日本では2008年公開。スティーブン・キングによる原作をフランク・ダラボン監督がメガホンをとりました。
映画史でも断トツの胸糞ラストと語り継がれるSFホラー作品です。今ではちょっと検索すればそこら中に内容を知る事ができてしまう状況になっていますが、ネタバレ厳禁映画なのは間違いないので、できる限り伏せて書こうと思います。ただ観た事が無い方は本記事含め何の知識も入れずに、まずは観る事をオススメしますw
本記事ではあらすじ、キャスト・スタッフ情報の他に、個人的な感想、視聴方法も記載しています。
もくじ
作品情報
元々フランク・ダラボン監督は今作品で映画監督デビューを考えていたそうです。結局は同じくスティーブン・キング原作の刑務所のリタ・ヘイワース・・・つまりショーシャンクの空にでデビューとなりました。2作目もキング原作のグリーンマイル、そしてジム・キャリー主演のマジェスティック、今作品は4作目となります。
ちなみにフランク・ダラボン監督は大人気ドラマであるウォーキング・デットを企画し第1話を監督した方ですよ!
あらすじ
映画ポスターの画家であるデヴィッド・ドレイトンは湖のほとりで妻子3人で暮らしていたが、ある夜に激しい嵐が町を襲った。翌朝、息子を連れ隣人のブレント・ノートンと地元のスーパーへ向かうと、店は嵐の被害に遭った多くの人が来ていて賑わっていた。デヴィッドたちも近隣住民たちと挨拶を交わしながら買い物を楽しんでいたが、店外が騒然としだしサイレンが鳴り始める。そこに1人の男が鼻血を流しながら店内に逃げ込んできて「霧の中に何かがいる!」と叫んだ。気が付けばスーパーは白い霧に包まれてしまうが果たして・・・。
キャスト、スタッフ
原作 – スティーヴン・キング「霧」
監督・脚本 – フランク・ダラボン
デヴィッド・ドレイトン – トーマス・ジェーン
ビリー・ドレイトン – ネイサン・ギャンブル
アマンダ・ダンフリー – ローリー・ホールデン
オリー・ウィークス – トビー・ジョーンズ
ジム・グロンディン – ウィリアム・サドラー
ブレント・ノートン – アンドレ・ブラウアー
サリー – アレクサ・ダヴァロス
バド・ブラウン – ロバート・トレヴァイラー
ノーム – クリス・オーウェン
ウェイン・ジェサップ – サム・ウィットワー
ダン・ミラー – ジェフリー・デマン
アイリーン・レプラー – フランシス・スターンハーゲン
アンブローズ・コーネル – バック・テイラー
マイロン – デヴィッド・ジェンセン
MP – アミン・ジョセフ
バイカー – ブライアン・リビー
ステファニー・ドレイトン – ケリー・コリンズ・リンツ
ミセス・カーモディ – マーシャ・ゲイ・ハーデン
家に子供を残してきた女性 – メリッサ・マクブライド
ウィリアム・サドラーの雑魚キャラ感やマーシャ・ゲイ・ハーデンのむかつく感じも最高でした!今作品は脇の登場人物にも要注目です。
※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。
感想
- 教科書通りのパニックホラー!
- 人間の醜さを描いた群像劇は秀逸
- 衝撃のラスト15分は必見!
ホラーならではの特殊な楽しみ方
今作品は衝撃的なラストが有名だ。
そのおかげで、冒頭や中盤の素晴らしい部分が忘れられがちになっているのが勿体なく感じてしまう。まずホラーというのは映画の中でも特殊なジャンルで、方程式みたいなものがある。
- 1人で先走ったら殺される
- 警察や兵士は役に立たない
- カップルの死亡率は異常
- 子供は生き残る
- 安堵した後は襲われる
他にもシャワー浴びてる女は危ないし、不用意に吠えまくる犬なんかも危険だよねw普通に観て楽しいだけじゃなく、これらの方程式通りに描くのか、それとも裏切ってくるのかと、メタに楽しむ事が出来るというのもホラーの良いところだ。こうした方程式は数多のホラー映画が人を怖がらせる為に積み重ねてきた手法であり、実際に恐怖を増幅していく仕掛けとなっているんだけど、今作品もしっかりと盛り込まれていて、1つ1つ丁寧に逃げ道を無くし恐ろしい状況を作り出していた。
王道だけど、まずスーパーから出たら殺されるという絶望的に逃げ場の無い状況がいいよねwそして今作品のタイトルでもある霧・・・この2つの設定だけで見えない恐怖が完全に出来上がってる。その状況を作った後に裏口での惨劇で人知を超えたモンスターの存在を見せつける・・・そこからの「正面入り口は全面ガラス窓」という恐怖!
助かる気がしないw
今作品は衝撃のラストだけじゃない。フランク・ダラボン監督が丁寧に積み重ねた恐怖がそもそも秀逸なのだ。ショーシャンクの空にで世界を感動させた人とは到底思えない超サディスティックなお方だよw
世界の縮図のような人間ドラマ
ただ怖いだけじゃ凡作ホラー映画だけど、今作品はそれだけじゃない。
パニックホラーでは沢山の登場人物が出てくるものだ。でも今作品の素晴らしいところは出てくるキャラクター達1人1人がしっかりとキャラ立ちしているのだ。宗教女カーモディなんて観てる人全員がイライラしたんじゃないかな?
「いいから黙ってろよ!」
演じたマーシャ・ゲイ・ハーデンには大変申し訳ないけど、本当にむかつくんだよねw他にも主人公にかみついて最後はカーモディにひれ伏したジムや、黒人弁護士の隣人ブレントなど、主人公デヴィッドたちを阻む様々な人間たちの邪魔っぷりは外のモンスターを一瞬忘れてしまうほど腹が立つ。でもすごいのは彼らの立場や主張もわからなくないんだよね。複数人が集まった上でパニックに陥った場合、どうしても揉めてしまう悲しくも醜い人間の性にはイライラすると同時に理解もしてしまう。
何が正義か、どう行動するのが正解かなんてわからないという事だ。
まさかスーパーしか出てこないホラー映画でここまで深い人間模様を見せてもらえるとは・・・もはや描いているのは世界の縮図、人間の本質レベルの話だよね。そんな一筋縄ではいかないよく出来た人間ドラマを横目にフランク・ダラボン監督は着々と恐怖を積み重ねていく。
気が付けばモンスターが店内に侵入!パニックの中で殺される者、逃げ惑う者、そして戦う者がいて、ワーキャーする壮絶なシーンを見せつけておいて、観客には同時に冷静な判断をさせる。
これ助からなくない・・・?
サリーという女性がモンスターに刺されただけで死んでしまうというくだりがより恐怖を増幅する。この中盤の山場で目に見えない恐怖から完全に目に見える恐怖へと綺麗に移行したのは、衝撃的なラストシーンなみに称賛されるべきだと僕は思う。
そこまで予算がない中でよくこんな怪作を作ったものだ。
ネタバレ厳禁?衝撃的なラストは嘘じゃない
今作品はネタバレ厳禁なのは間違いない。
本記事ではできる限り伏せて書いてるつもりだけど、実際にネタバレされても信じられないんじゃないか?それくらい衝撃的なラストだよ。ここまでハードルをあげて書いたら、まだ観た事が無い方は鑑賞時に構えちゃうんじゃないかって?いやいや、その予想を遥かに上回る胸糞が待っているから安心してほしいw
というのも1つのストーリーとして主人公の心情を考えたら言葉が出てこないレベルというのもあるんだけど、今作品の素晴らしい点は最大の仕掛けが別に用意されてるところなのだ。予告でも堂々と言い放っている衝撃のラスト15分・・・こればかりはとにかく観て欲しいとしか言えない。加えて見逃さないで欲しい。
パニックホラーって緩急つける為に、序盤は嵐の前の静けさのような日常を長めに描く事が多いけど、今作品は冒頭からかなり早い段階で本編に入っていく。そして着々と且つ丁寧に恐怖を積み重ねつつ秀逸な人間ドラマを描き、無茶な展開もなく納得のいくストーリーのまま絶望のラストシーンへとつながっている。このテンポの良さもさすが本業が脚本家ともいえるフランク・ダラボン監督だ。
確かに今作品の代名詞が衝撃的なラストシーンなのは間違いない。でもそんなラストに納得せざるを得ない物語の展開自体が秀逸なのも間違いないんだ。胸糞だから観た後にポジティブな気分にはならないかもしれないけど、たった2時間で観た人をここまで絶望のどん底に突き落とす映画はそうそうない。
スティーブン・キングとフランク・ダラボンの相性は最高だね!またこういう上質なホラーを2人で作ってくれないかな・・・切に願うよ。
評価、視聴方法
原作のラストはちょっと違う?
映画史に残る衝撃的なラストシーンですが、原作はもう少し希望があります。
実は映画化する際にフランク・ダラボン監督がラストを改変してスティーブン・キングに提案したところ「この結末は衝撃だな!恐ろしくていいじゃないか」と絶賛したそうです。
よくゾンビ映画などで逃げ切った主人公たちが目指す街ってあるじゃないですか?こんな世界でも人間が平和に暮らす街があるそうな・・・みたいなやつです。原作ではそんな感じの最後になってますね。確かに今作品のラストはそれでも成立しますし十分面白かったとは思います。しかし、この衝撃のラストにしたからこそ恐ろしい余韻を残す映画になったのは間違いないんじゃないでしょうか。
映画というのは、たかが2時間程度で観客を号泣させたり、時には価値観を変えさせる程考えさせられたりと作品によって様々な形で人の心を動かしてくれます。バットエンドを毛嫌いする方の気持ちもわからなくはないんですが、絶望的な気持ちにさせるというのも1つの形だと僕は思います。
これを超える胸糞映画ってあるんでしょうか?今後も出てくるのかわからないくらい他に類を見ないラストですから是非今作品を観て欲しいですね!
定期的に観たくなってしまう中毒性をもった秀逸なホラー映画なのはお約束しますよ。
「ミスト」の視聴方法
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フランク・ダラボン監督なら感動作ショーシャンクの空にもオススメですね!同じく胸糞作品ならセブンなんていかがでしょう?今作品に負けないくらいの絶望が待ってますよ!
では、良き映画の時間をお過ごしください。