2016年公開。興行収入250億円という尋常ではない成功を収めた新海誠監督によるアニメーション映画です。
何となく作り手側からは批判、大衆からは絶賛のイメージがありましたが、色々な人からレビューしてほしいと言われたので、やっとこさ初鑑賞しました。音楽はRADWIMPSが手掛けていますが、まるでMVのような映像に仕上がってましたね！
本記事ではあらすじ、キャスト・スタッフ情報の他に個人的感想、視聴方法も記載しています。
もくじ
作品情報
- 最優秀脚本賞 – 新海誠
- 最優秀音楽賞 – RADWIMPS
- 話題賞
- 優秀アニメーション作品賞
- 優秀監督賞 – 新海誠
2016年はシン・ゴジラもあってアニメ業界の方々が席けんしてましたね！
あらすじ
東京の四ツ谷に暮らす男子高校生・立花瀧と、岐阜県飛騨地方の山奥にある糸守町に住む女子高生・宮水三葉･･･2人はある朝、目を覚ました時に体が入れ替わっていた。その後、何度も入れ替わる事に戸惑いながらも、少しずつ現実を受け止める2人だが、突然この現象が起きなくなる。瀧は記憶だけを頼りに三葉に会いに行くが･･･
キャスト、スタッフ
原作・脚本・編集・監督 – 新海誠
音楽 – RADWIMPS
立花 瀧 – 神木隆之介
宮水 三葉 – 上白石萌音
宮水 四葉 – 谷花音
宮水 一葉 – 市原悦子
宮水 俊樹 – てらそままさき
宮水 二葉 – 大原さやか
勅使河原 克彦 – 成田凌
名取 早耶香 – 悠木碧
奥寺 ミキ – 長澤まさみ
藤井 司 – 島﨑信長
高木 真太 – 石川界人
ユキちゃん先生 – 花澤香菜
ユキちゃん先生は新海誠監督の前作「言の葉の庭」のヒロインだそうですね。僕はあまりアニメが詳しくないんですが、新海誠作品ではこうしたクロスオーバーがたまにあるようです。
※ここからはネタバレもあるのでご注意ください。
感想
- 王道を超えた恋愛の古典的ストーリー
- RADWIMPSが好きな人にはたまらない映像センス
- 売れる為に必要な要素が盛りだくさん！
様々なクリエイターが批判している？
新海誠監督は東日本大震災の被災地に行った時に今作品の制作を決心したらしい。
確かに今作品のストーリーは単純な男女の恋愛を描いてるわけではなく、彗星の墜落という理不尽な自然災害も描かれていて、それがストーリーの中核に関わってくる。てっきり鑑賞前は、織姫と彦星の天の川伝説を現代版に落とし込んだのかな？と思っていたｗ
っと･･･僕の稚拙な夏休み感想文みたいな批評の前に、まずは様々な人達の批評コメントをまとめてみる。
- 是枝裕和/映画監督
当たる要素をてんこ盛りにしすぎ。女子高生とタイムスリップという題材からはそろそろ離れないといけないのではないか。 - 江川達也/漫画家
大人のドラえもんみたいなもん。売れる要素をぶち込んでるけど、プロからみたら全然面白くない。 - 富野由悠季/アニメーション監督
流行りものであって、5年後も見られるかどうかは、かなり怪しい。新海くんは、自分の趣味性の部分だけで作っている感じがある。 - 石田衣良/小説家
たぶん新海さんは楽しい恋愛を高校時代にしたことがないんじゃないですか。実体験がないからこそ作れる理想郷です。 - 井筒和幸/映画監督
オタクのオナニー動画。あれは「映画」ちゃうから。
言い過ぎｗｗその他にも数多の批評家やクリエイターから低評価のコメントが目立つ今作品だが、一方で観客は絶賛の声が目立つ。これは日常的に映画を観ている層と、話題になったから観にいった層の差ってだけで、他作品でも興行収入がうまくいった映画にはよくある現象だ。感想なんて人それぞれといったらそれまでだけど、それにしても皆さん辛辣な評価をするもんだわｗ
で、僕はというと･･･うーん、まあ面白かったよ。ただ僕もレビューするとなると、少しつつきたくはなってしまったね。井筒監督はあまり好きじゃないし、さすがに言い過ぎだと思うんだけど･･･確かに映画という感覚にならなかったのは正直なところだ。
なんというか長編ミュージックビデオになってしまっているんだよね。
RADWIMPSのMV的な映像をどう見るか
始まって2分･･･「君の名は。」というタイトルがババーン！と出て、早速RADWIMPSのオープニング曲が始まる。
僕はあまりアニメ映画というものを観ないからわからないんだけど、確かにアニメってオープニングとエンディングの曲が話題になるし、映画でもアニメだとこういう作りになる事が多いものなのかな？
冒頭で主人公2人の現在を描き、このオープニング曲が終わると過去の回想という形で本編が始まる。まずはヒロインである三葉の日常を描いていて、朝起きる、妹とお婆ちゃんがいる、友達にテッシーと早耶香がいる、お父さんが町長候補である、住んでる場所(糸守町)はド田舎である･･･と、まあ教科書のように丁寧に状況を説明してくる。で、次にもう1人の主人公である瀧の日常、こっちもまた丁寧に描き、どんなバカが観ても理解できるように作られている。
2人はそんな日常の中で、友達の反応などから少しずつ違和感を感じ始める。それは自分が自分じゃない時があるという事･･･そしてとうとう2人が「もしかして誰かと入れ替わってる？」と確信した時･･･RADWIMPSの有名な前前前世がスタート！
ここまでキッチリ30分･･･新海誠監督はアニメの第1話でも作ったのか？？
フックで30分かける映画というのは他にもあるから別にいいけどね。言ってしまえば今作品の本編はほとんど30分後から始まるというだけだ。多分、新海誠監督はかなり構成を考えて、めちゃくちゃ丁寧に作ったんじゃないかと思う。ただ、その丁寧さは映画において冷める要因になる事も多く、特に主人公の瀧がペラペラと話しながら現状を説明するシーンなんかは観ていて恥ずかしくなるというか･･･。
はっきり言って、アニメが好きな人達はここまで説明しないとわからないものなのかと感じてしまった。
一応、この第1話とも言える30分のフックはしっかりと作品の色を紹介出来ていたし「なるほど！で、どうなるんだ？」と好奇心はくすぐられたが、同時に一番印象に残ったのは･･･RADWIMPSのMV的な映像になってしまう。
逆説的に言えば、RADWIMPSの音楽が無ければ凡作以下の可能性まであったんじゃないか？と感じてしまったよ。
中盤からのミステリー要素で面白くなってくる
少し批判よりのレビューになってるけど、中盤からはギアもあがり面白くなっていった。
今作品は男女が入れ替わるという設定だけじゃなく、時空を超えた出会えないはずの2人というファンタジー要素がプロットにある。こうしたタイプリープ系の作品は、よく矛盾があると萎えるという人もいるよね。僕はちゃんとごまかしてくれていれば気にしないし、ざっくり言えば面白ければいいと思う。
新海誠監督がどこまで計算だったか知らないけど、今作品は前述したRADWIMPSがかなり目立つ事もあり、変な違和感や矛盾の粗探しを観客にさせなかったんじゃないかな。中盤の瀧が三葉に会いに行くあたりからは、瀧と一緒に謎解きをしてるような感覚になれて楽しめたし、名前を忘れていってしまう悲しさ、苦しさには「何とかならんのかあー！」と感情移入もできた。そして彗星墜落からの避難作戦･･･非常にハラハラする中で「助かってくれ！」と祈ってしまう素晴らしいクライマックスだと思った。
ただ･･･その裏でずーっと流れてるんだよ、RADWIMPSが。
確かに映画において音楽というのは非常に大切だけど、ここまで前に出てこられると一体何を見せられているんだという気持ちになってしまう。決してRADWIMPSが嫌いなわけじゃないんだ。そうじゃなくて･･･僕はMVではなく映画を観たいんだ。
新海誠監督に言いたい･･･ストーリーや演出に既視感がありまくるとはいえ面白かったのは面白かったんだよ。
でもだからこそ、次作は”映画“を作ってほしい。
評価、視聴方法
新海誠監督の次作に期待
正直なところ、細かく書けばツッコミどころはもっと沢山ありますが、全体的には面白かったと思います。
アニメ映画って僕の勝手なイメージなんですけど、作品によって観る層が全然違いますよね。具体的に言えばクレヨンしんちゃんやドラえもんの映画を観る層と、今作品の観る層って一緒とは思えないんです。あとテレビの深夜アニメというカテゴリーのファン層と、ジブリ映画のファン層も違いませんか？シネフィルと呼ばれる映画ファンはハリウッドの大作映画からミニシアター系のB級まで、全て”映画”として観ます。
つまり何が言いたいのかというと、アニメ映画は文化の成り立ちが違うと思うんですよね。今作品の入れ替わる設定やタイムリープという大きな要素は数多に使われてきたネタなので、確かにシネフィルが批判したくなる気持ちもわかります。実際、僕も大絶賛のレビューにはなりませんでしたし。
ただ、新海誠監督が丁寧に作ったというのは伝わるし、ストーリーも全然面白かったですよ！
駄作か名作か問われると･･･個人的には凡作ですが、興行収入250億円とか歴代2位か3位ですよね？相当すごい事ですし、アニメ映画の金字塔なのは間違いありません！
最後に、もう1つ･･･アニメーションって今こんなにリアルなんだな～と感心しちゃいましたｗアニメ映画なんてジブリくらいしか観てこなかったんですが、これからは違う作品も観てみようと思いましたね。
次作はどんな作品を出すんだろう？期待してます！
「君の名は。」の視聴方法
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アニメファンの皆さん、実写映画のラブストーリーも是非堪能してください！最近だと舟を編むなんかオススメですよ！
では、良き映画の時間をお過ごしください。
