映画「シャイニング」あらすじ、感想【続編も決定した傑作ホラー】

シャイニング

1980年公開。スタンリー・キューブリック監督による傑作ホラー映画です。

原作と全然違うと言われてますが、違うというより大幅に端折ってると言った方が正確だと思います。正直なところ、個人的には原作より映画の方が面白いと感じましたね!主演のジャック・ニコルソンの狂気に満ちた演技は最高なので、是非1度は観てみる事をオススメしますよ!

本記事ではあらすじ、キャスト情報などの他に感想、視聴方法も記載しています。

ジャンル:ホラーミステリー
作品時間:119分

作品情報

ドアの裂け目から覗きこむジャック・ニコルソンのシーンが有名な今作品・・・映画を観た事が無い人でもジャケットは見た事あるのではないでしょうか。ちなみにこのシーンはたった2秒ほどですが、2週間かけて190回以上の撮り直しをしたそうです。これだけでもキューブリックがどれだけ頭がおかしいかわかると思いますw

それと印象的なダニーが三輪車で駆け回っているシーンですが、当時開発されたばかりのステディカムというものが使われていて、移動しながらの撮影がかなり滑らかになっています。

あらすじ

冬の間だけ閉鎖されるホテルに、作家志望のジャック一家が管理人としてやってきた。しかしこのホテルは以前の管理人が孤独に心を蝕まれたあげく家族を斧で惨殺し、自殺したという事件が起こった曰くつきだった。シャイニングという超能力を持つジャックの息子ダニーは、ホテルの持つ怪異に気付くが・・・?

キャスト、スタッフ

原作 – スティーブン・キング
監督・脚本・制作 – スタンリー・キューブリック

ジャック・トランス – ジャック・ニコルソン
ウェンディ・トランス – シェリー・デュヴァル
ダニー・トランス – ダニー・ロイド

ディック・ハロラン – スキャットマン・クローザース

スチュアート・アルマン – バリー・ネルソン
デルバート・グレイディ – フィリップ・ストーン
ロイド(バーテンダー) – ジョー・ターケル
ラリー – トニー・バートン

子役のダニーを演じたダニー・ロイドは約5000人の中から選ばれましたが、今では俳優業をやめて生物学の教授になっているそうです。

ジャック・ニコルソンは引退してから激太りしてバスケの観戦ばかりしてるようです。あの味のある顔つきは相変わらずなので、気になる方は検索してみるといいかもw

※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。

 

 

感想

  • 終始流れている不協和音BGMがエグい
  • ジャックが狂ってからが本番
  • キューブリックは変人だと思って観るべき

原作を大幅に改変したキューブリック

原作を書いたスティーブン・キングは今作品を人生かけて批判している。

その理由は原作の中核をなすシャイニングという超能力と、ホテルの怪異という2つの点を大幅に削ったからだ。

というのも今作品には元ネタがあり、その名をスタンレーホテル・・・心霊現象が異常に起こる為、予約をとるのが非常に困難なホテルだ。中でもウィルソン婦人と呼ばれるメイドの幽霊が出現すると言われている217号室は目撃者も多数おり、スティーブン・キングはこの217号室に宿泊して執筆したそうな。その時に見た悪夢や実体験を小説に落とし込んでいるからか、キューブリックの端折った今作品には納得がいかないのだろう。

一方キューブリック側にも事情があり、前作のバリー・リンドンがコケたので絶対にあてなきゃいけなかった。スティーブン・キングのシャイニングというベストセラーを映画化というのは何ともキューブリックらしくない。ただ、彼は映画界屈指の変人・・・少しでも気に食わないところがあると壁に本を叩きつけていたが、この小説はちゃんと最後まで読んだそうだw

ちなみにスティーブン・キングは映画を批判しない事を条件に再度自身で脚本を仕上げドラマ化したが、キューブリックが死んだ後はまた映画の批判をしている。相当ムカついたんだろうね。

ただ・・・結論から言うと、個人的には映画版の方が圧倒的に面白い。

僕は当ブログで何度も書いているが、原作通り=名作という感想はあまり好きじゃない。基本的に映画とは2時間という枠があって、その中で完結させなきゃいけないとなると雑音になる部分は引き算するべきだと思う。

実際シャイニングという超能力とホテルの怪異をメインに描いたら、今作品はB級SFホラー程度で終わってたんじゃないかな。確かにスティーブン・キングは何本も映画化してる売れっ子作家だし僕も好きな映画は何本もあるけど、今作品においてキューブリックの判断は間違ってなかったと言いたい。

原作を端折ったから主人公のジャックが狂ってしまった理由が最後までわからないと一部で言われているけど・・・そんな事ない。

ちゃんと演技でも映像でも明確に表現していたと思う。

ジャックが狂ってしまった理由

どうしてジャックが狂って妻と子供を襲う事になったのか?

答えはホテルの怪異だ。確かに仕事のストレスや妻への苛立ちもあったけど、そうした負の感情はあくまでもキッカケにすぎない。冷静に考えればわかる事だけど、仕事のストレスを抱えたからといって奥さんや子供に殺意を抱くのは普通じゃない。何かしら特殊な条件がそろわない限り、そのような愚行を人間は犯さないんだ。

それを笑いながら斧持って追い掛け回したのは、間違いなくホテルの怪異という非現実なモノに触れてしまったからだ。はじめはただ仕事がうまく捗らず、妻に八つ当たりしていただけのようにも映るけど、少しずつ精神がおかしくなり悪夢まで見始めた。そしてとうとう問題の237号室の様子を見に行きイカれたおばさん幽霊とキスした事で仕上がる。

このジャックを演じたジャック・ニコルソンは本当に素晴らしい演技だった。撮影中は段階的に薬物でも打ったのか??と疑いたくなるくらい表情が変わっていく。元々悪役面だけど明らかに目つきや雰囲気が違う。

電話不通、無線も切り、外は豪雪・・・完全に陸の孤島と化したホテルで精神がイカれた夫が斧を持って追いかけてくる・・・こんな完璧な舞台は無いってくらい出来上がってるよね。ここにホテルの怪異やシャイニングという超能力であーだこーだなんて要素は本当に蛇足にしかならなかったと思う。

しっかりと端折って2時間の映画に仕上げたキューブリックはさすがだ。

リアルでも出演者が狂ってしまった理由

シャイニングのメイキング映像があるんだけど、そこに映っている妻役のシェリー・デュヴァルはかなり苛立っている。

何故かと言うとキューブリックがNGを出して何度も撮影したり、時には罵倒までしてたので精神的に相当参っていたそうだ。この話の恐ろしいところは、これをキューブリックが意図的にやったという事。映画馬鹿にも程があるが、このおかげなのか作中のシェリー・デュヴァルは怪演でジャック・ニコルソンから逃げる時の表情は、多分本当に殺されると思ってるレベルw

そして、もう1人キューブリックに振り回された人がいる。それはハロランを演じたスキャットマン・クローザース。彼はジャックに斧で切りつけられるシーンを約40回も撮り直し・・・当時70手前だった彼を心配してジャック・ニコルソンがキューブリックに「もうやめよう」と頼んだほど・・・結局彼は精神的にも身体的にも消耗し、撮影終了後にリハビリ通院している。

こうしたキューブリックの過剰なやり方は今でも賛否両論あるみたいだけど、もうこの監督は仕方ない・・・。2001年宇宙の旅でもそうだけど、自分が描きたい事の為には何を犠牲にしても徹底して完璧に仕上げるという超変人なんだから。

この映画は初っ端からどんなシーンにも不協和音が流れ続け、何かヤバい事が起こりそうな雰囲気が常に漂っている。前半1時間を完全な布石に使っていて、クライマックスはジャックが狂ってからのラスト40分だけど、なんかもう冒頭からクライマックスを観てる感覚になるほどだ。怖がらせる為のフリはどんなホラー映画でもやるが、変人キューブリックの映像センスとバランス感覚のおかげでかなり独特な作品になったと思う。

はっきり言ってこんなに品のあるホラー映画は他にない。

評価、視聴方法

続編「ドクター・スリープ」も必見!

息子役のダニーの40年後を描いたストーリーになりました。

スティーブン・キングが2013年に発表した正式続編で、主演はユアン・マクレガーが演じています。2019年11月にとうとう公開となりました。早速僕も映画館で観てきてレビューしましたよ!あの犬猿の仲だったスティーブン・キングとスタンリー・キューブリック・・・にもかかわらず続編が作られた理由なども含め、感想を書かせていただきましたので良ければこちらも宜しくです。

ドクター・スリープの記事

「シャイニング」の視聴方法

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僕の大好きな監督の1人スタンリー・キューブリック!彼に興味を持った人は・・・まずフルメタル・ジャケットあたりを観るのをオススメします。いきなり2001年宇宙の旅はオススメしませんw

では、良き映画の時間をお過ごしください。