監督としては新進気鋭のジョン・クラシンスキーが主演も務めたホラー映画です。
「音を立てたら、即死」というキャッチコピーの通り、会話も少なく静かに物語は進みますが、その反動となる恐怖は心臓に悪い映画No.1じゃないでしょうかwただストーリーの中核となる部分は、心が温まる家族愛や親子愛が描かれており、恐怖とのバランスの対比が素晴らしい傑作ですよ!
90分と短く観やすい長さですが、怖すぎて観てられなくレベルでしたwホラー好きにはかなりオススメの1本です!
[ジャンル]ホラー、SF[作品時間]90分
[公開日]アメリカ:2018/4/6|日本:2018/9/28
- 予告動画やキャスト情報
- ネタバレありの感想
- 評価と鑑賞方法
もくじ
作品情報
- 全米映画俳優組合賞/助演女優賞 – エミリー・ブラント
- 放送映画批評家協会賞 – 最優秀SF/ホラー映画賞
これは確かに最優秀に相応しいと思いましたね。アイデアの時点で素晴らしいんですけど、そこにちゃんとした怖さに見合うストーリーがついてきていたと思います。興行収入は大成功で、ホラー映画としては異例のオープニング興収5000万ドル超えとなりました!
あらすじ
ある日、宇宙からきた怪物によって地球は恐怖に陥った。怪物は盲目だが異常な聴覚を有しており、音を立てた人間はことごとく食われてしまった。月日は経ち荒廃した世界・・・生き延びたアボット一家は慎重に音を立てず、手話を使って生活していたが、ある物資調達の帰り道・・・末っ子のボーが音を立ててしまった事で怪物に殺されてしまう。ボーの死が影を落とす中、妊娠していたイヴリンは安全な場所で出産する為に地下室へ移動するが、階段の途中で音を立ててしまい、とうとう怪物に居場所を特定されてしまう・・・果たして一家の運命は?
スタッフ・キャスト
製作 – マイケル・ベイ、アンドリュー・フォーム、ブラッドリー・フラー
監督 – ジョン・クラシンスキー
脚本 – ブライアン・ウッズ、スコット・ベック、ジョン・クラシンスキー
原案 – ブライアン・ウッズ、スコット・ベック
イヴリン・アボット – エミリー・ブラント
リー・アボット – ジョン・クラシンスキー
リーガン・アボット – ミリセント・シモンズ
マーカス・アボット – ノア・ジュープ
ボー・アボット – ケイド・ウッドワード
老人 – レオン・ラッサム
製作がマイケル・ベイの会社だったんですね!知りませんでしたw
エミリー・ブラントはオール・ユー・ニード・イズ・キルや、ボーダーラインなどハードボイルドな作品から恋愛ものまで本当に器用な女優さんですね。ちなみに今作品の主演・監督を務めたジョン・クラシンスキーとは本当のご夫婦です。あとノア・ジュープ君はフォードvsフェラーリで最後にスパナを手にした息子役のあの子ですよ!
※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。
感想
- 緊張感の持続は映画史上最凶!
- アイデアはいいのに設定は・・・
- 映画よりもドラマ向き?
ホラー好きにはたまらない緊張感
ホラー映画の1番美味しいところのみを抽出した極上の恐怖だった。
来るか?来るか?来るのか!?・・・・・・って、来ないんかい!焦ったあああああwwやっぱ来るんかい!
ホラー映画は基本的に上記の方程式で驚かせてくる。この方程式をよく知っているのに何度も何度も騙されビビらされ、ストレスがマッハの状態で泣きそうになりながらも最後までちゃんと鑑賞し「もう絶対観ないわ、これ」と吐き捨てた挙句、数日後また観るという変態的趣向を持っているのがホラー好きという人種だ。
今作品はこうしたホラー映画体験が好きな人にはたまらない仕上がりになっている。
「音を立てたら、即死」というキャッチコピーの通りで、作中では大きな音を立てたら聴覚が異常発達した怪物がどこからともなく襲ってきてしまうのだ。だから登場人物達は足音を消す為に常に裸足だし、手話を通じて意思疎通を図っている。つまり日常生活で気を抜けるタイミングがないという事であり、前述した「来るか?来るか?」方程式が終始続くという事になる。
でも映画では緊張と緩和がすごく大切だよね。ずっと緊張感があるというのはどうなんだろう?特にホラーというジャンルでは「来ないんかい!焦ったああああwww」という瞬間があるからこそ、その後に毎回ビビらされるのだ。だから観る前まで僕は正直疑ってたよ。このアイデア1本じゃきつくない?と。
驚いたなあ・・・今作品は当たり前のように90分間ずっと怖かった。
その緊張感の持続は秀逸で、SFホラーの最重要作品であり僕の大好きなエイリアンを彷彿とさせる異常な恐怖だった。オマージュしてるのかわからないけど、明らかにエイリアンを意識したと思われるシーンもちらほら。
はっきり言ってストーリーは超簡単で、ある家族が怪物から逃げ隠れるだけ・・・でも素晴らしかったのは、そんなアボット一家の家族愛も丁寧に描かれている事だ。イヴリンとリー夫婦、聴覚障害を持つ長女リーガンに可愛い弟マーカス・・・彼らは冒頭で犠牲となってしまった末っ子ボーの死を引きずっていて、自責の念と悲しみを背負っている。
なんていうか、非現実のSFなのに家族描写がリアルなんだよね。
エミリー・ブラントの名演も相まって「頼むから逃げ切ってくれ!」と思わせるような素敵な家族だったからこそ、余計に怪物との対峙に血の気が引くのだ。ホラー映画のクライマックスで味わえる極上の緊張感と恐怖を、物語全体に染み込ませた上で、登場人物には上質なリアリティを乗せてきた今作品・・・かなりいいじゃないか!
誇張抜きでホラー屈指のアイデアだったと思うんだけど・・・だからこそプロットはもっと練って欲しかったよね。
もっと練って欲しかった設定
多分観た全員が突っ込んだんじゃないだろうか。
まず、何故子供を作ったのか問題・・・末っ子ボーが犠牲になったのは怪物によって世界が崩壊してから89日目で、その後に物語は472日目に飛ぶ。そこには既に妊娠したイブリンがいるのだ。妊娠期間は基本的に280日間なわけで、つまりはボーが死んでから行為をしたという事になる。
何 故 な の か ?
この点は今作品の致命傷になってたと思う。そもそも行為自体を無音でしたのか?とか、子供が産まれた後の危険性を考えなかったのか?肯定的に考えれば、ボーの死を引きずってたからこそ新しく子供が欲しかった?いや、さすがに共感できない。確かにクライマックスで大切な要素となってくるから、どうしても必要な設定だったのだろう。
でも、それなら怪物によって世界が崩壊する前から妊娠していた設定じゃだめだったのか?と。
89日目と472日目に何かこだわりがあるの?それとも僕が気付いてない伏線でもあるのか?もしあったとしても妊娠のタイミングだけは絶対におかしいよw
それと今作品にはもう1点モヤモヤするところがある。それは怪物の弱点だ。詳しい事は知らないけど、怪物はある周波数に弱くかなり効いていたよね。でも今作品の世界では怪物の事を新聞が記事にしていたわけで、つまり怪物が出現したタイミングでは、まだある程度のメディアや人間社会が存続しているという事になる。
国家、政府が周波数の研究や開発ができなかったのか?と。できなかったとしよう。それを何者でもないただのお父さんリー・アボットが開発したとしよう。でもこの違和感をさらに超える事があるんだよ。
銃で死ぬんかい!
ホラー映画というのは怖がらせる事に特化したジャンルだ。過去の名作ホラーにだってツッコミどころがあるし、それがまた楽しい部分だったりもするから、僕の指摘は野暮で無粋かもしれない。でも今作品は素晴らしいアイデアだったからこそ、もう少しだけ設定を練って欲しかったというのが正直な気持ちだ。
ただね、散々書いておいてなんだけど・・・これだけ杜撰な設定があるのに、それを凌駕する怖さと面白さがあるのはシンプルにすごいわw
続編や前日譚が観たくなる映画
2020年5月8日に続編が公開となる。(早く観たい!)
でも、これドラマ化した方が受けるんじゃないだろうか?ウォーキング・デッドのファンを根こそぎ持っていけそうな世界観とプロットは無尽蔵に広げる事ができるし、アイデアだっていくらでも面白いものが出てきそうじゃない?カラオケボックスに隠れ住む奴らとか観てみたいんだけどwそれに前日譚という形で、初めて怪物が出現した日を描いたら「ミストみたいな傑作ができあがりそう!」なんて思ってしまった。
怪物がどういう音に反応して、どういう音に反応しないのか?みたいに掘り下げていけば、もっと面白くなると思うんだけどね。今作品は指摘したように少々大雑把で粗削りな設定だから、萎えてしまった人も結構多いかもしれない。実際、あるレビューでは「登場人物たちがバカすぎてイライラした」といったものを見かけたよ。でも聞いてほしい・・・。
ホラー映画の登場人物は大体イライラさせてくるから、ごめんねw
ハイクオリティなミステリーや、号泣必至のヒューマンドラマでこんな杜撰な設定だったら僕もイライラする事はあるんだけど、ホラー映画は許してあげて欲しい。ホラーというのは映画の中でも特殊なジャンルで、設定が杜撰でも怖いものは怖いし、今作品のように面白いものもあるんだ。
もう少し笑えるコメディ要素を入れてくれれば、もっと僕好みだったかも・・・?はっきり言って怖さという点で言えば最上級と言ってもいいくらい異常に怖かったよw
ジョン・クラシンスキーよ、これからは俳優業よりも監督業メインで頼む!マジで面白かったw
評価・鑑賞方法
エミリー・ブラントの名演技は必見!
リアルでもご夫婦のジョン・クラシンスキーとエミリー・ブラントですが、2人とも素晴らしい演技でした。もちろん子役のノア・ジュープや、今作品で大抜擢された本当に聴覚障害を持つミリセント・シモンズも文句なく上手かったと思います!中でも特筆すべきはエミリー・ブラントの闇を抱えてる幸薄感といいますか、苦労してきた雰囲気の表情がすごいよかったですねw
ジョン・クラシンスキーとエミリー・ブラントは、これからも伊丹十三と宮本信子のように2人で面白い映画を沢山作っていってくれたらと思いました。
呪怨以来かも?久々に震えるほど怖かったですw
「クワイエット・プレイス」の鑑賞方法
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では、良き映画の時間をお過ごしください。
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