映画「ゴーン・ガール」あらすじ、感想【結末必見!恋人と観るのは危険!?】

ゴーン・ガール

2014年公開。デヴィッド・フィンチャー監督による10作目となる傑作ミステリーです。

相変わらずフィンチャーらしいダークな映像美に、見応えあるミステリー要素と非常に観やすいテンポ、そして何よりも素晴らしいラスト・・・駄作と言われている初監督作品のエイリアン3から約20年、今では世界一映画を撮るのがうまい監督と言っても過言ではありません。

今作品の原作はスコット・ピーターソン事件という実際におきた夫婦間による殺人事件がモデルとなっています。事実を描いたノンフィクション映画というわけではありませんが、この映画でニック役を演じたベン・アフレックは、実際のスコット・ピーターソンにすごく似ていますよw

本記事ではあらすじ、キャスト・スタッフ情報の他に、個人的な感想、視聴方法も記載しています。

ジャンル:ミステリーサスペンス
作品時間:149分

作品情報

アカデミー賞ではロザムンド・パイクが主演女優賞にノミネートだけとなりましたが、この年は最優秀作品賞にバードマン、他にもアメリカン・スナイパーセッションイミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密などアカデミー賞向きな傑作が多かったので仕方なかったと思いますw

ただ他の映画賞ではロザムンド・パイクの主演女優賞はもちろん、他にも監督賞、脚本賞、作曲賞などで大きな評価を得ており完成度は非常に高く、十分に面白い映画だと思いますよ!

デヴィッド・フィンチャー作品一覧

あらすじ

5回目の結婚記念日の朝、ニック・ダンは妻のエイミーが失踪した事に気づく。人気児童文学のモデルにもなったエイミーの失踪はニュースにもなり世間の話題になる。そして妻エイミーの残した日記には夫への恐怖が綴られ、台所には奇妙な血痕・・・証拠は全てニックに不利なものであった為、彼は逮捕されてしまう。しかしエイミーは生きていた。果たしてこの夫婦の抱える真相とは?

キャスト、スタッフ

原作・脚本 – ギリアン・フリン
監督 – デヴィッド・フィンチャー

音楽 – トレント・レズナー、アッティカス・ロス

ニック・ダン – ベン・アフレック
エイミー・エリオット・ダン – ロザムンド・パイク

マーゴ・ダン – キャリー・クーン

デジー・コリングス – ニール・パトリック・ハリス
タナー・ボルト – タイラー・ペリー
ロンダ・ボニー刑事 – キム・ディケンズ
ジェームズ・ギルピン巡査 – パトリック・フュジット

ノエル・ホーソーン – ケイシー・ウィルソン
エレン・アボット – ミッシー・パイル
シャロン・シーバー – セーラ・ウォード
アンディ・フィッツジェラルド – エミリー・ラタコウスキー

ランド・エリオット(父親) – デヴィッド・クレノン
メアリーベス・エリオット(母親) – リサ・ベインズ

女刑事役の キム・ディケンズは「あれ?何かで見た事ある気がする・・・」と思う人が多いんじゃないでしょうか。大人気ドラマであるウォーキング・デッドのスピンオフ作品であるフィアー・ザ・ウォーキング・デッドの主人公でございます。僕はどうしてもサラ・コナーを思い出してしまいます。似てませんか?w

※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。

 

 

感想

  • 夫婦で観るのはダメ、ゼッタイ
  • 未婚率が上がりそうな映画
  • フィンチャーに捨てるところ無し

素晴らしい静かな立ち上がり

今作品はスリラー映画の最高到達点と言っても過言ではない。

妻エイミーの失踪によって話が進み、夫ニックがその真相を究明していく・・・この映画のストーリーは全く斬新ではないし、正直これだけでは「面白そう!」なんてまず思われないよね。公開当時、僕は我先にと映画館に足を運んだけど、それは紛れもなくデヴィッド・フィンチャーの新作だったからだ。

しかもフィンチャー作品は毎回冒頭に重要なシーンを入れてくるけど、そこまで大きなインパクトを残すフックは入れない。今作品もまた、双子の兄妹であるニック・ダンとマーゴ・ダンが酒を飲むマッタリとしたシーンという、なんとも静かな立ち上がり。すぐさまニックの妻であるエイミーが失踪した描写が入るけど、ここでもまだエンジンはかけてこない。その後もニックとエイミーの出会いや、エイミーを捜索するボランティアの人達、いまいち頼りない女刑事など、周りの人間関係をのらりくらりと描いてくる

そして、これが1時間も続く。

他の監督だったら地獄のように退屈だったかもしれない。それほど煮え切らないストーリーなはずなのに、ここがフィンチャー監督の恐ろしいところ・・・飽きずに観れちゃうどころではなく、この1時間で信じられない位引き込まれてしまう。観客に気付かせつつ気にならないように布石を配置していく様は、もはや芸術の域だ。そして物語はある事実によって話が転がっていくんだけど、静かなトーンは変わらないまま面白さだけが格段にあがっていく

「どうなっていくんだ!?」

「どう終わらせるんだ、これは!」

静かなのに見応えのある1時間から、上質なミステリー要素とクライマックスへの期待値の上げ方・・・全てにおいて叩くところ無し。構成力が半端じゃない。全シーンに仕掛けがあるように感じさせる映像の連続は、さすがこの監督である。

カップルで観るのは危険!(ここからネタバレあり)

この映画は絶対に好きな人と観てはいけない。

今作品のストーリーは、失踪した妻エイミーが実は生きていて、全ては浮気という裏切り行為を犯したニックへの復讐が目的だった!というところから話が転がっていく。ただニックは最愛の妻を探してるわりに言動が薄っぺらく、しかも浮気していた事までばれてしまった事で、世間に妻を殺したんじゃないかと疑われ始める。そして、とうとう殺人容疑で逮捕され死刑の可能性まで出てきてしまう。

なんだ、このどす黒いストーリーは・・・

この原作を書いた女性推理作家のギリアン・フリン・・・こんなエグい物語を綴るとか、一体彼女は日々何考えて生きているんだw

話だけ聞けば同情せざるを得ない理不尽な話だが、これが面白い事にニックにはあまり同情できない作りになっている。それはニックの言動がペラッペラというか、ダメ男だからなんだけど・・・ここにベン・アフレックをキャスティングしたのは素晴らしい人選だと思うw

とにかくこの映画は愛し合って信頼し合っているカップルほど一緒に観るのをオススメしない。観ていて気まずくなる事は必至だから、逆に別れたいなら観てみるといいかもしれないが。

人間の醜さの描き方がエグすぎ

今作品でフィンチャー監督がいれてきたテーマ・・・それは人間の醜さだと思う。

もちろんニックとエイミーの本筋だけでも十分見応えがあるんだけど、2人を取り巻く周りの人間模様もまた面白かった。世間に大人気の娘を育て上げたという自負を片手にドヤ顔でメディアに出るエイミーの両親や、まるで正義を語るかのようにニックを咎めていた女性キャスター、そして何よりもメディアに振り回されまくった大衆・・・どいつもこいつも後半で信じられない手のひら返しをするw

あまりにもリアルな現代社会そのものだ。

世の中には沢山の仮面夫婦がいるけど、冷静に考えて人間は何故そんなストレスしかたまらない事をしているんだろうか。子供の為?そんな簡単に別れる決断をすべきじゃないのが結婚だから?表面的な友人関係とかもよくあるよね。本当はもっと仲良くしたいと思っている?良い所もあるから?

いやいや、全て自身の世間体の為だよね。

誰もハッキリと言葉には出さないし色々と言い訳を並べるけど頭では理解しているから、観ていて少し苦笑いになってしまうシーンもチラホラある。ただ今作品はニックとエイミーの本筋自体が面白いから、こうした醜悪な人間性を描きまくっていても綺麗に印象が薄まっているんだ。

フィンチャー監督は本当に性格が悪い。こうやって観客を小馬鹿にしたような映画を作ってはケラケラ笑っているんだろう!?より腹が立つのは、毎回こういう異常に面白い映画を出してくるから全く嫌いになれない・・・それどころか、僕はもはやこの性格の悪さの虜になっているんだよ。

上質なミステリーの上に、何層も重ねてくる人間ドラマ・・・この監督は映画を撮るのが上手すぎるわ。

評価、視聴方法

デヴィッド・フィンチャーの次作について

2020年に新作公開が決定しています!

その名も「マンク」というタイトルで、脚本家ハーマン・J・マンキウィッツと監督オーソン・ウェルズが名作「市民ケーン」の脚本を執筆した時のお話を描くそうです。全編モノクロらしく、主役にはなんとゲイリー・オールドマンが決定済!制作はNetflixがメインらしく「お金を出すから好きなものを撮ってくれ」と依頼したそうで・・・ありがてえ、神様、仏様、ネットフリックス様でございます。僕にとって大好きな監督と俳優ですから期待しているどころの騒ぎではありませんよ・・・間違いなく這ってでも映画館へ行きます!

今作品でフィンチャー監督が気になった人は、他の作品も観てみる事をオススメしますよ。誇張無しで傑作揃いです!

デヴィッド・フィンチャー作品一覧

「ゴーン・ガール」の視聴方法

Amazonプライムなら年間プラン4,900円(税込)または月間プラン500円(税込)で映画の他にも松本人志のドキュメンタルアニメprimeオリジナル作品なんかも見放題なのでお得ですよ!

「ゴーン・ガール」をamazonで観る

こうした濃密なミステリーを観たい方はシャッターアイランドや、タランティーノ監督のヘイトフル・エイトなんかもオススメします。

では、良き映画の時間をお過ごしください。