映画「どろろ」あらすじ、感想【続編が中止になってしまった理由とは?】

どろろ

妻夫木聡 x 柴咲コウという元カップルがW主演した漫画の実写映画。

どろろは2019年1月よりアニメもスタートしましたが、その12年前に実は実写映画化しております。元々原作は打ち切りになった作品・・・手塚治虫先生も天国で喜んでる事でしょう!

今作品は超名作なわけじゃないですし若干チープな雰囲気もあるんですけど、個人的には制作陣の努力に拍手を送りたい1本ですね。

本記事ではあらすじやキャスト情報などの他に、感想や視聴方法を記載しています。

ジャンル:アクションファンタジー
作品時間:138分

作品情報

2007年公開、撮影はニュージーランドで行われた為、相当なお金が投入されたようですが、興行収入はなんと34億5000万円もいきました!

原作の漫画は1967年~1968年にサンデーで掲載、実は当時人気がなかったようで打ち切りとなっています。(第1部完結という形で事実上未完)しかし時代を超えて少しずつ再評価され実写映画化、さらにはアニメ化まで実現したなんて不思議なものですよね。

ちなみに原作は室町時代後期から戦国時代前期ですが、映画では架空の異世界を舞台にしています。

あらすじ

終わりの見えない戦国の世を憂う武将・醍醐景光は、戦乱の世を治める力を得るため、自分の子の体48箇所を48体の魔物に差し出す。こうして生まれた百鬼丸は、医師・寿海に仮の体と護身のための妖刀を与えられ、見事な成長を遂げる。やがて、魔物を倒すごとに奪われた体の一部を取り戻すことを知った百鬼丸は、魔物退治の孤独な旅に出る。ひょんなことで百鬼丸の存在を知ったコソ泥どろろは、百鬼丸の強さの象徴である妖刀を奪うため、その旅を追いかけ始める・・・。

キャスト、スタッフ

原作 – 手塚治虫
監督 – 塩田明彦

主題歌 – Mr.Children「フェイク」

百鬼丸 – 妻夫木聡
どろろ – 柴咲コウ
多宝丸 – 瑛太

醍醐景光 – 中井貴一
百合 – 原田美枝子
琵琶法師 – 中村嘉葎雄
寿海 – 原田芳雄

火袋(どろろの父) – 菅田俊
お自夜(どろろの母) – 麻生久美子
地獄堂の住職 – 山谷初男
鯖目 – 杉本哲太
鯖目の奥方 – 土屋アンナ
チンピラ – 劇団ひとり
占い師 – きたろう
飯屋の親父 – 寺門ジモン
子捨て村の住民夫婦 – でんでん、春木みさよ

こうしてみると結構豪華なキャスト、そして主題歌にはMr.Children・・・これだけ集めるのにいくらかかるんでしょうかw

※ここからはネタバレがあるのでご注意ください。

 

 

感想

  • 重すぎる原作の空気をちゃんと中和していた
  • 妻夫木聡はイケメンってだけじゃない!
  • 手塚治虫の世界観は難しすぎる

バチボコ重い原作のテーマ

結論からいうと僕は素直に楽しめた。

今作品の原作は連載当時、あまりにも暗い世界観で子供達が本気で泣いてしまい、親御さんからクレームの嵐・・・結果打ち切りとなってしまったそうだ。確かにPG-12指定になっているくらい描写がエグかったりもするから仕方ないかな・・・。こんな重いストーリーを週刊少年サンデーで連載した手塚治虫が悪いよねw

さて、この映画の最大の魅力はVFX!と言いたいところだけど、残念ながらハリウッド映画などと比べるとどうしてもチープだ。特に中盤の魔物との連戦シーンはすごい、急なヒーローショー感・・・イオンの屋上とかでやってそうなやつねwしかも、うしろで流れている音楽が何故かメキシカンミュージックというwwこうして書くとかなりカオスに感じるかもしれないけど、この良い意味で雑な戦闘シーンが今作品の持つ重苦しい雰囲気の中和剤になっていて意外に楽しく観れちゃったんだ。

どろろのテーマは人の生きる道・・・どろろと百鬼丸が魑魅魍魎と戦い必死に生きる様を描いている。はっきり言って実はかなり重いテーマなんだ。しかも手足を切り貼りした体とか、生首とか・・・エグい描画がてんこもり。こんな作品を全編ゴリゴリなシリアス路線で描いたら観客は観るのを途中でやめてしまいそうなレベルだよ。

監督の塩田明彦は映画的な笑いの取り方があまり上手とは思えなかったけど、今作品の原作が持つ尋常ではない重苦しさを何とか和らげようとした努力が見えて好印象だった。

もし、これが監督の計算通りだとするならば実はかなりすごいバランス感覚だと思う。

妻夫木聡の演技力はもっと評価されるべき

主人公のどろろ&百鬼丸vsラスボスの醍醐景光。

よく使われる手法なんだけど、男女コンビvs圧倒的な悪という構図は不思議と観やすいよね。リュック・ベッソン監督のレオン堤幸彦ケイゾクトリックSPECなど。僕の大好きなデヴィッド・フィンチャーセブンなんかもそうだ。手塚治虫はこの構図を既に1960年代で作っていたんだね・・・さすが神様。

正直、僕は今作品をあまり期待せずに観た。

またこの構図か・・・とりあえずイケメンと美女に冒険させてミスチルに歌わせときゃいいとか思ってんだろ?と。妻夫木聡と柴咲コウが客寄せパンダをやって、中井貴一で魅せるパターンだろ?と。でも実際に観てみたら全然印象が違ったよ。

特に妻夫木聡、この人ってイケメンすぎるせいか、どうも演技に着目されにくいところがあるよね。僕は中島哲也監督の渇き。を観てから彼の印象がガラッと変わったんだけど、意外と演技幅があってイカれた役は特にハマる。今作品では主人公をクールに演じているが、声のトーンや目線など細かい部分で百鬼丸をしっかりと表現していたね。

もう1人の主人公どろろを演じた柴咲コウは正直苦笑いの演技ではあったけど、その荒い演技がどろろのあどけなさに繋がっていたように感じた。

そしてラスボス・中井貴一・・・もちろん安定感はあるんだけど、他にもっとフィットする役者がいそうな気もしたね。誰??と言われると僕もパっと出てこないけど。それと醍醐景光はもっと極悪なカリスマ性を持たせるべきだとも感じた。どうもラスボスとしてはキャラが薄いんだよね。

というわけで観る前の印象とは違って、今作品の屋台骨を安定させていたのはまさかの主人公・妻夫木聡だった。

今後どんな役者になるのか楽しみな1人だよ。

日本らしいファンタジー作品だが・・・

邦画においてVFXを使う場合、どうしたらいいのか?どこまでできるのか?

残念だけど日本だとハリウッド映画のような予算はでない。VFXの技術だって圧倒的な差があるからどうしても見劣りしちゃうよね。でも今作品は制作陣の「それでもやってやるよ!」という意気込み、心意気みたいなものを僕は感じた。はっきり言って30年後、50年後の未来人には「なんだよこれww」と笑われるレベルかもしれないけど・・・。

でも1人の映画ファンとして、僕は制作陣の努力を拍手で称えたいな。

いつかこのような映画の努力が積み重なって、日本もスターウォーズみたいな作品ができるかもしれないからね!

それに今作品はもう1つ難しさがあった・・・それは手塚治虫の世界観だ。例えば百鬼丸は父親の寿海を映画内で「父ちゃん」と呼んでいる。そりゃそうだよね、架空の異世界が舞台となっているとはいえ、世界観はどうみたって昔の日本がベースだもん。ただ室町時代~戦国時代が舞台となっている原作では「パパ」と呼んでいるんだ。

このアンバランスなのに成立してる手塚治虫の感覚って、実写映画で完全に再現するのは無理に近いと思う。手塚作品だけじゃなくドラえもんなど昔の漫画ではよく使われているけど、キャラクターが急に読者に話しかけてくるコマとか見た事がない?こういうメタな笑いの取り方って映画だとコメディ色がかなり強くなってしまう。わかりやすい例をあげると勇者ヨシヒコを作った福田雄一監督の作品なんかを想像するとわかりやすいかも。

手塚治虫の恐ろしいところはこうした手法を使っていても、しっかりとシリアスな作品に仕上げている事だと僕は思う。特に今作品どろろなんかシリアスどころではない。もし塩田監督が百鬼丸に父親の寿海を「パパ」と呼ばせていたら観るのをやめていたかもw

この映画はこうした色々な事を乗り越えてちゃんと日本らしいファンタジー作品になっているが、どうしてもあと1歩!2歩!という気持ちが過ったのも否めなかった。

求めすぎなのはわかってるんだけどね、惜しい良作だと感じたよ。

評価、視聴方法

何故続編を作れなかったのか?

今作品は前述したように興行収入が34億5000万円と大成功しています。

その為、2作目3作目と続編製作が決定と発表までされましたし、何なら塩谷監督は既に2部、3部の脚本を完成させていたそうです。ちなみに2ではどろろの秘密が明かされるお話だったそう。しかし非常に残念な事に経済的な事情で予算削減となり頓挫・・・まあ34億の興行収入と言っても利益ではないですからね。加えて主役の妻夫木聡柴咲コウ破局してしまったのもあり、今では完全に続編の灯が消えてしまいました。

映画って本当に難しいものです。

ただ個人的にはどろろという作品自体好きなので、違うキャスト&スタッフでもいいから、いつかまた実写のどろろを観たいですね。今だったら菅田将暉広瀬すずあたり?醍醐景光には滝藤賢一とかいいじゃないですか!

僕の個人的な妄想はいいとして、もしアニメや原作が好きな人は是非実写のどろろも観てみてはいかがでしょう?妻夫木聡の百鬼丸は本当にかっこよかったですよ!

「どろろ」の視聴方法

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アニメもまた違う面白さがありましたね。どろろがすっごく可愛らしかったです!

では、良き映画の時間をお過ごしください。