1986年公開。映画史に燦然と輝く青春映画の金字塔です。
モダン・ホラーの第一人者スティーブン・キング先生の原作をロブ・ライナーがメガホンをとり映画化しました。決して派手な映画ではありませんが、世代を超えた全ての人達に刺さってしまう友情の物語は一見の価値があります。
この映画はイマイチ共感できなかったという人もいると思いますが、そういう方は年月をあけて再度鑑賞してみる事をオススメします。なんというか、心に刺さるまで人によってタイムラグがある作品だと思うのですwただ不朽の名作だという事は間違いありませんよ。今は亡きリヴァー・フェニックスや、若かりし頃のキーファー・サザーランドも見る事ができます!
本記事ではあらすじ、キャスト・スタッフ情報の他に、個人的な感想、視聴方法も記載しています。
もくじ
作品情報
- 脚色賞 – レイノルド・ギデオン、ブルース・A・ラバンス[ノミネート]
アカデミー賞では上記のみで、他の映画祭でもゴールデングローブ賞で作品賞、監督賞にノミネートしただけなんですが、公開から30年経った今でも数多のファンから称賛されている映画なんですよね。その理由は観ればわかる・・・という言葉が一番フィットするんですけど、映画の出来云々ではなくて描いているテーマそのものが素晴らしいからだと僕は思っています。
あらすじ
1959年・・・ゴードン、クリス、テディ、バーンの4人は性格も個性も異なっていたがウマが合い、いつも一緒に遊んでいた。ある日、バーンは盗み聞きした兄達の会話をゴードン達に話す。どうやら3日前から行方不明になっているレイ・ブラワーという少年が、30キロ先の森の奥で列車に跳ねられ死体のまま野ざらしになっているというのだ。早速4人は死体探しの旅という冒険に繰り出すが、果たして・・・
キャスト、スタッフ
原作 – スティーブン・キング「The Body」
監督 – ロブ・ライナー
脚本 – ブルース・A・エヴァンス、レイノルド・ギデオン
主題歌 – ベン・E・キング「Stand by Me」
ゴードン・ラチャンス – ウィル・ウィートン
クリス・チェンバーズ – リヴァー・フェニックス
テディ・ドチャンプ – コリー・フェルドマン
バーン・テシオ – ジェリー・オコンネル
エース・メリル – キーファー・サザーランド
ビリー・テシオ – ケイシー・シーマツコ
チャーリー・ホーガン – ゲイリー・ライリー
アイボール・チェンバーズ – ブラッドリー・グレッグ
ビンス・デジャルダン – ジェイソン・オリヴァー
ゴーディの父 – マーシャル・ベル
ゴーディの母 – フランシス・リー・マッケイン
デニー・ラチャンス – ジョン・キューザック
ゴードン(大人) – リチャード・ドレイファス
ジョン・キューザックは主人公の兄役でそんな沢山出てきませんが、存在感は抜群ですね!
※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。
感想
- 小さな世界の大冒険
- 全編からにじみ出るノスタルジー
- 全てを包む最高の音楽
冒頭のネタバレこそが最大の仕掛け
これこそ映画らしい映画だ。
今作品は作家となったゴードンがクリス、テディ、バーンという3人の友人と過ごしたある2日間を描いている。そのストーリーとは4人の少年が列車に轢かれて死んだというブラワーの死体を探しに行き、実際に死体を見つけ帰ってくる・・・たったこれだけにもかかわらず、数多の人にとって忘れられない名作になっている理由は大きく3つあると僕は思う。
まず1つ目の理由は、クリスが殺されたという衝撃的なネタバレを開始直後にぶっこんでくるという事。映画ではフックという冒頭のツカミが非常に大切だが、今作品は冒頭のたった1分でクリアしてくるんだ。確かに描いている大半はアメリカの田舎町にいる4人の少年の他愛もない2日間だけど、その中の1人・クリスが死ぬという前提のおかげで、全編に哀愁が蔓延するようになっている。
4人のくだらなくい会話も実に楽しいんだけど、夜の森で話す給食費の話や、中学に進学したらバラバラになってしまう話など、ゴードンとクリスの2人による会話は特に響く。
自分を落とすな。
君にはものを書く才能がある。小説家になれ、俺がパパなら就職組に行くとは言わせない。
それを君の親がやらないなら俺が守ってやる。
「自分は育ちが悪いから中学にあがったら就職組だが、お前は夢を追え」と背中を押してくれるクリス・・・こんな事を言ってくれる友達を12歳にして持っている人が果たして何人いるだろうか。クリスが投げてくる真っすぐなメッセージは優しさや強さに溢れていて、ゴードンが羨ましく感じてしまうよ。こんな素敵な名言が飛び交うシーンの連続だけど、これが何とも言えない悲しさも帯びてくる。何故ならクリスが大人になって弁護士になり、そして殺されてしまう事を観客が知っているからだ。
その上、クリスを演じたリヴァー・フェニックスは23歳でこの世を去るんだから、これが不朽の名作じゃなくてなんなんだ。
このリヴァー・フェニックスの死が第2の理由と言える。彼が生きていたらどんな映画に出ていたのか、誰と共演していたのか・・・そんな事を考えるだけでも哀しく、同時にワクワクしてしまうんだよ。それ位のカリスマ性を持つ素晴らしい俳優だった。
作中に散りばめられた名曲の数々
今作品の舞台は1959年・・・ロックンロールが台頭してきた時代だ。
作中には当時の名曲がふんだんに使われていて、これがどれも素晴らしいのは勿論、ラジオから流れてくる音楽が当時の生活音になっているというのがよく表現されていた。タランティーノ監督のワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドもそうだけど、その時代の雰囲気を教えてくれる映画というのはそれだけで価値があるし、個人的に大好物だ。
いくつか紹介すると・・・
ボビー・デイ「Rockin’ Robin」
序盤でゴードンが秘密基地に向かうシーン。全く秘密ではない木の上に作られた秘密基地という子供ならではの文化・・・あんなの作った事が無い人でもノスタルジーを感じるんじゃないかな。僕は友達と作った事があったからワクワクしてしまったw
ジェリー・リー・ルイス「Great Balls Of Fire」
エース達が郵便箱打ちに興じていたシーン。車に乗って人の家のポストをバットで叩き落していくゲーム・・・悪ガキにもほどがあるわ!
ザ・コーデッツ「Lollipop」
森の中をテディとバーンが躍りながら歌っていたシーン。ここは短いんだけど、結構印象に残ってる人も多いんじゃないかな。楽しそうな彼らの雰囲気は極上だったよね。
デル・バイキングス「Come Go With Me」
線路の橋を走って列車から逃げる屈指の名シーン、あの橋に行くまでにこの曲が流れている。号泣しながら走るバーンは最高に笑ったw
他にもあるんだけど、これらは全て作中の時代のヒット曲で実際に当時ラジオで流れていたそうだ。僕自身知らない曲もあったけど、作品を通して知る事ができるというのも映画の醍醐味だと思う。ロリポップなんて何故か聴いた事あるよねw油断してると口ずさんでしまう中毒性だよ。
そして主題歌であるベン・E・キングの「Stand by Me」を筆頭に、この名曲達こそが名作たる理由の3つ目と言いたい。
誰にでも刺さってしまうラストの名言
あの12歳の時のような友達はもうできない。もう二度と・・・
ラストシーンで主人公のゴードンがタイピングするこの言葉・・・これこそ今作品のテーマそのものだ。この映画のすごい所は、実際に似たような友人関係を持っていた人は勿論、そんな友達がいなかった人にさえも「自分にもこんな友達がいたらな~」と刺さってしまう所だろう。そして誰もがノスタルジア・・・忘れ去っていた過去の思い出に浸ってしまうのだ。
僕は幸運な事に今でもたまに飯を食う幼馴染がいるんだけど、確かに疎遠になってしまった友達もいる。あんなに遊びまわって笑い合ったのに、そして特に喧嘩したわけでもないのに気が付いたら話さなくなっていた。冷静に考えてかなり不思議な現象だよねw
今作品での主人公ゴードンも、大人になるにつれてテディ、バーン、そしてクリスと疎遠になってしまう。しかし作家になったゴードンがパソコンに向かってタイピングしたラストの名言によって、あの2日間の大冒険がどれ程価値のある時間だったかを表現しているよね。そしてそれは全ての人達にとって、子供の頃の友人との時間がどれ程貴重なものか教えてくれる。
観た人それぞれの思い出と共にいつまでも心に残ってしまう映画・・・こんな傑作を作ったスティーブン・キングとロブ・ライナー監督が素晴らしい映画人なのは間違いない。
定期的に観たくなる最高の青春映画と言える今作品は、小学校の授業で観せてあげてほしい1作だ。(タバコシーンで無理だろうけどもw)
評価、視聴方法
リヴァー・フェニックスの死
23歳は若すぎますね・・・。
この映画を観ると、リヴァー・フェニックスが既にこの世にいないという事がイマイチ信じられない気持ちになります。それ程生き生きとした演技なんですが、この伝説の俳優の弟さんがジョーカーで凄まじい怪演だったホアキン・フェニックスです。
実はリヴァー・フェニックスが薬物のオーバードーズで死んだ際、現場に居合わせた事でホアキンはマスコミから執拗に追われ一時期は俳優を引退していました。この兄弟にはちょっと不思議な逸話があって、まだホアキンが俳優業をしていなかった頃に兄から言われた言葉があります。
「ホアキンは俳優になるよ。そして俺よりも有名になる。」
完全に予言が的中しているわけですが、一体リヴァー・フェニックスという人には何が見えていたんでしょうね。天国で弟の活躍を喜んで見ているかもしれませんが、何にしても生きていてほしかった実に惜しい俳優でした。
そんなリヴァー・フェニックスの代表作、是非1度はご覧になってみてください!
「スタンド・バイ・ミー」の視聴方法
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青春時代の友情を描いた映画なら少年時代をオススメしますよ!邦画ですが、日本アカデミー作品賞にも輝いた素晴らしい傑作です。
では、良き映画の時間をお過ごしください。