映画「2001年宇宙の旅」あらすじ、感想【超難解映画を徹底解説】

2001年宇宙の旅

1968年4月6日にアメリカで公開。

映画史上、最も面白い監督による最も難解な映画

数多の人間が解釈しようと頑張るもお手上げ。映画批評家たちも賛辞を送りまくってるけど、もはや理解してるフリの可能性まである。本記事では僕なりの内容解説とキューブリック監督のやりたかった事なんかを書いていくよ。

作品情報

アカデミー賞特殊視覚効果賞のみ受賞。他にも監督賞や脚本賞などにノミネートはしていたけど受賞はならず。

あらすじ

人類がまだ見ぬ宇宙の領域に足を踏み入れた宇宙飛行士ボーマンは、不滅の存在へと昇華していくのだろうか。「HAL、進入口を開けろ!」という悲痛な願いと共に、無限の可能性に満ちた未知への旅を始めよう。 Rating PG-12 (C) 1968 Turner Entertainment Co. (C) 2001 Turner Entertainment Co. and Warner Entertainment Inc. All rights reserved.

2001年宇宙の旅

amazonより

キャスト、スタッフ

監督 – スタンリー・キューブリック
脚本 – スタンリー・キューブリック、アーサー・C・クラーク
製作 – スタンリー・キューブリック

デヴィッド・ボーマン船長 – キア・デュリア
フランク・プール – ゲイリー・ロックウッド
ヘイウッド・R・フロイド博士 – ウィリアム・シルベスター
HAL 9000(声) – ダグラス・レイン

 

ここからはネタバレ有りの感想になるのでご注意くださいな。

 

 

 

 

感想

  • 難解なストーリーに心折れないで!
  • キューブリックのただの妄想だよ!
  • 1968年公開とは思えないクオリティは必見!

各章ごとに解説するよ

1.人類の夜明け

冒頭から20分程、猿人たちのドキュメンタリー映像みたいなものが垂れ流される。何もない荒野で原始的に生きる猿人たちの前に突如として現れた謎の石板モノリス、このあまりにも急な非現実に猿人たちはパニックになるも惹かれ近づき触れてしまう。これはアダムとイブのリンゴのようなもので本能の赴くままに生きていた猿人たちが、謎の石板に触れる事で進化の一歩を踏み出したという事を描いている。

この後、猿人が動物の骨を手にとり初めて道具として使うシーン。交響詩「ツアラトゥストラはかく語りき」が後ろで流れる中、猿人がスローで骨を振り下ろす・・・いや、もう名シーンすぎる。ここに「感動した」と真面目に語る映画評論家がいたらそいつは信用しなくていい。これはキューブリックが完全に笑わせにきてる。

ちなみに交響詩「ツアラトゥストラはかく語りき」だけど、ボブ・サップのテーマソングと言えばわかる人も多いんじゃないかな。調べて聴いてみれば一発でわかるやつだよ。

で、シーンは一気に切り替わり原始時代から超近未来の宇宙へ。人間は進化を続け月に住むようになっており、その月で例のモノリスが発掘される。そこでフロイド博士は極秘調査として月面に向かうが、モノリスは400万年ぶりに太陽光を浴びたせいなのかフロイド博士が触れたからなのか、突如ある強力な信号を木星に向けて発信しだした。

何を見せられているんだ?

大半の人はこのあたりで脳が爆発する。もう意味が全くわからない。お気持ちはお察しするが、キューブリックは1時間かけて人類史の起源と現在を描いただけなんだ。そしてこれは今作品の導入部分であり小説でいうなら前書き。客観的に見たらもうほぼ悪ふざけである。キューブリックが好きな人はわかると思うけど、この監督は異常なまでに人間の狂気が好きなんだ。人間の様々な感情や行動、道徳は説くのに反面愚行も犯す。そうした矛盾と葛藤の中でも生きてる人間が大好物なんだ。特に人間の持つ狂気はシャイニング時計仕掛けのオレンジフルメタルジャケットなどほぼ全ての作品で表現してると言っていい。

そしてモノリスから知性を与えられてやっと進化していった人類が、宇宙に出て探索し知的生物として君臨してる事・・・これこそ狂気の沙汰なのでは?

2.木星使節

今作品は大きな印象を残すものが2つある。1つはモノリス、謎に包まれた黒い石板・・・ただの石板が何故かめちゃくちゃ怖いよね。で、もう1つがこの章に登場するHAL9000という人工知能。世の中の色々な作品で人類を超越したコンピュータが人類に反乱を起こすというアイデアは使われてるが、原因はこいつだろう。

月でモノリスが発掘され木星に向けて信号を発信しだした事で、人類は木星探索に向かう。宇宙船ディスカバリー号は人口冬眠中の3名のクルーと船長のデビッド・ボーマンフランク・プールの計5人の乗組員、そしてHAL9000が登場人物。

HALは今回の探索計画に疑問を抱いている事をボーマン船長に打ち明けるのだが、その会話の最中に船外のある部品が故障している事が発覚する。しかし調査してみると特に故障はしていなかった。その2点を目にした2人はHALの異常を疑い思考部の停止を計画する。が、これをHALは察知し、プールは船外活動中に宇宙服の機能を破壊され、人工冬眠中の3人は生命維持装置を切られてしまう。生き残ったボーマンは何とかHALの思考部を停止した。すると本来は木星到着後に流れるはずの動画が再生され、ボーマンは木星探索の真の目的を知る事となる・・・それはモノリスの調査であった。

だから何を見せられている??

映画ソムリエたちは、ここらで泡吹く。原始時代からスタートしたのに説明が全くない謎の石板が出てきたと思ったら、今度は宇宙で人間を殺す人工知能の話・・・で、また石板・モノリスの登場!理解できるわけない!

おっしゃる通りだ。集中してたってわかりにくい。後日談でもあるんだけど、当時この映画の製作にあたり予算が足らずシーンを省略したり、キューブリックの思い付きでシーンをはしょったりしてる事もあり、余計わかりにくくなっている。ただ1章の原始時代を考えず、この章だけで考えていいならストーリーも理解できたんじゃないかな?そしてHALに対して恐怖を感じたのでは?それだけで問題ないから安心して!どうか深く考えないで!

どうかキューブリックを嫌いにならないで・・・。

3.木星 そして無限の宇宙の彼方へ

もうこの最後の章は簡単だよ!

生き残ったボーマン船長は1人で探索を続け、とうとう木星の衛星軌道上でモノリスと遭遇する。そしてそこに発生したスターゲイトという謎の空間を通り、ボーマンは人類を超越した存在であるスターチャイルドへと進化を遂げましたとさ。

難しすぎる。

ここで完全に脳が焼き切れてしまった世界中の映画評論家たちはとうとう理解したフリをして拍手喝采をしだした。仕方ないんだよ、だって全然簡単じゃない・・・もはや薬物中毒者の妄想レベルだ。もうキューブリックに腹が立ってくるよね。スターゲイトのシーンは約10分なんだけど、その間はずーっと不協和音と共にイカれた映像を見せられるものね。

と、これが今作品の全貌なんだけども・・・そりゃ理解できなくて嫌う人がいてもおかしくないわな。

この映画の解釈について

僕の初見は小学生だったんだけど、当時は意味が全くわからず観終わった後に呆然としたような覚えがある。ただ、その後も何度か観直したし本記事を書くにあたり再度改めて観たんだけど・・・今ではコメディのように笑いながら観てしまう。

ざっくり言うと人類はモノリスを通じて進化を遂げ400万年経ち、またもモノリスを通じて人類を超越した存在へと進化を遂げたよって話なんだ。1章で人類の起源~現代(映画内においての現代ね)、2章で現代に起きた事件、3章で未来を描いてる。つまりキューブリック監督と脚本のクラークが描いたのは人類史+人類の未来(予言)というわけだ。

確かにかなり理解しにくい作りになっているけど、1章は丸ごとプロローグだと思ってくれればOKで、問題の3章はキューブリックの描く人類の未来の希望。僕はこうなったら面白いと思ったんだけど、皆はどう思う?みたいな。そんな感じさ。その3章でスターゲイトを抜けたあと、ボーマン船長が変な綺麗な部屋で暮らし老いていくシーンがあるけど、ここがまた唐突すぎるし説明ないしめちゃくちゃだよね。

でも理解できなかった、が正解なんだ。

だってキューブリックが描くまだ見ぬ人類の未来だもの。現代の人類が理解できるようなら既に到達してる。理解しがたい何かが宇宙の向こう側にあるかもしれない。だから理解できなくて当たり前だし、キューブリックも理解しにくいように作っているんだ。

は??

いや、多分だけど本当に理解しにくく作ってる。僕達人類がまだ理解しがたい何かが宇宙の先にはあるかもしれないって考えたら面白いよね??ね??がキューブリックの表現したかった事。

残念だけど僕達は映画史上一番イカれた監督キューブリックさんに振り回されたんだ。代わりに僕が謝るよ・・・ごめんねw

評価

この映画は公開当時も賛否両論で真っ二つだったそうだよ。でもね、これ1968年の映画なのよ。その時代で既にこの構想と映像表現の技術、感性を持っていたのは信じられないレベル。

だって、まだ人類が月に行く前だからね?

なんか相当学者だのなんだのを集めてディティールをつめていったんだとさ。この映画作るのに4年かけてんだとさ。もうそういう映画馬鹿なキューブリックを知ってると今作品が真面目なSF大作としてではなく、シュールレアリスムのコメディに見えてしまうんだ。そもそもこんな難解ストーリーなのに観客をひきこんで観せ続けているのはキューブリックのすごさだと思う。

それとは別に映画のジャンルを多角的にし、色々な手法やアイデアを今作品1本で世界に提供したのはすごいよね。特に2章に注目すると、そこには秀逸なSFホラーストーリーがある。有名大作だとエイリアン1ターミネーター2など人工知能が人間を超え、機械的に人間を襲うという素晴らしいプロットを今作品は1968年の段階で世界に表現したんだ。昔スーパーファミコンのゲームでスクエアから発売されたライブ・ア・ライブのSF編なんかは今作品の影響をもろに受けている。

長くなったけど最後に・・・僕にとってキューブリックはTOP3に入るほど大好きな監督だ。今生きていたらどんな映画を撮っていただろう?とよく考える。昨今、映画業界はとりあえず漫画原作にしておけば興行的にはOKだとか、とりあえず人気シリーズの続編を作るだとかが蔓延してるよね。仕方ないとはわかっていてもどこか悲しい。例えば貴方が映画監督だとして大金を突っ込み4年かけて制作した勝負作品で、冒頭から25分間セリフ無しという大ギャンブルをかませるだろうか?僕にはできないけど、それをやったのがキューブリックでありこの映画なんだ。どうか、キューブリックを好きになってほしい。ちなみに僕の一番のおすすめはバリー・リンドンだよ。いつか観てみて!

もっと書きたい事がたくさんあるけど長くなりすぎるので割愛失礼。とにかく、この映画は人生で1度は観るのをオススメするよ。どうして金字塔と呼ばれてるか?是非自分の目で確認してみてくださいな。

では、良き映画の時間をお過ごしください。