映画「パルプ・フィクション」あらすじ、感想【映画史上最高峰の脚本、構成、音楽】

パルプ・フィクション

奇才クエンティン・タランティーノによる第2作目。

豪華キャストが集まった傑作クライムアクション映画です。タランティーノ監督作品の中でも、一番人気があるんじゃないでしょうか?

色々な登場人物の短編ストーリーが交差する上で時系列もいったりきたりするので、1度観ただけでは理解しにくいという意見もありますよね。ですが秀逸な脚本と構成、そして抜群の選曲センスが光っていて滅茶苦茶面白いですよ!

本記事ではあらすじ、キャスト情報の他に作中に使われた素晴らしい音楽や、あまりネタバレせずに感想を書いています。

ジャンル:クライムアクション
作品時間:154分

作品情報

  • アカデミー脚本賞 – クエンティン・タランティーノ、ロジャー・エイバリー
  • カンヌ国際映画祭パルム・ドール

長編映画2作目でアカデミー賞で脚本賞を受賞・・・これはもう快挙という言葉では軽いレベルですよね。

ちなみにパルム・ドール授賞式では「納得できない!」と叫んだ観客がいましたが、タランティーノ監督は笑いながら中指を立てたそうですw

タランティーノ作品一覧はこちら↓

あらすじ

レストランで強盗計画を話すカップル、パンプキンとハニー・バニー。殺し屋稼業をしているギャング、短気なヴィンセントと癖のあるジュールス。彼らのボスのセクシーな妻、ミア。そして落ち目のボクサー、ブッチ。彼らは一切接点が無かったが、それぞれにある事件が起き、少しずつ関わりを持っていく。くだらないワル達が交差していった先には何があるのか?どこへ辿りつくのか?誰が生き残るのか?

キャスト、スタッフ

監督、脚本 – クエンティン・タランティーノ
原案 – クエンティン・タランティーノ、ロジャー・エイヴァリー

ヴィンセント・ベガ – ジョン・トラボルタ
ジュールス・ウィンフィールド – サミュエル・L・ジャクソン
ミア・ウォレス – ユマ・サーマン
マーセルス・ウォレス – ヴィング・レイムス

ブッチ・クーリッジ – ブルース・ウィリス
ファビアン – マリア・デ・メディロス

パンプキン – ティム・ロス
ハニー・バニー – アマンダ・プラマー

ジミー – クエンティン・タランティーノ
ミスター・ウルフ – ハーヴェイ・カイテル
クーンツ大尉 – クリストファー・ウォーケン
バディ・ホリー – スティーヴ・ブシェミ

一応主役はヴィンセントらしいですが、今作品では全員が主役のような構成になっています。それにしてもすごいキャストですね・・・全員主役級!こうして名前が連なっているだけでワクワクする布陣ですが、皆さん素晴らしい怪演しております。

ちなみに僕は初めて観た時、ブシェミに全く気が付きませんでしたw

※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。

 

 

感想

  • 開始5分に答えが詰まっている
  • よくできたチンピラ群像劇
  • 映画の良さがよくわかる名作!

開始5分でタランティーノが伝えたかった事

この映画を観たら誰もがまず語りたくなるオープニング

ファーストカットはパルプの意味として「1.柔らかく湿った形状のない物体 2.質の悪い紙に印刷された扇情的な内容の出版物」という辞書の引用から始まる。実はもうここで今作品の自己紹介は終わっていて、ざっくり言えばこの映画はクソくだらないお話ですって事だ。

公開当時は1作目のレザボア・ドッグスもあり注目が高かったタランティーノ監督、プロモーションもバイオレンスアクション的、と一切ふざけてる感がないので皆真剣に観たんだと思うw何なら今でもこの映画は真面目に語り継がれていて「実はあーだったこーだった!」と色々な考察や都市伝説まである。でも冷静に観れば一目瞭然・・・タランティーノは1作目に続き、またしても不良たちの馬鹿馬鹿しい日常を描いてるだけなんだ。

冒頭のハニー・バニー(アマンダ・プラマー)のネジが外れてる雰囲気と、パンプキン(ティム・ロス)のチンケなチンピラ感、そして2人による非常に頭の悪い会話wwもう最高の5分だ。

「ちょっとでも動いてごらん!一人残らず脳ミソぶっ飛ばすわよ!」

一体どんな顔でこの脚本書いたんだかwアマンダ・プラマーのイカれた演技で放つこの名セリフはまるで観客に向かって言ってるかのよう、一撃で作品にひきこまれる。で、この直後に流れるオープニング曲・Misirlou(ミザルー)は、もともとギリシア、トルコなど小アジアを中心にアラブ、イスラエルなど中近東各地でも親しまれてきた歌。それをディック・デイル&デルトーンズがアレンジしたんだけど、またこれがゴリゴリにテンションをあげてくる。

個人的には途中から切り替わるクール・アンド・ザ・ギャングの「Jungle Boogie」の方が好みなんだけど、どちらにしてもタランティーノの選曲センスは素晴らしいね。

めちゃくちゃひきこまれる開始5分のバカップルシーンから、たった2曲で恐ろしいほど盛り上げてくるあたり、実にタランティーノらしい・・いや、実に映画らしい極上のオープニングだ。

観てない人は騙されたと思ってこのオープニング5分だけ観て欲しい、それだけでハマるから。

秀逸な脚本が繰り出す低俗な会話と映像

タランティーノ作品は無駄話が1つの特徴であり魅力と言われている。

実は今作品にそこまで無駄な会話は無いが、あまりにも低俗な会話はやはり魅力の1つになっている。

前述した冒頭のパンプキンとハニー・バニーの会話にはバカだからこその危なっかしさがあり、ブッチとファビアンの会話には愛らしさがある。殺し屋であるヴィンセントとジュールスの会話には常にひりつく緊張感があり、ヴィンセントとミアの会話はオシャレで色気がある。

でも総じてくっだらないんだ。

特にクーンツ大尉が戦地で死んだブッチの父親の形見である腕時計を、息子のブッチに渡しに来たシーン・・・クリストファー・ウォーケンがこの腕時計の経緯、そしてどれほど大切かを話すんだけど、これが実にくだらなく汚い話なんだ。

「捕虜になった君の父親はこの時計を君に譲る為に、5年もの間ケツの穴に隠し守ってきた。敵兵の汚い手に渡せないからね。お父さんは赤痢で死ぬ前に俺に預けて、俺もそれから2年間ケツの穴に隠してきた。そして何とか帰国してこの時計を君に渡しにきたんだ。」

馬鹿じゃねーのw

もはやブッチが受け取ったのはケツの穴だ。こんなセリフをくっそ真面目な演技でクリストファー・ウォーケンが語るシーンは笑うなという方が無理。結局この時計の為に命を賭ける事になるんだけど、いくらシリアスに描かれても時計の経緯を知ってしまった観客はどこかで思ってしまう。

ケツの穴なんだよなあ・・・と。

僕は断言するよ、このシーンを撮ってた時のタランティーノは絶対に笑いを堪えてたね。

笑えまくる後半の畳みかけ(約1時間)

前述したブッチの大切な時計(ケツの穴)。

この時計をバカな彼女が忘れてきた事で、ブッチは自分を殺そうとしてるマーセルスの手下がいるかもしれない自宅に戻る事となる。ちなみにこの時点で映画は残り約1時間もあるが、ここからの畳みかけは尋常ではない。

  1. ブッチとマーセルス
  2. ヴィンセント&ジュールスとミスター・ウルフ
  3. ヴィンセント&ジュールスとパンプキン&ハニー・バニー

大きく分けてこの3構成で展開されるんだけど、どれもこれも極上に笑える落語のようなお話で一切滑り無し!ラスト1時間ずーっとクライマックスかのようなテンションが続く。

この映画は時系列がいったりきたりしてるから何度か観ないとわかりにくいと言われているけど、うーん・・・wこんな事あまり言っちゃいけないのかもしれないけど、ぶっちゃけしっかりと理解しなくてもいいんだ。理由はタイトルにあってね。

パルプ・フィクションとは
安っぽい小説、くだらない話

そうなんだ、オープニングで辞書から引用して説明してる通り、この映画はくだらない話・・・頭の悪い人達の頭のおかしい群像劇ってだけなんだよ。なんだったらプロローグとエピローグを繋げた計20分程度がメインストーリーで、残りの約120分はただのサブエピソードとまで言ってもいい。にもかかわらず滅茶苦茶面白い理由は異常によくできている脚本構成、そして素晴らしい選曲センス役者の魅力である事は間違いない。

これは全て監督タランティーノの手腕であり、僕を含めて今作品について色々語ってる人は完全に彼の手のひらで踊らされている。

でも語りたくなる映画こそが名作だし、今作品はその名作の中の名作と言っていい。

評価、視聴方法

他のタランティーノ作品との色々な関係性

パルプ・フィクションは他の追随を許さない面白さとかっこよさを併せ持つ素晴らしい映画だと思います。

人生で一番好きな映画に今作品をあげる人も多いですが、特に映画好きにはたまらない演出やセンスがあるんですよね。ライムスターの宇多丸さんも言ってますけど、タランティーノ監督はHIPHOPでいうサンプリングが上手なんです。

映画を観てると「こういう演出あるある!」みたいな事ありませんか?これは過去の名作へのリスペクトの気持ちからオマージュしてたりするんですが、ことタランティーノが撮る映像からは映画への愛情がすごく感じられるんですよ。でも別に元ネタを知らなくたって楽しめるので、映画を日頃観ない人も気にしないでくださいね!

ちなみにタランティーノの他作品を観てると、より楽しめる要素も色々あります。

ジュールスが食べたビッグカフナバーガーはデス・プルーフの会話の中で出てきたり、ブッチが吸っていたタバコのレッドアップルというのはタランティーノが考えた架空の銘柄なんですが、キル・ビルの看板やジャンゴ 繋がれざる者ヘイトフル・エイトにも登場してます。他にも作中にユマ・サーマン演じるミアが昔TVシリーズのパイロット版に出た女優だったと語られますが、その時の「フォックス・フォース・ファイブ」はキル・ビルでザ・ブライド(ユマ・サーマン)が所属していた5人組「THE DiVAS」の元となっていたりします。

どれも外れ無しで面白いのでパルプ・フィクションが面白いと思ったら他作品も是非どうぞ!

「パルプ・フィクション」の視聴方法

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遊び心満載のタランティーノ監督ですが、彼の最高傑作とあげる人も多いパルプ・フィクション・・・是非人生で1度はご堪能あれ!

では、良き映画の時間をお過ごしください。