ル・マン耐久レースにおけるフェラーリとフォードの競争を題材にした実話がベースの映画です。
僕は映画館にてIMAXで鑑賞したのですが、とにかく面白かったですね!マット・デイモンとクリスチャン・ベールの2人がW主演・・・これだけでかなりの安心感がありますが、他のキャストも期待以上に名演ですし、息の詰まる展開と大迫力のカーレースシーンは必見です!ちなみに元々はマイケル・マンやジョセフ・コシンスキーが監督をする流れもあったそうですが、最終的には17歳のカルテやローガンのジェームズ・マンゴールドがメガホンをとりました。
本記事はあらすじ、スタッフ・キャスト情報の他に、感想や評価を記載しています。
[ジャンル]スポーツ、ヒューマンドラマ[作品時間]153分
[公開日]アメリカ:2019年11月15日 / 日本:2020年1月10日
作品情報
- 作品賞
- 音響編集賞 – ドナルド・シルヴェスター
- 録音賞 – ポール・マッセイ、デヴィッド・ジャンマルコ、スティーヴ・A・モロー
- 編集賞 – アンドリュー・バックランド、マイケル・マカスカー
ご覧の通り、ロッテントマトの評価は超高いですし、アカデミーでも4部門ノミネートされました!観ればわかりますが、大迫力な映像は寿命が縮むんじゃないかってくらい刺激的で、登場人物達の人間ドラマも素晴らしかったです。
あらすじ
1963年、アメリカの巨大自動車メーカー・フォードは、ル・マン24時間レースを4連覇するも経営難に陥っていたイタリアの自動車メーカー・フェラーリの買収を試みた。しかし創業者のエンツォ・フェラーリから「フォードは醜い車でも作ってろ」と言われた事でフォード社のヘンリー・フォード二世会長は激怒、ル・マン参戦の為にシェルビー・アメリカン社長のキャロル・シェルビーと天才レーサーのケン・マイルズを招集する。果たして2人は王者フェラーリに勝てるのか?
スタッフ・キャスト
監督 – ジェームズ・マンゴールド
製作 – ピーター・チャーニン、ジェンノ・トッピング、ジェームズ・マンゴールド
音楽 – マルコ・ベルトラミ、バック・サンダース
キャロル・シェルビー – マット・デイモン
ケン・マイルズ – クリスチャン・ベール
モリー・マイルズ – カトリーナ・バルフ
ピーター・マイルズ – ノア・ジュープ
ヘンリー・フォード2世 – トレイシー・レッツ
リー・アイアコッカ – ジョン・バーンサル
レオ・ビーブ – ジョシュ・ルーカス
エンツォ・フェラーリ – レモ・ジローネ
フィル・レミントン – レイ・マッキノン
チャーリー・アガピオウ – ジャック・マクマレン
ロイ・ラン – JJ・フィールド
ジャンニ・アニェッリ – ジャン・フランコ・トルディ
ブルース・マクラーレン – ベンジャミン・リグビー
デニス・ハルム – ベン・コリンズ
ロレンツォ・バンディーニ – フランチェスコ・バウコ
ドン・フレイ – ジョー・ウィリアムソン
ダン・ガーニー – アレックス・ガーニー
フランコ・ゴッツィ – コッラード・インヴェルニッツィ
Dr.グレンジャー – ウォレス・ランガム
クリスチャン・ベールの「はあ?」みたいな煽り顔は最高でしたねwマット・デイモンと最高のバディでした!
※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。
感想・評価
- 細かい事抜きに、ただ面白い
- 引き込まれるレースシーンは圧巻
- クリスチャン・ベール最高!
痛快な池井戸潤的カタルシス
なんて気持ちのいい映画なんだ。
2時間半あるとは思えないスピーディーな展開と密度の濃さは、ただただ面白い。ストーリーを引っ張る主人公2人も超魅力的で、不器用な性格の為に商売もうまくいかないけど、飛びぬけたレーシング技術を持つケン・マイルズと、社会性がありうまく立ちまわるも病気で一線を退いた過去を持つ元レーサーのキャロル・シェルビー、彼らは対照的に見えるけど、どちらも少年のまま大人になったような似た者同士だ。
今作品はこの2人がフォードに雇われて、ル・マン24時間レースの絶対王者であるフェラーリをぶっ潰すというわかりやすい構図で出来ている。正直カーレースの事を全く知らない僕でも内容はよく理解できたし、全然楽しめた。その理由はわかりやすさもあるけど、何よりも悪役を含め魅力的なキャラクター達がいたからだと思う。
中でも僕はケン・マイルズが好きだったね。(皆そうかもw)クリスチャン・ベールの人を小馬鹿にしたように煽る表情には、演技だとわかっていても心底腹が立つww寡黙なバットマンを演じた男とは到底思えない徹底した役作りには、今回も感服だよ。痩せたり太ったり本当にすごい役者だと思う。もちろん相方のキャロル・シェルビーを演じたマット・デイモンも文句なし!本来なら鼻につきそうなエリート的キャラクターなんだけど、この人がやると嫌味っ気の無い表情のせいか好感が持てるんだよね。
フォードvsフェラーリ・・・なるほど!この2人が正義として描かれ、敵であるフェラーリが悪役というわけだな!
と思ってたら違うんかい!気持ちの良い2人の主人公を阻むのはまさかのフォードの経営陣だったwなんならフェラーリ側の人間描写はほとんどしない。で、このフォードの経営陣の1人レオ・ビーブという男が本当むかつくんだ。それはもう演じたジョシュ・ルーカスの好感度が下がるんじゃないかと心配になるくらいイライラさせてくる。会長のヘンリー・フォード2世も表面的にはマイルズとシェルビーを応援してくれていると思いきや、レオ・ビーブの助言を聞き入れたり、クライマックスのレースをちゃんと観戦しなかったりと、やはりどこか大企業の体質なのだ。
ビジネス上の体裁や世間体を気にする反面、何とかフェラーリに勝ちたい経営陣と、真剣に車を愛しレースを愛し勝利の為に突っ走るマイルズ&シェルビーの対比は現代社会でもよく目にする上層部vs現場なのだ。ただ観ていると、確かに社会ってこういうものだしな~と感じる仕方なさもあるわけで、つまり今作品は現実で滅多に起きない奇跡の物語・・・まるで池井戸潤作品のような痛快さを持っていた。
ただのカーレース作品じゃなく、こうした人間ドラマを深く掘り下げたからこそ、よりクライマックスで感情移入できたし、気持ちの良い映画に仕上がってるんじゃないかと感じたね。下手に小細工しないでこうした王道の骨太作品を作ってくれたジェームズ・マンゴールド監督には感謝を述べたいよ。
息もできない圧巻のレースシーン
久しぶりに映画館で前のめりになってしまった。
今作品は前述したように、まず魅力的なキャラクターと彼らの人間ドラマを丁寧に掘り下げて描いてくれている。はっきり言ってそれだけでも見応えがあったし楽しいんだけど、何よりもカーレースこそ必見なのだ。稚拙な表現で申し訳ないけど、とにかくすごいのよ。車も本物を走らせたらしく迫力は最高!地面スレスレの映像なんか目を伏せたくなるくらいハラハラする。その緊張と興奮は本当に目の前で見てるかのような感覚にさえなった。
もちろんクライマックスもいいんだけど、個人的には1発目のレースシーン!窓ガラスが割れた車でマイルズが爆走するんだけど、この時点で信用性の担保がされたというか・・・今作品のレースシーンは間違いないなと確信できるんだ。それもよくできたシーンとかそんな合格点云々のレベルじゃない。
間違いなく映画史に残る最高にキレッキレの映像だ。
エンジン音なのかBGMなのかわからなくなるような音の使い方も素晴らしかったし、ハンドルを握った時により豹変するマイルズの面白さは、ただただ楽しかった。車に詳しい人が観たら細かい部分でつっこみどころもあるのかな?僕には全くわからないけど、ここまで興奮するカーレースシーンは観た事ないし、レーサーという人種に憧れるようなカッコよさがあったよ。レースに勝つ事なんて予想できてるはずなのに、しっかりハラハラさせられてしまった。
CGが当たり前になった現代で、まさかこんな極上の映像を体験できるとは思わなかったね。
クリスチャン・ベールという俳優
この人を知らない人は是非googleで画像検索してみて欲しい。
多分同一人物とは思えない彼の顔写真が数多に出てくる。激やせや激太りは当たり前、役作りの為なら歯並びは変えるわ、髪の毛は抜くわ・・・何でもやってのけてしまう俳優だ。特に実在した人物を演じる時は外見もかなり似せてくるんだけど、今作品のケン・マイルズもまた激似でいつもの事ながら驚嘆してしまう。
前述したようにケン・マイルズとは車が大好きな妥協なき天才レーサー、でも反面人付き合いが下手な不器用男・・・ただマイルズの持つ比類なき才能に惹かれた人達だけは彼を後押しする。性格も偏屈で変人of変人だし、人を煽るような顔つきは最高にムカつくwでも奥さんやシェルビーはマイルズを信じていて、特に息子のピーターにとってはヒーローのようなお父さんなのだ。
不思議だけど、確かに観てるこっちも応援したくなったんだよね。
これはもちろんクリスチャン・ベールの演技力だけじゃなくて設定も含めてケン・マイルズというキャラクター自体の描き方が素晴らしかったんだろうけど、やっぱり役作りでここまで仕上げてきたクリスチャン・ベールは称賛に値すると思う。
最後のクライマックスなんて映画だとわかっていても心の中で「やっちまええ!!」って叫んじゃったよwここまでしっかりとした骨組みと土台のあるストーリーに最高の俳優陣が出揃った今作品・・・こりゃシンプルに面白い。ここまで童心に帰らせてくれるとは思ってなかった。
出来れば映画館で観るべき映画だけど、間に合わなかった人もDVDやブルーレイなど何でもいいから絶対観た方がいい。万人が楽しめる最高の1本なのは間違いないよ!
まとめ
映画好きも唸る上に万人受けする傑作
ダメ出しする部分が一切ありませんでした。
他にも数多に絶賛したい点があるんですが、あとは是非ご自身で体感してほしいです。この映画は観て欲しいというより体感してほしいんです!最近の映画館は、席が動いたり水が出てきたり4DXみたいに画面がいくつもあったりと様々な形になってきました。確かに作品によっては楽しいですよねw特に子供達が映画を好きになるキッカケになると思いますし、賛否両論あれど僕はどちらかというと肯定的に考えています。
ただ今作品は映像と音だけでまさに「体感」させてくれます。それはカーレースシーンの事だけを言ってるのではなくて、俳優陣の素晴らしい演技や車などの美術関係も含めてのお話でして、その完成度たるや最上級のエンタメと言っても過言ではありません。
映画の感想は十人十色ですが、これは誰もが面白いと思える傑作と言えるんじゃないでしょうか。もし駄作という人がいるなら逆に意見を聞いてみたいですねwここまで僕がハードルをあげても軽く超えてくるので、是非騙されたと思って1度鑑賞してみてください。これぞ興奮のるつぼだと僕は思いました。
では、良き映画の時間をお過ごしください。