オズの魔法使で大スターとなった女優ジュディ・ガーランドの伝記映画です。
主演はレネー・ゼルウィガー!個人的には昔からレニーと呼んでいたので、いまいち最近のレネー表記にまだ慣れませんが、ご自身が「正確にはレネィだよ」と仰せなので、以後はレネーで統一しますw日本だとブリジット・ジョーンズの日記で知ってる人が多いと思いますが、この女優・・・演技が超うまい方でして、ぶっちゃけレネーさんの演技だけでも観る価値があります!
できれば映画館で観て欲しい作品ですが、DVDやブルーレイになってからでもいいので絶対に観る事をオススメしますよ!
[ジャンル]ノンフィクション、ヒューマンドラマ[作品時間]118分
[公開日]アメリカ:2019/9/27|日本:2020/3/6
- 予告動画やキャスト情報
- ネタバレありの感想
- 評価とサントラ紹介
もくじ
作品情報
ゴールデングローブ賞、SAG賞、BAFTA賞、そしてアカデミー賞と、レネー・ゼルウィガーが主要の映画賞で根こそぎ主演女優賞をかっさらっていきましたね。個人的には1本の映画として、アカデミー作品賞でオスカー像を持ち帰ってもおかしくない大傑作だと思います。
あらすじ
1939年・・・ハリウッドで「オズの魔法使」のドロシー役からスターダムへと駆け上がったジュディ・ガーランド・・・しかしその裏にはダイエット薬として覚せい剤を渡され薬物依存に陥ったり、精神的にも追い込まれる壮絶な人生があった。1967年・・・47歳となったジュディは2人の子供と、安いギャラでクラブを巡業していたが、ある事がキッカケでロンドンのクラブでショーをする事になる。借金の完済、そして子供達と暮らす為の家を目標に、ジュディは再びスポットライトの当たる場所へと向かうが果たして・・・?
スタッフ・キャスト
原作 – ピーター・キルター「エンド・オブ・ザ・レインボー」
監督 – ルパート・グールド
脚本 – トム・エッジ
音楽 – ガブリエル・ヤレド
ジュディ・ガーランド – レネー・ゼルウィガー
青年期 – ダーシー・ショウ
ロザリン・ワイルダー – ジェシー・バックリー
バート – ロイス・ピアソン
ミッキー・ディーンズ – フィン・ウィットロック
ローナ・ラフト – ベラ・ラムジー
アスキス – アーサー・マクベイン
ロニー・ドネガン – ジョン・ダグリーシュ
ライザ・ミネリ – ジェマ・リア=デヴェロー
ノエル – デヴィッド・ルービン
シドニー・ラフト – ルーファス・シーウェル
バーナード・デルフォント – マイケル・ガンボン
ルパート・グールドの事は全く知りませんでしたが、本業は舞台監督だそうです。映画としては今作品で3作目・・・是非、今後も映画を撮り続けて欲しいですね!
※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。
感想
- あまりにも壮絶なジュディの人生
- 大スターの生き様とリアルの対比
- 映画史に残る感涙の悲劇!
レネー・ゼルヴィガーの超演技に唖然!
レネー・ゼルヴィガーは鉄板だな!この人じゃないと今作品は成立しなかったよ。
本来、役者の演技ばかり褒めたたえてるような感想レビューは信用できない。それは裏を返せばストーリーの根幹になる脚本や、演出、構成がイマイチだった可能性があるからだ。でも今作品は違う・・・まず第一にジュディ・ガーランドという女優の人生自体があまりにも壮絶でドラマチックだし、そんなストーリーを彩る演出も最高品質だった。
その上で、レネー・ゼルヴィガーの演技がすごすぎて名作に仕上がっているのだ。
元々演技力に定評のある女優だという事は認知されてたと思うけど、今作品のレネー・ゼルヴィガーは表情、仕草など細かい部分まで絶品で、悲壮感漂うシワだらけの愛想笑いにはストーリーも相まって、正直観るのが辛くなったレベルw
ジュディ・ガーランドという女優については、オズの魔法使を小さい頃に何度か観た事がある程度で、僕は晩年の彼女の事なんて全く知らなかったんだけど、映画を観終わった後に検索して超似てた事を知ってびっくり!改めてレネー・ゼルヴィガーの演技はもちろん、メイクや衣装などの作りこみに驚いたよwもしレネー・ゼルヴィガーを、ポッチャリ系女子としてバカ売れしたブリジット・ジョーンズの日記での印象しかない人は、今作品を観ても信じられないかもしれない。
「本当にレネー・ゼルヴィガーなのか?」と。
それほどまで別人に思えてくるというか・・・もはや完全にジュディ・ガーランドなのだ。しかも作中の歌は全てレネー・ゼルヴィガー本人が歌ってるというんだから、さらに驚嘆だ。プロならそんなの当たり前?演技が上手なのは前提?そういうシビアな意見もあるかもしれないけど、今作品のレネー・ゼルヴィガーはそういう次元じゃない。
ありゃもう完全に憑依してたよw
対比が素晴らしかった秀逸な演出と構成
僕は開始20分頃から映画館で涙が止まらなかった。
それはジュディが初めてステージに立つシーン・・・そもそも彼女はオズの魔法使でハリウッドのスターダムを駆け上がって大スターになったけど、47歳となった彼女は借金苦に悩みながらも子供2人を育てる為に、安いギャラで小さなクラブを巡業していた。まさに凋落・・・でもジュディは子供との生活の為に、何とかまだ人気が残っていたロンドンに単身向かってステージに立ったのだ。
そんな初舞台、出番直前になってもジュディは現場におらず、ホテルの部屋に引きこもっていた。駆けつけたマネージャー的立場のロザリン・ワイルダーに引っ張られながらなんとか間に合うも、舞台袖まできて「やっぱり無理!中止しよう!」と駄々をこねる始末・・・ロザリンはそんな彼女の背中を「お客さんが待ってるから!」と強引に押してステージへ向かわせる。
待っていたお客さん達の歓声が沸くと、そこにはさっきまで駄々をこねていたジュディではなく、大人気スターのジュディ・ガーランドになっているのだ。流暢なしゃべりで観客を笑わせ、歌い出したら圧巻のステージング・・・舞台上のジュディ含め、観客の誰もが笑顔の素晴らしいシーンだった。
でも観てるこっちはボロ泣きなのよ。
ジュディは若い頃にダイエット薬と言われて覚せい剤を渡され薬物中毒になったり、好きなものも食べさせてもらえなかった。しかもパワハラどころではないプレッシャーを受けながら、大人達の都合で大スターをやらされて生きてきたという・・・。今作品はこうした悲劇を冒頭から描いてきた上で、圧巻のステージシーンを見せてきたのだ。つまりジュディ・ガーランドという人は、大スター・ジュディを演じ続けた人生だったというわけだね。
華やかな大スターと、その裏側にある悲劇の人生・・・この対比はえげつなかった。
彼女が大スターのジュディ・ガーランドを演じてる時間は決してステージ上だけじゃなく、例えば関係者と話す時や、街中で声をかけてくるファンに対しても、彼女は大人気女優ジュディ・ガーランドとして接しなければいけないんだよね。
つまり彼女がジュディ・ガーランドを演じているシーンは、全て悲劇に映ってしまうんだよ。
その上、パワハラを受けつつも悪い大人に洗脳されていく若い頃を、まるでサブリミナル効果のように挿入してくる。「もうやめてくれ」と何度も心の中で叫んだよ。ルパート・グールド監督の対比をうまく使った演出と構成には圧巻だったけど・・・やりすぎだぞ!
嗚咽の連続だったから、声を殺しながら観るのは本当に大変だったw
実話?クライマックスの「Over The Rainbow」
ボロッボロ泣かされまくりの2時間・・・クライマックスは地獄だ。
僕はあまりの傑作っぷりに、観てる最中・・・ある大切な事を忘れていた。今作品の邦題は「ジュディ 虹の彼方に」だよね。「虹の彼方に(英題:Over The Rainbow)」はオズの魔法使でジュディ・ガーランドが歌った劇中歌なのだ。その曲をレネー・ゼルヴィガー演じるジュディが最後に歌い出す・・・油断どころじゃなかったわ!ただでさえ声を殺しながら観ていて大変だったのに、体まで震えてきたw
前述したように、僕はジュディ・ガーランドという女優をよく知らなかった。でも、この人の最期だけは何となく知ってたのよ。ジュディという人は睡眠薬を過剰摂取してバスルームで亡くなったと言われている。これが事故なのか自殺なのかはわからないんだけど、確かに彼女は何度も自殺未遂をしてきた人生だったんだよね。
今作品のクライマックスは、レネー・ゼルヴィガーが素晴らしい歌声でOver The Rainbowを歌ったけど、実際にジュディ・ガーランドも歌っているんだ。それは1969年3月25日にデンマークで行われたラスト公演・・・彼女が他界したのは1969年6月22日なのよね。
観た人ならあの最後のステージシーンに至る経緯を知ってるよね。どういう流れでジュディがあのステージに立ったか・・・それを考えると号泣じゃすまなかったんだ。最後まで歌えないジュディに恩返しするかのようにファンが代わりに歌った演出も、ベタだけどたまらなかった。これから観る人は是非ここを注目してほしい。
沢山の人に愛や希望を与え続け、虹の彼方にいってしまったジュディ・ガーランド・・・彼女の壮絶なる人生は悲劇だったけど、この大傑作で少しは救われたのかも。
これは映画史に残る素晴らしい映画だ。全てにおいて最上級の品質だった。
評価・サントラ紹介
映画史に残る傑作!いや、超傑作!
ジュディ・ガーランドの心情と人生の対比、レネー・ゼルウィガーの素晴らしい名演技、そして実際にご自身で歌われた数々の名曲からのクライマックス→ラスト・・・どこを切り取っても文句ありません。唯一「観やすさ」の評価を4にしたのは、あまりにも辛い悲劇だから・・・人によっては耐えられないかもしれないので満点にはしませんでした。ただ、今作品は「今年観た中で1番の映画!」といったレベルじゃなく、間違いなく映画史に残る不朽の名作になると思います。
正直、個人的No.1映画「カッコーの巣の上で」を抜いたかもしれません・・・いや、でも認めたくないな~wいやいや、でも本当に傑作だったんですよねwとにかくどちらも名作ですから是非観てください!
「ジュディ 虹の彼方に」のサントラ紹介
演じたレネー・ゼルヴィガーが実際に歌っている曲が入っています!僕は今後の人生で「Over The Rainbow」を聴いたら号泣する体にさせられちゃいましたw
では、良き映画の時間をお過ごしください。
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