1994年に公開されたフランク・ダラボン監督の刑務所モノ感動巨作。
フォレスト・ガンプやパルプフィクションなど、この時期は100年先も語り継がれるであろう名作がポンポン出ております。ちなみに前年にはスピルバーグがトランス状態でシンドラーのリスト、ジュラシック・パークを世に出しています。そんな群雄割拠状態の中でも独特な光を放ったのがこの作品。
ただの感動作ではなく、観終わった後に元気を与えてくれる希望をテーマとした映画なので疲れてる時なんかにいいと思います。
もくじ
作品情報
- 1995年 アカデミー賞 7部門(作品賞、主演男優賞、脚色賞、撮影賞、編集賞、作曲賞、音響賞)ノミネート
- 1995年 ゴールデングローブ賞 2部門(男優賞、脚色賞)ノミネート
- 1995年度 第19回日本アカデミー賞 外国語映画賞
- 1995年度 キネマ旬報ベストテン 外国映画作品賞、読者選出外国映画監督賞、読者選出外国映画ベスト・テン第1位
- 1995年度 毎日映画コンクール 外国映画ベストワン賞
- 1995年度 報知映画賞 外国作品賞
そこら中で評価されていますね。
「1番好きな映画」としてこの作品をあげる人も多いのではないでしょうか?
あらすじ
ショーシャンク刑務所に、若き銀行の副頭取だったアンディ・デュフレーン(ティム・ロビンス)が、妻と間男を殺害した罪で入所してきた。最初は刑務所の「しきたり」にも逆らい孤立していたアンディだったが、刑務所内の古株で“調達係”のレッド(モーガン・フリーマン)は彼に他の受刑者達とは違う何かを感じていた。そんなアンディが入所した2年後のある日、アンディは監視役のハドレー主任(クランシー・ブラウン)が抱えていた遺産相続問題を解決する事の報酬として、受刑者仲間たちへのビールを獲得する。この一件を機に、アンディは刑務所職員からも受刑者仲間からも、一目置かれる存在になっていく・・・。
キャスト、スタッフ
監督 – フランク・ダラボン
脚本 – フランク・ダラボン
原作 – スティーヴン・キング
アンドリュー・”アンディ”・デュフレーン – ティム・ロビンス
エリス・ボイド・”レッド”・レディング – モーガン・フリーマン
サミュエル・ノートン刑務所長 – ボブ・ガントン
ヘイウッド – ウィリアム・サドラー
バイロン・ハドリー主任刑務官 – クランシー・ブラウン
トミー・ウィリアムズ – ギル・ベローズ
ボグズ・ダイアモンド – マーク・ロルストン
ブルックス・ヘイトレン – ジェームズ・ホイットモア
検察官 – ジェフリー・デマン
トラウト – ポール・マクレーン
マート – ジュード・チコレッラ
アカデミー賞ではモーガン・フリーマンが主演男優賞ノミネートしてました。エンドロールではティム・ロビンスが一番上だったのでダブル主演という形だったのかもしれません。ちなみに作中のナレーターもモーガン・フリーマンです。
※ここからはネタバレがあるのでご注意ください。
感想
- 名言連発!セリフが素晴らしい映画
- 希望とはなんなのか?を考えさせられる。
- 小学校で必修鑑賞にするべきレベル
大人気海外ドラマ「ウォーキング・デッド」を作った人
この映画はあまりにも不運な出来事から始まる。
時代は第二次世界大戦が終戦した2年後の1947年。若くして銀行副頭取までのし上がったアンディ(ティム・ロビンス)だが、とある晩・・・彼の妻と不倫相手の2人が殺されてしまう。アンディは事件当日に現場近くで銃を持っていた事が確認されている為、最後まで否認するも終身刑を言い渡されショーシャンク刑務所に・・・。副頭取から服役囚まで落ちるとか普通なら自殺モノだが、収監時のアンディはオドオドしつつも野犬のように警戒している。不運という言葉では軽く感じる程の絶望なのに目は死んでない・・・これこそが今作品のテーマ「希望」であり、観客にも「これは主人公が刑務所から反撃に出る映画か?」と期待する。
しかしアンディは刑務所内でボグズというイカれたやつに目をつけられ、毎日のように袋叩きにされケツを狙われ続ける。毎回抵抗するアンディはたまに撃退したがそれでもしつこく何度も襲われる・・・まさに地獄だ。自分だったらどうする?と考えると絶望どころではない。大半の人間は精神が保てず気が狂ってしまうんじゃないだろうか。そんなアンディと仲良くしてくれたのが刑務所内で調達屋をしていたレッド。彼も同じく終身刑であり既に20年もショーシャンクにいた。モーガン・フリーマンが演じているんだけど、この人が出ている映画は安心感がすごいよね。根拠なんかないんだけど、なんというか「多分良い映画だろう感」みたいな。
ある日、アンディは監視役のハドレー主任(クランシー・ブラウン)が抱えていた遺産相続問題を解決する事の報酬として、受刑者仲間たちへのビールを獲得する。そしてこれはアンディが囚人達と打ち解けるターニングポイントとなる。この時の屋上でビールを飲むシーンは本当に良い・・・冒頭から不幸、地獄が続いてるっていうのにアンディは幸せそうに微笑む。映画の登場人物も観客も全員が、刑務所という地獄の中で安らぎを求めたアンディの心の豊かさに触れる事になる。この時のティム・ロビンスの笑顔は疲れてる時に本当癒されるよ。
ちなみに・・・今作品の監督フランク・ダラボンは大人気ドラマ「ウォーキング・デッド」を作った人だって知ってた?実はホラー畑出身の監督さんなんだ。ウォーキング・デッドも面白いし好きだけど、向こうのドラマは人気があるとシーズン重ねまくるから途中からネタ切れ感が出てきちゃうのは少し悲しいよね。
って事でウォーキング・デッド好きの皆様は是非同じ監督の今作品も観てみたらどうでしょ?ノンビリとした脚本だけど丁寧に描いたアナログな人間模様、モーガン・フリーマンのナレーション、そしてアンディの表情が相まって、まるで上質な小説を読んでるかのような気分にしてくれる素敵な映画だよ。
人が生きる為に必要なものとは?
さて、話を戻してアンディの壮絶刑務所物語。
アンディは屋上ビールの一件から所長にも気に入られ始め、作業も洗濯雑務係から図書係に。元々銀行の副頭取だったから所長や刑務官達の税理士みたいな事をするようになる。ちなみに元々図書係をしてきたブルックスという人がいるんだけど、この人は今作品において一番のバイプレイヤーと言っていいだろう。彼は50年の服役の後、仮出所となるんだけど黒いスーツを着て出ていく姿は見てられない・・・。もちろん悪い事をした人間だから罰を受けてしかるべきなのかもしれないがレッドのセリフが頭に残る。
終身刑は人を廃人にする刑罰だ。
そんなレッドも既に40年・・・彼はいつまでたっても仮釈放が認められず既に気持ちは諦めていた。しかしアンディは言う「希望を捨てちゃだめだ」と。そしてとうとうアンディはレッドに初めて自分の夢を語りだす。
「私はいつか太平洋に面したメキシコのジワタネホという町に住み、海岸の近くにホテルを開きたいんだ」
レッドはいつもと様子が違うアンディを心配したが、次の日の朝の点呼、いつまで経っても房から出てこないアンディを刑務官が見に行くと・・・なんと脱獄していた。しかも長く刑務所にいると誰もが環境に慣れて居心地もよくなっていくのに、彼は20年もの間ずっと夢を諦めず心に希望を持ち、脱獄後のお金や名義なども含め全てを綿密に計画し実行したのだ。
妻が不倫していた上に殺され、殺人の冤罪と共に副頭取という社会的地位も名誉も財産も全てを失い、終身刑という絶望のどん底に落とされたアンディ。彼が初めてレッドに話しかけた時、小さなツルハシの調達を頼んだ。そのツルハシで脱獄する為の穴を何年もかけて・・・つまり彼は収監されてから1度も希望を捨てていなかったという事になる。
今作品の最重要メッセージである「希望」
正直、大半の人は普通に生きていたってたまに見失うもの・・・でも確かに夢や希望って小さくてもいいから持ってないと心ってすさんでいくものだよね。この映画の素晴らしいところは、この「希望」という目をそらしたくなるくらい直球なメッセージなのに押しつけがましくないところだと僕は思う。
「自分も少しだけ頑張ってみよう」と思わせる映画だからこそ沢山の人に愛されるんだろうね。
子供に見せてあげたい心から素敵な映画
脱獄シーンでエンドロールでも全然面白いし名作の部類に入るけど、その先も描いてきた今作品。
映画において「その後のお話」ってのは無粋というか野暮というか・・・個人的にはあまりやらない方がいいと思う。が、この映画は素晴らしい大団円を用意してくれた。
アンディが脱獄した翌年、彼の希望に触発されてかレッドもとうとう仮釈放が認められ40年ぶりにシャバに出る事ができる。しかし刑務所にしか気を許せる仲間がいないレッドにとって、ただ生きているだけの平凡な日常があまりにも辛かった。そんな中、ふとアンディが話していた事を思い出す。「もし仮出所が出来たらバクストンの牧草地にあるカシの木に来てくれ、その下にある物が埋まっている」という言葉。レッドはそこに向かい、ある手紙を見つける。
レッドへ
仮出所おめでとう。ついでに私の所へ来てくれ。町の名前を覚えているか?仕事を手伝ってほしい。チェス盤も用意した。レッド、希望は素晴らしい。何にも替え難い。希望は永遠の命だ。これを読む君が元気だといいが。アンディより
町の名前・・・メキシコのジワタネホ。アンディはたまに薬物でもやってるんじゃないか?と思うような掴みどころのない言動があったけど、実は全て本当の気持ちを話していただけだったんだ。最後にレッドはジワタネホに向かうバスに乗りながら、初めて前向きな夢と希望に満ちた気持ちを吐露する。
ワクワクして落ち着かない、自由な人間の喜びだ。この長旅の結末はまだわからない。
国境を越せるといいが
親友と再会できるといいが
太平洋が青く美しいといいが
私の希望だ。
こんな素敵な言葉でピリオドを打つ映画が駄作なわけがないよ、刑務所の話だけど間違いなく小学校の授業で観せるべき名作と言える。
評価、視聴方法
必死に生きる事の素晴らしさ
ちなみに映画のラストシーンで2人は再会しますが、原作にその描写はなくフランク・ダラボン監督も付け足すかどうか悩んだそうです。確かにあのラストシーンはなくても誰もが想像できますよねwただ青い太平洋を横目に、2人が再会する中で流れたエンドロールはシンプルに素敵な映像でしたし、この映画を観て良かったと思わせる強い説得力があったと思います。
この映画は現実と真剣に向き合い、どんな状況だろうが誰になんと言われようが希望を捨てなかった人間の話・・・最後アンディを見たレッドは笑顔でしたが、あの表情は必死に生きる事を選択したからこそなんだと思いましたね。人生で大切な事が詰まっている屈指の名作・・・どうか全国の小学校で子供達に鑑賞させてあげて欲しいです。
何も考えずケラケラと笑える昨今のyoutuber動画も面白いですが、それらを100本見るよりも20年以上前に作られた今作品を1度観る方が何かを得られると思うのは僕だけじゃないはず・・・教育に携わる皆様、お子様を持つ親御様、是非1度ご検討を。
「ショーシャンクの空に」の視聴方法
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フランク・ダラボン監督はウォーキング・デッドでもそうですが人間関係をわかりやすく描くのが上手だと思いますね。ちなみにホラー映画のミストという作品もオススメします。屈指の胸糞映画と言われてますが面白いですよ。
では、良き映画の時間をお過ごしください。