映画「アイアムアヒーロー」あらすじ、感想【原作超え?傑作ゾンビ邦画】

アイアムアヒーロー

2016年公開。キングダム佐藤信介監督によるゾンビ映画です。

ゾンビというとB級映画と思われがちですが、ウォーキング・デッド以降は世界中で大作映画として作られる事が多くなってきました。今作品は日本だけじゃなく、世界でも屈指の面白さを誇るゾンビ映画と言えると思います。花沢健吾先生の原作漫画も面白いですが、この実写版もオススメします!

大泉洋長澤まさみ有村架純の3人が主要キャストなので、ライト層でも非常に観やすい映画となっているのも良い点ですね!

本記事ではあらすじ、キャスト・スタッフ情報の他に、個人的な感想、視聴方法も記載しています。

ジャンル:ホラーアクション
作品時間:127分

作品情報

  • 第48回シッチェス・カタロニア国際映画祭 – 観客賞、最優秀特殊効果賞
  • 第36回ポルト国際映画祭 – 観客賞、オリエンタルエキスプレス特別賞
  • SXSW 2016 – 観客賞
  • ジャパンアクションアワード – ベストアクション作品賞、最優秀賞

上記を見てもわかる通り、特に海外の映画祭で観客の評判がかなり良かったようです。実際に鑑賞してみるとわかりますが、ゾンビの造形やパニックホラーとしての展開の仕方は、邦画とは思えないクオリティですよ。

あらすじ

35歳で漫画家のアシスタントをしている鈴木英雄は、15年前に新人賞を受賞して以来、出版社には相手にされず、恋人・黒川徹子にも呆れられるような冴えない日々を過ごしていた。ある日、それでも再デビューの夢を諦めない英雄に、徹子は溜まっていた鬱憤をぶつけ家を追い出してしまう。しかし次の日、言い過ぎたと徹子から電話がかかってきて仲直りをするが、電話口の徹子の声がおかしい。風邪を心配し英雄は急いで家に戻ってみるが・・・。

キャスト、スタッフ

原作 – 花沢健吾
監督 – 佐藤信介
脚本 – 野木亜紀子

鈴木英雄 – 大泉洋
早狩比呂美 – 有村架純
藪(小田つぐみ) – 長澤まさみ

てっこ(黒川徹子) – 片瀬那奈

伊浦 – 吉沢悠
サンゴ – 岡田義徳
アベサン – 徳井優

中田コロリ – 片桐仁
松尾 – マキタスポーツ
三谷 – 塚地武雅

タクシー運転手 – 村松利史
千倉 – 風間トオル

長澤まさみと有村架純のダブルヒロインという構図で、どちらも超絶美人ですが、今作品は何よりも大泉洋抜群の演技力が光ったと思います。

※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。

 

 

感想

  • ゾンビがちゃんと怖い!
  • 大泉洋の演技が最高!
  • クライマックスは極上の緊張感

漫画原作の成功型

シンプルに超面白い映画。

今作品は映画では絶対に入れるべきフックという冒頭のツカミが無い。いきなり描かれるのは主人公・英雄の冴えない日常だ。本当ならばあまりに退屈なスタートと言ってもいいんだけど、この映画の場合は違う。

上にリンクした予告編の動画を見てみるとわかる通り、今作品はプロモーションの段階でゾンビ映画だと公表しているよね。実は原作と1番違うのがこの部分、原作だと単行本1巻はゾンビなんか出てこず、丸々鈴木英雄の冴えない日常を描いているんだ。つまり読者はこの漫画がどういう内容なのか全くわからない状況だった。僕自身、漫画を読んだ時、こんな博打を打つ作者と出版社にすごい感心した。

ただ映画だと話が違う。ゾンビ含めホラー映画というのは基本的に「怖い奴が出てきます!」とプロモーションで公表するので、冒頭からクソつまらない日常を描いていたとしてもゾンビがいつ出てくるかわからないという緊張感が持続するんだ。別に他の映画でもよくあるやり方だけど、今作品の素晴らしかった点はギアの上げ方だ。

これは原作でもそうだったけど、日常に少しずつゾンビという非日常が入り混じってくる。街中で大泉洋演じる英雄が戸惑いながら逃げるシーンなんて最高だよ。ゾンビに追われて逃げる人がいる横で、まだ普通に生活してる人が歩いていたりする。確かに街で誰かが喧嘩していても、積極的に止めに入ったりしないよねw

佐藤信介監督という人はキングダムいぬやしき等、漫画の実写化をよく手がけているけど、原作通りに作りすぎて映画としては微妙になる事が多いと僕は思っている。でも今作品は素晴らしい出来だ。原作の良さをしっかりと映画としてコンパクトに詰めこんでいるし、構成も綺麗だった。

邦画でもここまでできるんだ!と嬉しくなる作品だったよ。

大泉洋の底が見えない

現状日本で最強に近い役者だ。

大泉洋のすごい所は、作品や役によってかっこよくもダサくも映る点・・・いや、それどころじゃない。怖い役やむかつくキャラクターまで何でもござれだ。その上、主演を張って集客できてしまうんだから底知れないモンスター俳優だよね。最近は特に主演が多いけど脇に回ったって綺麗にこなすし、声もよくてナレーションや声優でも光る。はたまたバラエティに出たら芸人並みに笑いを取るんだから、映画のプロモーションでも大活躍だ。

そんな大泉洋、今作品では大事な所で一歩を踏み出せない普遍的なダメ男・鈴木英雄を演じている。ゾンビだらけで緊急事態なのに趣味の猟銃は「街中では人前に出しただけで捕まっちゃう」と言って使わなかったり、娘ほど離れている有村架純演じる比呂美の胸元に目がいってしまったりと、本当ただのダメ男・・・原作ではもっとクズだが、これが不思議と大泉洋が演じたせいか、どこか共感できる親近感の湧く男になっている。

ZQN(ゾキュン)というゾンビが出てくるただのパニック映画なはずが、このダメ男・英雄が大切な人を守る為にヒーローとなっていくストーリーも十分見応えがあって、うまく調和していた。

覇気の無いダメ男のボーッとした顔からゾンビを怖がるコミカルな表情、クライマックスでの覚悟を決めた時のリアルな顔つき・・・これら全てを演じきる事ができたのは大泉洋以外いなかったんじゃないかと思う。

英語を勉強してハリウッドいかないかなw日本の誇る素晴らしい役者だ!

ギアの上げ方が完璧だったクライマックス

冒頭は前述したように原作を意識したスロースタートだけど、そこからクライマックスまでの展開は秀逸だった。

シビアに言えば序盤の布石の置き方はちょっとあからさま過ぎて、そこまで言わなくてもわかるだろと思う程露骨だけど、突っ込む部分はこの程度。何よりもゾンビ自体が邦画とは思えないほど怖い見た目になっているので、日常が崩壊してからは極上の緊張感がしっかり継続できている。そしてクライマックスの舞台であるショッピングモールでの展開も非常に心地よいテンポで段々と怖く且つ、楽しくなっていった。

最後の猟銃でZQNを一掃していくシーンなんて猟銃の残り弾数、逃げ場の無い状況、英雄が他の仲間を守るしか無い構図と、全てがパニックホラーのクライマックスとして最高の舞台を作り上げていたね。しかも猟銃が弾切れしてからの大ボス戦・・・こんなの観てるこっちの足がすくむよw

同監督のキングダムが興行収入約57億円という大成功を収めて続編を作る気満々かもしれないけど、本当に続編を作るべき映画はこっちだ。大泉洋長澤まさみ有村架純という売れっ子3人のスケジュールは大変だと思うけど、是非作って欲しい!

原作は後半の展開が不評ではあるけど、オリジナルストーリーでもいいから続編を観てみたいと思わせた今作品の出来は間違いないよ。必見の傑作だ。

評価、視聴方法

世界で勝負ができる佐藤信介監督

間違いなく邦画のゾンビ映画で金字塔と言える傑作でした。

世界中にある数多のゾンビ映画と比較しても戦えるどころか、世界で1番面白いゾンビ映画と言う人がいてもおかしくないくらい面白い映画でしたね。ロメロから始まったゾンビ・・・今では走ったり馬乗ったりと色々なゾンビがいますが、今作品のZQNは人間だった頃の行動をトレースしてしまうという設定も良かったと思いますw

佐藤信介監督は漫画原作の場合、原作通りに作りすぎて映画としてイマイチになっている事がよくありますが、迫力のある映像センスや展開力は世界で勝負できる人だと思います。是非原作ファンや制作会社などに忖度しないで、今作品のような素晴らしい映画を今後も量産してくれる事を願っています!

深く考えず気軽に観れる傑作というのは最高ですね。超オススメの映画ですよ!

「アイアムアヒーロー」の視聴方法

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漫画原作の実写化で面白い映画だとピンポンなんか如何でしょう?ゾンビ物が好きなら韓国の新感染が面白いですよ!

では、良き映画の時間をお過ごしください。