映画「エイリアン」あらすじ、感想【SFホラーの金字塔と言われる理由】

エイリアン

1979年公開。リドリー・スコット監督の2作目となる映画で、これにより世界に名を知らしめました。

この監督はストーリーや設定がたまに雑だったりするんですけど、飛びぬけた映像センスや説得力のあるシーンを撮るのが上手なお方で、個人的には非常に好きな監督の1人ですね。

この映画はSFホラーというジャンルの確立、エイリアンという本来の意味さえも塗り替えてしまったアイコン、作中の魅力的なアイデアと、映画史に残る功績を数多に残した名作ですが、ストーリー自体はシンプルなのでリドリー・スコット監督の良さがしっかりと際立ったように思います。怖い映画ですけど、ホラーが苦手な人も是非1度は体感してみてください!

本記事ではあらすじ、キャスト・スタッフ情報の他に、個人的な感想、視聴方法も記載しています。

ジャンル:SFホラー
作品時間:117分

作品情報

  • 視覚効果賞 – H・R・ギーガー、カルロ・ランバルディ、ブライアン・ジョンソン、ニック・オールダー、デニス・エイリング[受賞]
  • 美術賞 – マイケル・シーモア、レスリー・ディレイ、ロジャー・クリスチャン、イアン・ウィテカー[ノミネート]

アカデミー賞これだけ?と思うかもしれませんが、当時はSFホラーというジャンルのイメージにまだB級感があり、リドリー・スコット監督もカンヌ国際映画祭で新人監督賞を獲っただけのひよっこ扱いだったので、審査するお爺様方から下に見られていたんだと思いますw

今ではご存知の通り、誰もが認めるSFホラーの金字塔作品でございます。

あらすじ

西暦2122年、搭乗員7名を乗せた宇宙貨物船ノストロモ号は、採掘した鉱石を運び地球へ帰還途中であった。しかし船のコンピューターであるマザーが知的生命体からと思われる謎の信号を受信し、その発信源へと針路を変更してしまう。7人はやむなく発信源の小惑星に降り立ち船外調査に向かうが、そこには卵のような物体が無数にあり、船員であるケインはその1つに近づいてみるが・・・。

キャスト、スタッフ

原案 – ダン・オバノンロナルド・シャセット
監督 – リドリー・スコット
脚本 – ダン・オバノン

クリーチャーデザイン – H・R・ギーガー
クリーチャー造形 – H・R・ギーガー、ロジャー・ディッケン

美術 – マイケル・シーモア、ロジャー・クリスチャン(クレジット無し)
音楽 – ジェリー・ゴールドスミス

リプリー – シガニー・ウィーバー

ダラス – トム・スケリット
ランバート – ヴェロニカ・カートライト
ブレット – ハリー・ディーン・スタントン
ケイン – ジョン・ハート
パーカー – ヤフェット・コットー

アッシュ – イアン・ホルム

マザー(声) – ヘレン・ホートン

制作陣もレジェンドだらけですね・・・。ちなみにイアン・ホルムはホビットのお爺ちゃんですw

※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。

 

 

感想

  • 心掴まれるオープニング
  • 今見ても色あせないキャラクター造形
  • 映画史に残るアイコンとなったエイリアン

何故か怖い映画とわかるオープニング

何十年と語り継がれてきた映画だけど、もっと沢山の人に知ってほしい。

これがどれ程の名作なのかという事を!

まずは予告編を見てもらうとわかるように、当時はまだエイリアンがどういう姿なのかわからない状態でプロモーションをうっているよね。そして当時の素晴らしいキャッチコピーが「宇宙ではあなたの悲鳴は誰にも聞こえない

その上で今作品のオープニングを見てみると、ただ宇宙空間を映してクレジットを流し、有名なALIENというタイトルロゴが出る。つまり・・・あまりにもヒントが無い状態で当時の観客はこの映画に直面したんだ。これが何故異常に怖いのか・・・確かに不気味な音楽はながれているけど、このとてつもない怖さを演出したのはすごすぎると僕は思う。

リドリー・スコット監督はこれが2本目の長編映画・・・あまりにも信じがたいセンスだ。

元々のプロットはダン・オバノンが温めていたメモリーというタイトルの脚本で「宇宙船が未知の惑星に降り立ち、謎の生命体を発見、乗組員がそれに寄生され、やがて体内から怪物が誕生する」という、まさにエイリアンのストーリー構成はできていた。ただ肝心の怪物のイメージがなかったそうだ。

確かに恐ろしいエイリアンのフォルムこそ今作品が超名作となった1番の要因と言えるが、元々シンプルにして超面白いストーリー構想を練ったダン・オバノン、そしてそれを最高にキレッキレの映像に仕上げたリドリー・スコット監督の功績も計り知れないよね。

で・・・肝心のエイリアンの造形を作り上げたのは誰なのか?

H・R・ギーガーという天才

ハンス・リューディ・ギーガー(74歳没)

彼は芸術家で人間の体内や骨格と機械的なメカデザインを融合させた絵を描いていた。エイリアンなんてまさにこれだよね。グロテスクなのにちょっと洒落てるというか・・・どこかスマートに感じるというかw

他にもスピーシーズとかバットマン フォーエヴァーに出てくるバットモービルのデザインもこの人。邦画だと帝都物語のデザインも一部手掛けていた。ただ何よりもこのエイリアンだ。そもそもエイリアンとは本来「外国人」という意味で、昔は日本の空港看板などにも記載されていたそうだwただ宇宙人という言葉で使われるようになり、段々とフォーリナーとなっていったそうだが、この映画が決定打w

今ではgoogleで検索したってギーガーの作ったエイリアンが数多に出てくる始末・・・。

しかもこれがまた超怖いフォルム・・・というかエイリアンって怖い上になんというか絶望感があるよね。他のモンスター映画に出てくる化け物だと、何となく主人公達が逃げ切れそうとか勝てそうとか思わない?それがエイリアンは遠目で見かけた時点で動けなくなっちゃいそうというか、目の前に立たれたら祈る事も諦めるというか・・・。

映画を観た事がない人でもエイリアンの造形を知ってるという事自体、冷静に考えてすごすぎるレベルだけど、何よりもギーガーの功績と言えるのはエイリアンという恐ろしいキャラクターを作っただけではなく、文化、言葉までも作り上げてしまったという事だ。

そんな恐ろしい姿をしたエイリアン・・・こいつが素早く動き、超狂暴で血液が酸とかやってられるか!

絶望のシーンと最悪の仕掛け

エイリアンという映画を何故今になってレビューするのか。

まずは僕が大好きな映画の1本だから。そしてもう1点理由があって、他サイトのレビュー記事を読んでみると、古い作品だからか補足知識や映画が作られた経緯などしか書いてない事が多いからだ。僕が今作品について称賛したいのは、ダン・オバノンの原案、ギーガーのデザインはもちろんだが、何よりもリドリー・スコット監督の手腕だ。

この映画では冒頭から40分程かけて宇宙船内や登場人物を軽く紹介していくが、少しずつ逃げ道を塞いでいく。エイリアンが生まれる伝説的なシーンでは、登場人物達も一瞬何が起きたかわからない中でパニックを起こすが、これには観客もまた同じ状況なのだ。そしてエイリアンが船内に逃げてからはもはや何もかも手遅れ・・・あとは最後まで絶望の精神状態でリプリーだけを頼りに鑑賞する事になる。

そのリプリーが猫のジョーンズを探すシーンなんて「もういいだろ、猫は!」とイライラしなかった?冷静に考えて見殺しにすべきじゃないよね。でもそれどころじゃないと観客が思ってしまう程の恐怖を描いてくる。クライマックスなんて絶望から安堵・・・からの絶望という気が狂いそうになる構成だw

ただ・・・エイリアンが生まれるシーン以降、ずっと漂うこの絶望と恐怖だが、肝心のエイリアンはほぼ映らない。

この見えない恐怖こそが今作品の真髄であり、まさにホラー映画なのだ。ギーガーの素晴らしいデザインをしたキャラクターが待てども待てどもチラ見せ程度・・・「見たいけど出てくるなよ!」と思い続けながら鑑賞し、最後に最低最悪の仕掛けをうってくるwこんな最高のホラー映画はないよ。粗削りな点もあるけど全く気にならない。ただただシンプルに超面白い映画だ!

食わず嫌いしてる人・・・もしいるなら勿体ない!必見どころではない名作だよ。

評価、視聴方法

超人気シリーズの原点にして頂点

いつ観ても色あせない面白さですね!

ちなみに、あるキャラクターについては今作品の素晴らしい点の1つなんですが、まだ観てない方にどうしてもご自身で観てもらいたいので、あえて書きませんでした。

エイリアン映画は今では色々とありますが、下記が正統後継作品です。

  1. 1979年 – エイリアン
  2. 1986年 – エイリアン2
  3. 1992年 – エイリアン3
  4. 1998年 – エイリアン4
  5. 2004年 – エイリアンVSプレデター
  6. 2007年 – AVP2 エイリアンズVS.プレデター
  7. 2012年 – プロメテウス
  8. 2017年 – エイリアン:コヴェナント

ちなみに個人的にはエイリアン1,2,3とリドリー・スコット自身が再度メガホンをとった前日譚シーズンであるプロメテウスコヴェナントが好きですね。80歳を超えたリドリー・スコット監督ですが、まだ続編を作る気満々みたいです・・・w

ファンとしては超観たいですけど、どうか無理はしないようにしてほしいものですね!

「エイリアン」の視聴方法

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この映画が出た1979年の前後にはスターウォーズスタートレックなんかも世に出ていますが、SF映画なら、そのまた10年前・・・まだ人類が月に行く前に作られたキューブリック監督の2001年宇宙の旅も超オススメの1本です。1968年に公開されたと思えないクオリティなので是非予告だけでもどうぞ!

では、良き映画の時間をお過ごしください。