Shall we ダンス?やカツベン!の周防正行監督による作品です。
オーソドックスな青春コメディですが、当時は題材が相撲と異色な上に、アイドル出身の本木雅弘がまわし姿になるという事で話題となりました。モデルとなっているのは監督自身の母校である立教大学の相撲部だそうで、周防正行監督は2018年3月13日より、立教大学相撲部の名誉監督に就任したそうですw
本記事はあらすじ、スタッフ・キャスト情報の他に、感想や視聴方法を記載しています。
[ジャンル]スポーツ、コメディ[作品時間]105分
[公開日]1992年1月15日
もくじ
作品情報

引用元:https://www.rottentomatoes.com/
- 最優秀作品賞
- 最優秀監督賞 – 周防正行
- 最優秀脚本賞 – 周防正行
- 最優秀主演男優賞 – 本木雅弘
- 最優秀助演男優賞 – 竹中直人
- 優秀助演女優賞 – 清水美砂
- 優秀編集賞 – 菊池純一
日本アカデミー賞では主要部門を根こそぎ持っていってますね。はっきり言ってそんな高尚な作品というわけではないですが、邦画らしいゆるりとしたコメディなのでとても観やすく、若者の成長を優しく描いた良作だと思います。
あらすじ
伯父のコネで一流企業の就職が決まっていた山本秋平は、卒業に必要な単位が足らず穴山教授に呼び出される。すると教授から大学相撲部の助っ人として大会に参加するよう提案された。しかし相撲部は留年を重ねた青木富夫が1人いるだけで潰れる寸前・・・秋平と青木は何とかメンバーを勧誘し大会に出るも惨敗した。これで助っ人も終わりと思っていた秋平だが、慰労会でOBから叱咤された事で「次は勝ってやるよ!」と啖呵を切ってしまう。果たして彼らは勝利を掴めるのか?
スタッフ・キャスト
監督・脚本 – 周防正行
相撲指導 – 堀口圭一(立教大学相撲部監督)
音楽 – 周防義和、おおたか静流
山本秋平 – 本木雅弘
青木富夫 – 竹中直人
田中豊作 – 田口浩正
山本春雄 – 宝井誠明
ジョージ・スマイリー – ロバート・ホフマン
間宮正子 – 梅本律子
堀野達雄 – 松田勝
倉高 – 宮坂ひろし
川村夏子 – 清水美砂
穴山冬吉 – 柄本明
峰安二郎 – 村上冬樹
穴山ゆき – 桜むつ子
熊田寅雄 – 六平直政
朝井知恵 – 水島かおり
林 – 片岡五郎
結構棒読み演技が目立つんですが、コメディタッチなのもあってあまり気にならないかもしれませんw田口浩正さんは映画出演2本目になるんですが、この時から演技が上手く安心して観てられると思います。
※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。
感想・評価
- 観やすい王道の青春ストーリー
- 当たり前だけど、皆若すぎw
- 変わらない竹中直人の魅力
音楽もストーリーも全てが優しい
今作品は細かい事を気にせず楽しめる。
ストーリーはシンプルで、何となく遊んで過ごしていた大学生・山本秋平がひょんな事から相撲部の助っ人として大会に出場し、少しだけ大人の階段を登るというお話だ。難しい点なんて一切ないし、流れている音楽や映像も力んでるところが全く無く非常に観やすい映画となっている。
ダメ出しがあるとすれば、主人公の弟・春雄を演じた宝井誠明の棒読みが目立つくらい?ある意味見所になっちゃってるし、デビュー作だから仕方ないとも思うけどwでもこうした棒読み演技も含めたあどけなさも相まって、本当にゆるりと鑑賞できてしまうコメディタッチの青春ドラマになっていて、主人公の秋平が相撲を通して少しずつ真剣になっていく姿には素直に好感を持ててしまうし、最後はほんのり感動もさせてくれる。
今作品はどこか今でもありそうな普遍的でリアルな日常を切り取っているんだけど、周防正行監督の映画ってどこか異世界のように感じる時がある。音楽の挿入タイミングなのか、光の使い方なのか・・・特段変わった事をしてる感じじゃないんだけど、不思議な雰囲気を持っているのだ。
なんて言ったらいいか、ジブリ的というか・・・とにかく平和な感じ。
やっている事は三谷幸喜や矢口史靖とあまり変わらないようにも思うんだけど、観た時に受ける印象が違う。優しい気持ちにさせてくれるこの空気感は、実に邦画らしくて僕は結構好みだ。
疲れている人なんかはかなり心を癒されると思うのでオススメするよ。
時代を感じるけど、古さは感じない
今作品は92年の映画という事もあって、さすがにファッションやノリには多少苦笑いしてしまう。
でも描いているものはまさに青春・・・これは何年経っても同年代の学生達は共感できちゃうし、逆に年齢を重ねた層は応援したくなるものだ。今作品ではたまたまそれが相撲だったというだけ・・・って冷静に考えて題材に相撲をチョイスしたというのは結構斬新なアイデアだと思う。
すごい事に、今でも「映画 相撲」で検索して出てくるのはこの映画だ。
相撲ってスポーツじゃなくて日本古来の神事とか聞くよね。確かに意味は理解できるんだけど、一般的な認識となるとどうしても「どっちでもいい」と思ってる人が多いんじゃないだろうか。今作品でも主人公・秋平だけじゃなく、教立大学生は誰もがそんな細かい事を気にしていない。なんだったら弟・春雄に至ってはハッキリと「スポーツ」と言ってるしねw
相撲ファンからしたらちょっと引っかかる人もいるかもしれないけど、こうした等身大の若者を描いている事が今作品の1つの良さだと僕は思う。もっと極端な事を言うと作中の若者たちにとっては、相撲だろうがプロレスだろうが何だっていいのだ。
大切なのは夢中で打ち込めるものを見つける事。
こうしたシンプルなメッセージこそが、この映画の持つ最大の武器であり、何年経っても古臭くならない理由だ。若い時というのはどうしても何かに夢中になっている人をバカにしてみたり、自分自身も恥ずかしがってできない事が多いよねwでも本当は大人になっても誰もが求めてる欲求なのだと思う。だから雑味のない真っすぐなテーマを持つ今作品は、どんな時代のどんな人にも突き刺さるんだろうね。
これはシンプルに観ていて清々しい映画だ。
音楽はなんて曲?誰が歌っているの?
中盤、相撲部全員で教授の実家へ行き合宿するくだりがある。
はじめは列車内を映し、夕日、古民家、天気の良い空、芝生で寝転がる秋平と田中と切り替わる・・・なんと心を洗われる映像かwそしてこの間に流れる歌がまた素晴らしいのだ。歌っているのは民族音楽やジャズなどを中心に活動するおおたか静流という女性だが、曲名は「悲しくてやりきれない」どこかで聞いた事がある人もいるんじゃないだろうか?
この曲は元々ザ・フォーク・クルセダーズというアーティストの昭和歌謡曲で、アニメ映画の名作・・・この世界の片隅にでも使われている。ちなみにエンディング曲「リンゴの木の下で」もおおたか静流が歌っているんだけど、元は1905年にアメリカ人のハリー・ウィリアムズによって作曲され、以降何度となく世界中でリメイクされている。
今作品は竹中直人のお芝居を筆頭に終始優しく笑わせてくれた上で、この懐かしさを感じさせる2曲の旋律で実に心地良い気持ちにさせ、最終的には素晴らしく前向きな青春物語として締めくくってくれている。周防監督のこうした映画的バランス感覚には感服しちゃうよ。
こういう邦画がもっと増えたらいいのに。
まとめ・視聴方法
邦画ならではの良さがある周防作品
今作品は小難しい事一切抜きにしたストーリーで本当に観やすい良作です。
周防監督の作品はどれも、変な混ぜ物をいれずに普遍的な出来事を切り取って描いてくれているので、日常的に映画を観ない方も気軽に楽しめると思います。僕は2019年公開のカツベン!をまだ観てませんが、日本アカデミー賞でも名前があがっていたので、いつか機会があれば観てみたいですね!
- ファンシイダンス
- シコふんじゃった。
- Shall we ダンス?
- それでもボクはやってない
- ダンシング・チャップリン
- 終の信託
- 舞妓はレディ
- カツベン!
「シコふんじゃった。」の視聴方法
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若者の青春を描いた映画ならWOOD JOB!~神去なあなあ日常~や、窪塚洋介主演のピンポンなんかもオススメですよ!どちらも素晴らしい邦画だと思います。
では、良き映画の時間をお過ごしください。