映画「ランボー/最後の戦場」あらすじ、感想【ラストに感涙!スタローンの本気】

ランボー/最後の戦場

2008年公開、人気シリーズ「ランボー」の4作目。

全作品の主役を務めてきたシルヴェスター・スタローンがとうとう自身でメガホンをとりました。

スプラッター映画顔負けの凄惨で残虐なシーンもてんこ盛りのリアルな戦争映画なので、グロ系が苦手な方は本当にオススメしません。が、ただの戦争アクション映画とは違い、非常にメッセージ性が強く、1本の映画として素晴らしい作品になっている事は保証しますよ。

本記事ではあらすじ、キャスト情報などの他に感想、視聴方法などを記載しています。

ジャンル:戦争アクション
作品時間:91分

作品情報

今作品はミャンマーでの現実問題を描いています。この地では70年も内戦が続いており、今もまだ安定したとは言えません。

世界の中でも群を抜いてアンタッチャブルな地域と言える舞台をシルヴェスター・スタローンが選んだ理由は・・・報道があまりされてないので現実を知ってほしいという想いからだそうです。

シルヴェスター・スタローンという人はロッキーやランボー、最近だとエクスペンダブルズなどでも現役バリバリのアクションをこなすので、どうしても筋肉ムキムキのアクション俳優というイメージだけが先行してるんですけど、実は映画に対して真面目な考え方を持った素晴らしい方なんですよ!

あらすじ

タイ北部の山奥で孤独な日々を送っているジョン・ランボーのもとに、少数民族を支援するキリスト教支援団体の女性・サラ達が現れる。彼女らは軍事独裁政権による迫害が続く隣国ミャンマーの窮状を憂い、紛争地域に医療品を届けると聞かない。仕方なく手を貸す事にしたランボーはまたも戦場に戻る事になるが・・・。

キャスト、スタッフ

監督・脚本 – シルヴェスター・スタローン
制作 – アヴィ・ラーナー

ジョン・ランボー – シルヴェスター・スタローン

サラ・ミラー – ジュリー・ベンツ
マイケル・バーネット – ポール・シュルツ

スクールボーイ – マシュー・マースデン
ルイス – グレアム・マクタヴィッシュ
ディアス – レイ・ガイエゴス
リース – ジェイク・ラ・ボッツ
エン・ジョー – ティム・カン
パ・ティー・ティント – マウン・マウン・キン
ビエン – スパコン・ギッスワーン

マウン・マウン・キンという方は元ミャンマー海軍の中将だった人です。凄惨な現実を世界の人達に知ってほしいという想いからこの役をやったそうです。というのも、今作品に出演した役者の中には、映画に出たという理由だけで親族が逮捕された人まで・・・嘘みたいな本当の話です。

どれほど簡単に介入できない問題かわかると思いますが、それを映画にしちゃったスタローンはすごすぎますね!

※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。

 

 

感想

  • スプラッターのような銃撃シーンは半端じゃない
  • ドキュメンタリーに近いメッセージ性
  • スタローンの人間としてのかっこよさに惚れる!

綺麗事を抜いた現実を描いている

圧巻!ランボーシリーズ最高傑作と言える。

撮影当時なんてもっと異常で狂気なジェノサイドがあったミャンマー、それをリアルタイムに映画にしてしまったスタローンと今作品はもっともっと評価されるべきだと思う。

まず何よりも超リアルな銃撃や爆発シーン・・・。首は飛ぶし、腕、足も吹き飛ぶし・・・人間がもろくも木っ端みじんになっていく。

スプラッター映画だと作り物だという事を理解して観るよね。それでも「うわあ・・・」となるのがスプラッターなわけだけど、今作品のグロテスクな描画はミャンマーで何十年と続いている現実を描いてるので、こうした映像が余計に心と脳に入ってくる。

昔のランボーが好きな人の中には否定的な意見の人もいるみたいで、僕が見たレビューの中には「ランボーが戦う理由がハッキリしてないから、全然ダメ」という人がいた。確かに過去3作と比べると戦う理由は無いに等しいかもねwもはや巻き込まれたレベルだし。

でもランボーはもう現実に辟易し、自分の圧倒的な暴力に呆れ果てたから山奥で目立たず生きていたんだ。何の為に生きているのかもわからず、考えもせず、ただ食べて寝る・・・そんな人生に希望も絶望も見たくなくなった彼のもとに「戦争を止めたいんだ!被害にあってる人達を助けたいんだ!」とかいう自己満足という名の正義感を振りかざしたバカ共が登場したってわけだ。

ランボーからしてみれば、もう勘弁してくれという気持ちが強かっただろう。だからはじめは「いいから帰れ」と頑なに協力を拒んでいたし、これは同時にランボーの優しさとも言えるよね。それでもキャンキャンうるさいから仕方なく協力して紛争地域まで送ってあげたら、やっぱり襲撃に遭いヒロインは拉致されるという・・・戦う理由があるとすれば優しさという気まぐれだよ。でも僕からしたらむしろランボーらしいと思ったけどね。

で、とうとうランボーが戦場に戻ったら・・・血の雨どころじゃない。

簡単に人を殺す事ができるし躊躇もしない。紛争地域に送る途中、海賊に襲われた時にランボーはものすごいスピードで殲滅した。ランボーがやらなきゃ全員殺されていたかもしれないのにヒロインの婚約者マイケルはそれでも「人の命を奪うのは許されない」と怒る。

蹴り飛ばしたくなったのは僕だけじゃないだろうw

ランボーの心を巣くう闇

ランボーとスタローンって何故か誤解されているところがある。

それは過去3作には娯楽色の強い映画という印象があるのだ。(1はむしろかなりシリアスだけども。)でも改めて観ればわかるけど、中身はどれも実際に起きている凄惨な戦争にフォーカスをあてている。言うなればランボーと一緒に観る戦争史と言っていい。そこに描かれているランボーは確かに無敵レベルで強いが、アメリカの闇ともいえるキャラクターであり、決してスーパーマンのような煌びやかなヒーローじゃない。今作品のランボーだってPTSDに苦しみながら生きてきた末路なわけで、実は過去3作とテイストは変わらないんだよね。

それとスタローンはランボーの他にロッキーというもう1つのアイコンを持っているせいか、どうしてもアクションがすごいだけの俳優というイメージが強すぎる。演技派とまで言わずとも素晴らしい役者だと思うけどね。

今作品がつまらないと感じた人の多くは、ランボーとスタローンにこうした明るい印象を持ってた人達なんじゃないかな。確かにエンタメ性は過去作の方が強いけど、個人的にはリアリティが跳ね上がったこっちの方が面白かったよ。

別にグロテスクな描画が良かったと言ってるわけじゃなく、根幹のストーリーも含めてミャンマーというアンタッチャブルな内戦をしっかり描いている事、それが素晴らしいのだ。

そんな凄惨な現実から目を背けつつも立ち向かうランボーの心理描写はリアルすぎて引くレベルだよ。スタンリー・キューブリック監督のフルメタル・ジャケットを観た事ある人ならわかると思うんだけど、あの映画の後半に近い気持ちにさせられるというか・・・。

戦争という行為がどれほど人の命を奪い、生き残った人の心を殺すのか・・・それをランボーというフィルターを通して感じさせてくる。

痛烈なメッセージはもはやエンターテイメントというよりドキュメンタリーだ。

ちゃんと映画にしてくれたスタローン

ある2つのシーンがなければ映画とは言えなくなってたかもしれない。

まず後半クライマックスのランボー大暴れシーンwまさにランボーらしく機関銃をぶっ放すどんちゃん騒ぎ!それはそれは大迫力なんだけど、何度も書いてる通りあまりにもリアルな銃撃シーンの為、ちょっと引くレベル。

それは決して映画的なカタルシスではないんだけど、なんというか現実的なカタルシスがあるんだよね。他の映画で同じような銃ぶっ放すクライマックスシーンって「やっちゃえやっちゃえ~!」って感じ。この映画では「・・・やるしかないもんな、生きてくれええ!」こんな感じw

僕が今作品で一番グッときてしまったのは、この大銃撃戦が終わった後・・・そこら中に転がる死体と生き残った人達をただ見つめるランボーだ。

戦争を止めたいんだ!被害にあってる人達を助けたいんだ!」とイキっていたサラは、数多の死体を見渡しながら自分がどれ程思慮の浅い行動をしていたのかを実感し、人の命を奪うのは許されない」とランボーに怒ってたマイケルは感謝の気持ちを込めてなのかランボーに手を振る・・・。で、肝心のランボーは自分の圧倒的な殺傷能力といつまでも解決しない戦争という現実に、ほんの少しだけ呆れたような無力感に満ちた表情をするだけ・・・。大団円とは言えない、まるでバッドエンドのような雰囲気だけど・・・ミャンマーの現実がまさにそうなんだよね。

そして2つ目のシーンが、その後にくるラストシーン。いやでもこれは・・・是非、自分の目で観て欲しい。もっと言うとランボーの1作目を観てから今作品を観て欲しい。

確かにこの映画はミャンマーの現実を描いた事でリアリティが強くなりすぎたかもしれないけど、このクライマックス~ラストシーンでちゃんとエンタメにしていて、ちゃんとランボーを描いていて、そしてちゃんと映画に落とし込んでいる。

僕はこんな素晴らしい作品を作ったスタローンがより好きになったよ。

評価、視聴方法

続編ランボー5がとうとう公開!

2019年9月にとうとう続編が公開します。

正直この4にあたる最後の戦場で素晴らしい完結とも言えるんですが、シルヴェスター・スタローンは元々今作品が当たったら5作るって言ってたんですよね。彼の素晴らしいところは、大切な事を世の中に伝える為なら、自身の代名詞ともいえるランボーというキャラクターをガンガン利用する点だと思います。

ムダに生きるか、何の為に死ぬか・・・お前が決めろ

ちなみにキャッチコピーにも使われたこの名言・・・なんとミャンマーで生き抜く人達の共通言語になっているそうです。日本で生きているとあまりにも平和すぎて鈍感になっちゃいますけど、たまにはこうした骨太でリアルな映画を観て自分なりに戦争というものを考えてみるべきだと思いましたね。

ちなみに続編の5ではどうやらメキシコの麻薬カルテルと戦うみたいです!

「ランボー/最後の戦場」の視聴方法

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戦争映画ってたまに観たくなりますが、そういうのが好きな人はプライベート・ライアンフルメタル・ジャケットなんかもオススメですよ!

では、良き映画の時間をお過ごしください。