映画「カメラを止めるな!」あらすじ、感想【製作費300万円で売れた理由】

カメラを止めるな!

2017年11月に先行公開。

製作費300万円で作られたミニシアター系の作品ですが、国内及び海外の映画賞を数々受賞し、2018年6月に日本国内で凱旋上映となりました。

SNSの口コミで広がった事もあり気が付けば全国上映・・・シンプルにすごすぎますねw

有名な人なんて誰も出てないですが、他に類を見ない作品ですので、是非1度は観る事をオススメしますよ!

本記事ではあらすじやキャスト情報の他に、個人的な感想、視聴方法なども記載しています。

ジャンル:ホラーコメディ
作品時間:95分

作品情報

  • 優秀作品賞
  • 優秀監督賞 – 上田慎一郎
  • 優秀脚本賞 – 上田慎一郎
  • 優秀主演男優賞 – 濱津隆之
  • 優秀撮影賞 – 曽根剛
  • 優秀音楽賞 – 鈴木伸宏、伊藤翔磨、永井カイル
  • 優秀録音賞 – 古茂田耕吉
  • 優秀編集賞 – 上田慎一郎
  • 話題賞 – 作品部門

日本アカデミー賞だけでもこれだけ受賞・・・!他にも国内外問わず数多の賞を総なめしています。

あらすじ

とある自主映画の撮影隊が山奥の廃墟でゾンビ映画を撮影していた。本物を求める監督は中々OKを出さずテイクは42テイクに達する。そんな中、撮影隊に本物のゾンビが襲いかかってきた!大喜びで撮影を続ける監督、次々とゾンビ化していく撮影隊の面々。”37分ワンシーン・ワンカットで描くノンストップ・ゾンビサバイブムービー!”こんな映画を撮った彼らは一体どうなってしまうのか!?

キャスト、スタッフ

監督・脚本・編集:上田慎一郎

日暮隆之 – 濱津隆之
日暮真央 – 真魚
日暮晴美 – しゅはまはるみ
松本逢花 – 秋山ゆずき
神谷和明 – 長屋和彰
細田学 – 細井学
山ノ内洋 – 市原洋

監督含め有名どころは出ていません。なんせ製作費300万ですから!

※ここからはネタバレもあるのでご注意ください。

 

 

感想

  • 製作費300万円という低予算映画
  • ワンカットで撮られた37分の映像は必見
  • ゾンビ映画なのに一切怖くない

冒頭37分が退屈になっている

本作品は芸能界の著名人や映画関係者も大絶賛だし、賞も海外含め数多に受賞している。

SNSで口コミが広がり興行成績も30億円超えたようでビジネスとしても大成功だが、だからといって名作か?と問われたら難しい・・・。正直僕は1本の映画作品として名作とは思わなかった

まず、冒頭から37分間ワンカットでの短編B級ホラー映画が流れるんだけど、ここから既に第1の伏線が張られていて映画が好きな人ほど違和感に気づきやすくなっている。で、その後の登場人物達の日常の中に第2の伏線が張られており、これは映画をほとんど観ない人でも気づきやすくなっている。といってもどちらも気づきやすいけども。

とにかくこれらの伏線を全てラスト30分に回収していく、ここが痛快で最大の見せ場になっている。

映画をあまり観ない人からしたら、普通の映画とは明らかに違うストーリー構成なので理解しにくいと感じる部分もあるのかな?そんな事はないと思うんだけど、話題が先行して色々な人が絶賛してるから流されて面白いといってしまう人が多いかもしれない。低予算なので大作映画へのアンチテーゼのような今作品をプッシュしたくなる人の気持ちもよくわかる。

でも・・・だからといって簡単に名作と言うのは逆に映画の未来に悪影響を及ぼすように思う。

ちなみに上記した伏線については、色々なレビューサイトや映画ブログにてたくさんの人が考察していて「よくできてる!」というんだけど、ぶっちゃけ伏線が露骨すぎるし映画の手法としては手垢がついてるどころではないのでよくはできてない。

「はじめの37分が退屈だったけど、そういう映画か!と理解できてからは腹抱えて笑いました!」

こういう声がレビューで多かったんだけど、本当に退屈なのは登場人物達の背景を描く日常シーンであり、むしろ冒頭37分の映像はワンカットで長回し大変そうだなあと感心が勝ってしまう。ちなみに今作品を2度3度と何回も観た人は改めて冒頭37分を観た時、雑すぎて笑えたでしょう?

でもこれ全部計算通りなんだよね。確かに僕は名作とは思っていない、でも面白かったんだよ。

この映画は伏線を露骨に作らないといけなかった理由があるんだ。

露骨すぎる伏線の重要性

観客が伏線に気づかなかったら、この映画の脚本は崩れてしまう。

どういう事か説明していくと、今作品は伏線を上手にやっていればもっと面白かったんじゃないか?と言いたくなるが、もどかしいかな・・・それはストーリーや設定上、不可能なんだよね。何故なら、観客に気付いてもらわないといけない映画だから。

今作品は、冒頭37分のワンカット映像がつまらなくてはいけないというイカれたギャンブルをかましてるのだ。

大作では絶対にできない。もし貴方が映画監督だとして「序盤はわざとつまらなくなってる作品なんですが・・・」と大手配給会社やスポンサーにプレゼンする勇気ある?絶対にOKは出ないだろうwこれはミニシアターだからこそ実現した奇跡の脚本なんだ。

伏線に気づいた観客は、ラスト30分のクライマックスに相当なカタルシスを感じたんじゃないだろうか。ちなみに僕はケラケラ笑いながら楽しめたし、ラスト10分の組体操シーンなんかは「頑張れ!頑張れー!」とハラハラする至極の名シーンだと感じたよw

個人的に映画ジャンルでは喜劇(コメディ)が1番好きなんだけど、今作品のクライマックスはまさにそれだった。

しかし・・・僕がこの映画で最も称賛したい部分は他にある。

駄作でも凡作でも名作でもない映画

落としたり持ち上げたりして何が言いたいんだ!

一応、この映画のオマージュの気持ちを込めて少し変わった書き方をした・・・わかりにくかったらゴメンナサイwでも僕の文章とは違い、今作品は実にわかりやすく、キャッチーで最後は皆を笑顔にする映画になっていたよ。

ただ繰り返しになるけど、誤解してほしくないのは決して名作だとは思っていない。

この映画は冒頭37分と退屈な日常シーンで徹底的に伏線を張り、ラスト30分で回収していくところに面白さがある。プロモーションでも言われていた「この映画は2度始まる。」確かにそうだ。

でも僕が最も称賛したいのはエンドロールでもう1度カメラを回している点・・・これには本当に制作陣の愛を感じた。あまり詳しく書くとネタバレになるけど、ざっくり言えば映画あるあるをやってくれているんだ。そもそも本編自体が異端な構成だし、それだけでも全然楽しめるのに、エンドロールで観客をもう1度楽しませようとしてくれた事に嬉しさを感じたよ。

興行収入的に大成功を収めた背景には、海外の映画ファンが評価してくれた事、そして日本でもSNSで拡散していった事が大きな要因だろうけど・・・何よりも制作陣の愛と努力とサービス精神と遊び心によって作られたからだと言いたい。邦画史上かなり異端な今作品が埋もれなくて本当に良かった・・・制作陣には拍手と祝辞を送りたい。

これは駄作でも凡作でも名作でもない、映画馬鹿達が作った奇作だ。

評価、視聴方法

300万円の製作費ってどれ程すごい?

はっきり言って1本の映画を撮るには無理がある金額です。

普通に考えてエンドロールに刻まれる全ての個人、法人にお金が回らないといけないわけで・・・キャスト、スタッフ、プロモーション費用、ロケ地の許認可、機材、維持費、移動費、そしてやっとこさ編集を仕上げて今度は配給会社に土下座外交、何とか上映できる事となり、単館とはいえ「とうとう公開だー!」となって客が2人・・・とか泡吹いて倒れますよねw

これをやってのけて、しかも大成功を収めた今作品はやっぱりすごい映画だと思います。大作映画は往々にして楽しめますが、たまにはこうしたミニシアターの気概に触れるのも悪くないと思いますよ!

ちなみに・・・もし、まだ観てないのに最後まで読んでくださった方がいたとしたら、ありがとうございます。一応、公式の予告動画など事前の宣伝を超えたネタバレは一切書いてないので安心して鑑賞してくださいw

「カメラを止めるな!」の視聴方法

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低予算・・・俗にB級映画と言われますが、そういう映画を撮ってる人達の技術は決してB級ではありません。むしろ発明に近い技法を数多に作り、大作も真似ていたりします。嘘だと思うならフレディvsジェイソンも観てみてください!彼らがちゃんと予算を使って、本気で作ったらどんな面白い映画になるかわかるはずです!

では、良き映画の時間をお過ごしください。