2009年公開。ゾンビ映画で史上最高の興行収入を叩き出した作品です。
監督のルーベン・フライシャーは「ゾンビ映画なんて観た事ない」と言ってるらしいんですが、確かに他のゾンビ映画とはかなり違うテイストに仕上がってると言えます。何と言うか・・・ゾンビは出てくるんですけど中身はハートフルなコメディなので、ホラーやゾンビが苦手な人でも全然楽しめると思います。
ちなみにルーベン・フライシャー監督は長編映画だと今作品が1作目、そしてマーベルコミックから実写化したヴェノムを撮った方ですよ。
本記事ではあらすじ、キャスト・スタッフ情報の他に、個人的な感想、視聴方法も記載しています。
もくじ
作品情報
- シッチェス・カタロニア国際映画祭 – 観客賞[受賞]
- 放送映画批評家協会賞 – コメディ映画賞[ノミネート]
- デトロイト映画批評家協会賞 – 助演男優賞[ノミネート]
受賞歴としてはいまいちかもしれませんが、映画関係各誌や評論家、ネットなどではかなり高く評価されています。
今作品は決して高尚な映画ではありませんが、小難しい事を一切考えずに楽しめるという点では、ずば抜けた傑作だと断言できます。疲れてる時とかに観て欲しい映画ですね!
あらすじ
謎の新型ウイルスによって人食いゾンビだらけになってしまった地球・・・アメリカもまさに「ゾンビランド」と化していた。数少ない生き残りの1人である大学生のコロンバスは生き残る為に32のルールを作り、慎重に生き延びてきた。彼は両親の住むオハイオ州コロンバスへと向かう旅の途中、ワイルドな男タラハシーと出会い旅を共にする。そこに廃墟と化した大型スーパー内である2人の姉妹と出会うが・・・。
キャスト、スタッフ
監督 – ルーベン・フライシャー
脚本 – レット・リース
撮影 – マイケル・ボンヴィレイン
編集 – アラン・ボームガーテン
コロンバス – ジェシー・アイゼンバーグ
タラハシー – ウディ・ハレルソン
リトルロック – アビゲイル・ブレスリン
ウィチタ – エマ・ストーン
コロンバスの隣人(406号) – アンバー・ハード
ガソリンスタンドのオーナー – マイク・ホワイト
ビル・マーレイ(本人役) – ビル・マーレイ
コロンバス役のジェシー・アイゼンバーグは大学教授の父と道化師の母の間に生まれ、タラハシー役のウディ・ハレルソンは殺し屋の父と弁護士秘書の母の間に生まれたそうですw
ちなみにウディ・ハレルソンは、過去に警官を殴ったりマリファナを栽培したりして逮捕された事があり、映画が公開された2009年には空港でパパラッチを殴ったんですが「パパラッチがゾンビに見えたから」などと供述してましたw
※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。
感想
- ゾンビがサブでメインはロードムービー
- 粗雑な脚本のはずなのに、実によく出来ている
- 実は映画愛に溢れた作品
ゾンビがいる世界での日常を描いた映画
ゾンビ映画やドラマと言えばどんなものを想像する?
ドラマのウォーキング・デッドなんかは好きな人も多いと思う。映画だと大泉洋主演のアイアムアヒーロー、韓国の新感染も面白かったし、ビデオカメラで撮影したスペインのREC/レックなんてのも話題になった。とにかくゾンビ映画は数えきれないくらい世の中にあるし、B級から大作まで幅広く浸食した映画界における1つのシンボルだ。
- 噛まれたら感染する
- 理性がなくなる
- 頭を破壊しないと死なない
そんな数多にあるゾンビ映画のゾンビ達は上記のようなイメージがあるよね。めちゃくちゃ怖いから人は逃げる。その逃げ惑う様子を僕達はワーキャー楽しんでいる。
ちなみに、これらゾンビの方程式というかルールを作ったのは故ジョージ・A・ロメロ監督・・・シネフィル達が今でも愛してやまないイカれた爺さんだった。ロメロ監督については書きだすと止まらなくなりそうだから話を戻すけど、今作品もこのロメロルールにそったゾンビが出てくる。がっつり走るから正確にはロメロゾンビと少し違うけど、噛みつくだけじゃなく人だって食べちゃうし、血がいっぱい噴き出してグロいシーンもある。ストーリーとしても、この恐ろしいゾンビ達から逃げたり戦ったりする映画だ。それは間違いない。
ただ、今作品の素晴らしい点の1つなんだけど・・・この映画は全く怖くないw
これまで数多に作られてきた「ゾンビ怖いだろ~?」というゾンビ映画とは全く違う。何と言うか、ゾンビがうじゃうじゃいる世界でゾンビに慣れすぎた人達のお話なんだ。もっと言えばゾンビに慣れすぎた人達のハートフルな友情と恋愛ストーリーで・・・彼らのロードムービーとなっている。
ゾンビという言葉がゲシュタルト崩壊しそうだからざっくり紹介すると・・・要するにめちゃくちゃ面白い映画だ。
結構雑に作られてるのにくっそ面白い理由
今作品は32のルールというのが1つの面白い要素になっている。
例えばゾンビは必ず2度撃ちして頭を狙う事だったり、車を運転する時は必ずシートベルトをする事だったり。確かに他のゾンビ映画でも、ちょっとした凡ミスによって死んじゃうやつとかいるよね。木の枝踏んだ音で気付かれて死亡、不用意に車を開けて腕噛まれて死亡、倒したと思って安心し座り込んでからの死亡・・・wこうした過去の映画に出てきた「そんな事しなければ大丈夫だった死」を遂げたキャラクター達の二の舞にならないように、主人公コロンバスは32のルールを自身に課して生き抜いてきた。
なるほど、面白そうじゃねーか!
予告を観て僕も思ったさ。でも、いざ観てみたら32のルールなんてものは中盤から雑になってきて、後半に至っては制作陣も忘れてただろ!とつっこみたくなるレベルだ。ただ、これはダメ出ししてるんじゃない・・・むしろ制作陣の狙い通りなんだと思う。そもそもゾンビや32のルールという要素はフックにしてるだけで、今作品の面白さは全く別のところにあるんだ。
それは登場人物達の人間模様。
コロンバス、タラハシー、詐欺師姉妹の4人がドライブをしながら少しずつ距離を縮めていく空気感は絶妙で、もはやゾンビなんか出てこなくてもシンプルなロードムービーとして面白い。後半の遊園地シーンなんか状況や設定がつっこみどころしかない程バカやってるんだけど、それは人間模様を描く為に強引なドリブルをかましてるだけで、制作陣は遊び心を持ってわざと雑に作ったのだと僕は思う。誰が観ても雑なクライマックスなのに、鑑賞後「この4人のお話をもっと観ていたいな~」と思った人はかなり多いんじゃないかな。
素敵な余韻のある映画だよ。
ビル・マーレイのカメオ出演
今は知らない人も結構いるかもしれない。
ゴーストバスターズの1人、コメディアン俳優のレジェンドだ。いや、コメディだけじゃない!ロスト・イン・トランスレーションなんて超オススメだから是非観て欲しい1本だ。日本で言うと個人的にはリリー・フランキーに似てると思う。面白いのにかっこいい。そしてかっこいいのにダサい・・・何と言うか、表情の演技だけで1本勝ち出来ちゃうような異常に味のある役者なんだ。
そんなお方がカメオ出演しているわけだけど、今作品を観るなら前情報として、このビル・マーレイの事を知っておいた方が楽しめると思う。といってもハリウッドのレジェンド俳優だという事だけでいいけどね。興味がある人はとりあえずゴーストバスターズを観ておけばOK。変なおじさん4人が幽霊たちと戦うコメディ全開映画で超楽しいよ!昔はテレビの金曜ロードショー等でよくやってて、僕は子供ながらにワクワクしてた記憶がある。
このビル・マーレイを本人役で登場させただけじゃなく、今作品ではチラホラと映画のメタ要素が出てくる。それは観てのお楽しみだけど、まるでタランティーノ監督作品のような映画愛に溢れた作品になっているんだ。
「交差させるな!」というセリフ・・・個人的にはすごく懐かしく感じて嬉しくなったよ。
こんなに面白い映画をありがとう、ビル・マーレイ。ありがとう、ゾンビランド。
評価、視聴方法
続編は「ゾンビランド:ダブルタップ」公開はいつ?
公開は2019年の11月22日の予定です!
本記事は2019年8月31日に書いているんですが、めちゃくちゃ楽しみにしています。というのも制作陣、監督・・・そしてメインキャストであるウディ・ハレルソン、ジェシー・アイゼンバーグ、エマ・ストーン、アビゲイル・ブレスリンの4人も全員続投するんです!10年ぶりとなるのに・・・よくぞ集めてくれました!そしてビル・マーレイも続編に出てくるらしいんですけど、なんと今度はもう1人・・・ゴーストバスターズのメンバーがキャスティングされているんです。
それは・・・ダン・エイクロイド!
これは観るしかありませんwもう何年もゴーストバスターズなんて観てないですが、久しぶりに観てみようかな・・・今作品もそうですけど、頭からっぽにしてケラケラ笑える映画って最高ですよね!というわけで、一応ゴーストバスターズの視聴リンクも置いておきます。
前述しましたが、前情報として観ておくとゾンビランドをもっと楽しめますよ!
「ゾンビランド」の視聴方法
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深く考えないで笑える映画を観たい人はチャウ・シンチー監督の西遊記~はじまりのはじまり~も超オススメです!あとゾンビでコメディなら話題になったカメラを止めるな!もこれを機にいかがでしょう?
では、良き映画の時間をお過ごしください。