映画「バードマン」あらすじ、感想【2時間ワンカット?世界が絶賛した理由】

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

2014年公開。正式タイトルは「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」

監督はレヴェナント: 蘇えりし者バベルなど、何かと話題作を飛ばすアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督、そして過去にバットマンを演じたマイケル・キートンが主役を演じました。予告だけ見てもどんな映画かわかりにくいかもしれませんが、映画史に残る素晴らしいヒューマンドラマに仕上がっていて、何といってもワンカットで2時間流れる映像は必見です!

本記事ではあらすじ、キャスト・スタッフ情報の他に、個人的な感想、視聴方法も記載しています。

ジャンル:コメディヒューマンドラマ
作品時間:119分

作品情報

  • 作品賞[受賞]
  • 監督賞 – アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ[受賞]
  • 主演男優賞 – マイケル・キートン[ノミネート]
  • 助演男優賞 – エドワード・ノートン[ノミネート]
  • 助演女優賞 – エマ・ストーン[ノミネート]
  • 脚本賞 – アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、アーマンド・ボー、ニコラス・ジャコボーン、アレクサンダー・ディネラリス・Jr[受賞]
  • 撮影賞 – エマニュエル・ルベツキ[受賞]
  • 録音賞 – ジョン・テイラー、フランク・A・モンタノ、トーマス・ヴァーガ[ノミネート]
  • 音響編集賞 – マーティン・ヘルナンデス、アーロン・グラスコック[ノミネート]

ハリウッドを少しからかうような内容なのにオスカー受賞しちゃったのは控え目に言ってすごいですよね・・・ただ映像、音楽、ストーリーと全てがハイクオリティで、終始圧巻の2時間ですから納得の受賞だと思います!

あらすじ

かつて「バードマン」というヒーロー映画で主演し、スターの座を掴んだリーガン・・・彼は以降ヒットに恵まれず世間からは「かつてバードマンを演じた俳優」の烙印を押されていた。家族も失ったリーガンは自身の再生の為、ハリウッドではなくニューヨークのブロードウェイ進出という無謀な決断をする。そして全てを投げうった一世一代の舞台の本公演を迎えるが、果たしてリーガンは陽の当たる世界に羽ばたけるのか?

キャスト、スタッフ

監督 – アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
脚本 – アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、ニコラス・ジャコボーン、アーマンド・ボー、アレクサンダー・ディネラリス・Jr
撮影 – エマニュエル・ルベツキ
編集 – ダグラス・クライス、スティーヴン・ミリオン

音楽 – アントニオ・サンチェズ

リーガン・トムソン – マイケル・キートン
マイク・シャイナー – エドワード・ノートン

サマンサ(サム)・トムソン – エマ・ストーン
レズリー・トルーマン – ナオミ・ワッツ

ジェイク – ザック・ガリフィアナキス
ローラ・オーバーン – アンドレア・ライズボロー

シルヴィア – エイミー・ライアン
アニー – メリット・ウェヴァー
ラルフ – ジェレミー・シャーモス

タビサ・ディッキンソン – リンゼイ・ダンカン

マイケル・キートンはバットマン、エドワード・ノートンはハルク、そしてエマ・ストーンはスパイダーマンと主要キャラが実際に過去ヒーロー映画に出ているというのもシニカルで面白いキャスティングですよねw全員100点満点の素晴らしい演技合戦でした!

※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。

 

 

感想

  • ワンカット映像がもたらす計算された奇跡
  • ドキュメンタリーにも見える不思議
  • 全てのお父さんに捧ぐモチベーショナル映画

ワンカット風の映像がもたらしたスリリングな体験

なんなんだ、この映画は・・・個人的には100点満点を超える名作だ。

今作品はラスト一部を除き、ほぼ全てのシーンがワンカットで繋がっているように作られている。技術的な事なんか微塵もわからないけど、1つだけわかる事がある・・・それはこの映画を作った人達はイカれてるって事だ。確かに発想としては誰かが思いついたっておかしくないけど、実現するとなると話は別・・・今後も続く映画史の中でこんな映画出てくるんだろうかwそう言いたくなる程、すごい映像だった。

そして、このワンカットという手法のおかげでかなり不思議な体験をさせてくれた。それは様々な疑問を持って観てしまうという事。

  • 「そもそもどうやってるんだろう?」
  • 「役者はすぐ裏で準備でもしてるのか?」
  • 「NG出たらどこから撮り直してるんだ?」

裏を返せばストーリー自体に集中してないとも言えるんだけど、特に序盤はずっとこんな疑問が常に考えて観てしまった。ただ、これが不思議とスリリングに感じてしまうんだ。NGシーンなんて出てこないのはわかっているのに「セリフ間違わないだろうか・・・」と心配したりとかねw

でも気が付けば、そんな事全く気にならなくなって前のめりにひきこまれていく。あとワンカットだからこそなんだけど、常に誰かを追いかけるような映像は、まるで役者達のプライベートのようで圧倒的なリアリティが出ていた。

イニャリトゥ監督よ、これが全て計算なのか?大好きになってしまったじゃないか!はっきり言ってこのイカれたワンカット映像だけでも最高評価をしたいレベル、あまりにもよく出来た映画だ。

ただ今作品はワンカット映像じゃなかったとしても沢山の人に大絶賛されていただろう。

キャスティングがセンスありすぎるんだよ。

マイケル・キートンの嬉しき返り咲き

ティム・バートン監督のバットマンを演じた本物のブルース・ウェイン

マイケル・キートンは決して映画界から消えていたわけじゃないけど、あまりにも1989年のバットマンの印象が強すぎるが故、どうしても消えてしまった過去の俳優ってイメージがあった。正直僕もバットマン以外であまり印象がない・・・つまり決してファンとは言えない。にもかかわらず、今作品を観終わった後に彼の復活を心より嬉しく喜んでしまった。

もちろんストーリーや音楽、前述したワンカット風のカメラワークや編集、そしてエドワード・ノートンエマ・ストーンなど脇の名優陣の超絶演技合戦と、何もかもが素晴らしかった。誇張抜きで、間違いなく100年後も残る1本だと思う。ただ何よりもマイケル・キートンの渋い存在感と、そのリーガン・トムソンというキャラクターが最高なんだ。

はっきり言うけどエドワード・ノートンの相変わらず主役を食うような絶品の演技力や、エマ・ストーンの目線だけで語る表情の方が目立ったかもしれない。でもマイケル・キートンの不器用な笑い方や苛立ち方、たまに魅せる少年のように輝いた瞳・・・その一挙手一投足が全て、尋常ではない魅力を放っていたように思う。

面白いのが、マイケル・キートンはバットマン、エドワード・ノートンはハルク、そしてエマ・ストーンはスパイダーマンと、主要3人は過去にヒーロー映画に出ている。にもかかわらず、今作品はこうしたハリウッドの商業的な映画をからかうような内容になっている。あえて現実とリンクさせまくったキャスティングをしたおかげで、リアリティを超えたドキュメンタリーのようにも感じてしまう仕掛け・・・発想が面白すぎるんだよ。

捨てるところなし、全て絶賛せざるを得ない素晴らしい映画だけど、ワンカット風の撮影とキャスティング・・・今作品はそれらを超えて褒めたたえるべき点がまだある。

それは変化球無しの素晴らしいストーリーだ。

世界中のお父さんが観るべき1作

僕が今作品で1番やられてしまったのはストーリーだった。

あまりにも斬新な手法と発想、そして最高級の役者の演技・・・これだけでもひれ伏すレベルだけど、今作品の中身は1人の奮闘するお父さんの人生譚なのだ。

リーガン・トムソンはかつて大人気映画バードマンの主人公を演じた大スター・・・しかし凋落後、奥さんは離れ、娘はマリファナにハマり、家庭にも失敗してしまう。リハビリ中の娘に自身のマネージャーをしてもらいながらも、父親をしてこなかった自身の反省と後悔もある中で、トムソンは役者として再起をはかる。彼はレイモンド・カーヴァーの短編小説「愛について語るときに我々の語ること」で、ハリウッドではなくニューヨークのブロードウェイで勝負をかけた。

ありきたりなストーリーに感じるかもしれない。でもこの主人公のリーガン・トムソンって奴がめっちゃくちゃ良い奴なのよ。いつまでも夢を追いかけてるダメオヤジかもしれないけど、優しくて不器用で・・・何よりも奥さんと娘を心から愛している。どこにでもいそうなお父さんが本気で人生に向き合っているんだ。その姿にはとてつもない哀愁があり、どこにもヒーロー感なんてない。

でもその泥臭くてダサい生き方をしてきたお父さんが極上にかっこいいんだ。

娘役のエマ・ストーンに「もっとオヤジの事を見てやってくれー!」と言いたくなるwでも娘はちゃんとお父さんの背中を見てくれない・・・ただ、このもどかしさが後半にいくにつれて少しずつカタルシスを産んでいくんだ。

ネタバレになるからこれ以上書かないけど、最っ高のラストシーンだったよ。人によってはボロ泣きしちゃったり、逆にホッコリとした笑顔でエンドロールを迎えるかもしれない。全てのお父さんはもちろん、父を持つ全ての人が観るべき映画なのは間違いないね。

こんな名作はそう出会えるものじゃないし、こんな名作を作るような監督もまたそういない。

文句なし、傑作

評価、視聴方法

ラストだけじゃない名シーンの連続

個人的には映画史の中でも屈指の名作だと思いました。

今作品は終始心地よいジャズドラムが響いています。ジャズという音楽には即興だったり掛け合いの演奏、一定じゃないリズムなど色々な文化と歴史がありますが、そのアドリブ的な音はまさに人生に似ています。作中ではまるで主人公のリーガン・トムソンを応援してるかのように渋いドラムジャズが流れていました。

それと作中、たまに流れるクラシック音楽もまた良いんですよね。リーガン・トムソンの感情表現として使われていましたが、本当に素敵なシーンばかりでしたよ。僕はクラシック音楽をよく知りませんが、セルゲイ・ラフマニノフが作曲した交響曲Allegro moltoという曲らしいです。

わかりやすく奥深いストーリーに、映画をそんなに観ない人だって一発でわかるワンカット映像のすごさ、そして素晴らしい俳優陣・・・こりゃオスカー獲りますよね。

万人にオススメできる素敵な映画なので是非ご覧ください!

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マイケル・キートン大絶賛しましたけど、エドワード・ノートンに興味を持ったならファイトクラブエマ・ストーンに惚れたならゾンビランドをオススメしますよ!どちらも超面白いです^q^

では、良き映画の時間をお過ごしください。