦を悲しみ、ある者は想う人の帰還を喜んでるけど騒いでるのはやはり全て大人・・・しかしその騒ぐ大人たちを傍観する進二はそれどころじゃない。須藤たちと一緒に大原君を裏切ってしまった事を後悔して、どうしていいかわからない進二のもとに東京から母親が迎えに来てしまう・・・無常だ。

とうとう東京に帰る事となった進二は最後に大原君の家に別れの挨拶をしにいくが・・・いないんだよ!会えないんだよ。すれ違っちゃうんだよ・・・。でも進二は父親からもらった宝物である戦艦むつのバックルを大原君の家の玄関に置き、駅へと向かう。駅のホームでは進二の為にクラスメイトの皆が別れの軍歌を大合唱していた。しかしそこに大原君の姿はやはりない。もう映画も残り数分・・・

この映画の真骨頂はまさかのここから

とうとう大原君と最後の言葉を交わせないまま汽車は出発してしまう。進二は窓を開け外を見渡す。いない、いるわけないと思いながらも・・・それでも探す。母親に怒られながらも窓の外を・・・進二は叫ぶ「大原君!!」

そこには・・・田舎道を全力で走って汽車を追いかける大原君の姿。

その瞬間、井上陽水の「少年時代」が・・・うわああああああ!!
だめだ、書いてるだけで涙がこぼれてくる。何とも言えないもどかしさがあるのに、観て良かったと心から思えるラストシーン、半端じゃない。マジで半端ではない。

評価、視聴方法

日本人全員に1度は観てほしい傑作

全編、ラストシーンを観る為の布石と言いましたが、それは尋常ではない印象を残すエンディングだからそう書いただけで、実は全編よくできた傑作です!映画内に出てくる建物や小道具、風景と全てにおいてクオリティが高く、本当に終戦前後の日本かのように感じさせてくれます。そして映画ならではの妄想できる空間が適度に散りばめられており、観た後の余韻がすごいですw

今なら友達が遠くに引っ越しても簡単に会えますよね。連絡を取ることなんてもっと簡単です。しかし彼らの世界は終戦直後ですから、ここから激動の戦後がくるわけです。つまり進二と大原君が会う事は二度と叶わない・・・のかもしれないんですね。

誤解してほしくないのは、決して戦争という悲劇を歪曲して描いてる作品ではないという事。あくまでも終戦前後にある疎開先で起きた小さなヒューマンドラマなので意外と気軽に鑑賞できると思います!本記事ではあえて書きませんでしたが、エンドロールに出てくる重要なある1枚の写真・・・たまんないので、ご自身で観て体感してみてはいかがでしょうか?

「少年時代」の視聴方法


残念ながらU-NEXTAmazonプライムビデオのような動画サイトで観る事ができるサイトは現状なさそうです。(2019/5/19現在)※あれば教えて欲しい・・・

ですので、視聴するにはDVD購入orレンタルになるかと思います。レンタルなら宅配レンタルサービスも利用できるTSUTAYA DISCASが入会から30日間は無料なのでオススメですよ!

では、良き映画の時間をお過ごしください。