映画「1917」あらすじ、感想【実話なの?圧巻のワンカット撮影!】

1917 命をかけた伝令

アメリカン・ビューティー007シリーズサム・メンデス監督による8作目となる映画です。

主人公は、第一次世界大戦に参戦した2人の若きイギリス兵・・・彼らのある1日を描いており、なんと全編ワンカットと掲げております。実際には長回しで撮影された映像を繋いでいるわけですが、その圧巻の映像はまるで自分もその場にいるかのような臨場感を体験できますよ!アカデミー賞で撮影賞視覚効果賞録音賞の3冠を獲得したワンカット映像は必見どころではありません。

[ジャンル]戦争歴史映画
[作品時間]119分
[公開日]アメリカ:2019/12/25|日本:2020/2/14

本記事の内容
  1. 予告動画やキャスト情報
  2. ネタバレありの感想
  3. 評価とサントラ紹介

作品情報

映画批評サイト『ロッテントマト』の評価 (批評家:89%/一般:88%)

1917評価引用元:https://www.rottentomatoes.com/

  • 作品賞 – サム・メンデス、ピッパ・ハリス、ジェーン=アン・テングレン、カラム・マクドゥーガル
  • 監督賞 – サム・メンデス
  • 脚本賞 – サム・メンデス、クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
  • 作曲賞 – トーマス・ニューマン
  • 音響編集賞 – オリヴァー・ターニー、レイチェル・テート
  • 録音賞 – マーク・テイラー、スチュアート・ウィルソン[受賞]
  • 美術賞 – プロダクション・デザイン/デニス・ガスナー、セット・デコレーション/リー・サンデルズ
  • 撮影賞 – ロジャー・ディーキンス[受賞]
  • メイクアップ&ヘアスタイリング賞 – ナオミ・ダン、トリスタン・ヴァースルイス、レベッカ・コール
  • 視覚効果賞 – ギョーム・ロシェロン、グレッグ・バトラー、ドミニク・テューイ[受賞]

アカデミー賞は10部門ノミネートした中で、3部門受賞しました。過去に15回以上もノミネートしているトーマス・ニューマン・・・今度こそ作曲賞を受賞するかと思いましたが、残念ながらジョーカーヒドゥル・グドナドッティルに軍配があがりましたwですが、今作品も素晴らしい音楽だったと思います!

あらすじ

1917年4月6日・・・第一次世界大戦時、西部戦線にいたドイツ軍は戦略的に後退し、連合軍を誘引し1600名からなるデヴォンシャー連隊を殲滅しようとしていた。これに気付いたイギリス軍のエリンモア将軍は、連隊を助ける為にブレイクとスコフィールドという2人の若い将兵に攻撃中止の命令を届けるよう言い渡す。デヴォンシャー連隊に兄がいるブレイクと、その相棒スコフィールド・・・果たして2人は1600名の命を助けられるのか?

スタッフ・キャスト

監督 – サム・メンデス
脚本 – サム・メンデス、クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
音楽 – トーマス・ニューマン
撮影 – ロジャー・ディーキンス
編集 – リー・スミス

ウィリアム・スコフィールド – ジョージ・マッケイ
トム・ブレイク – ディーン=チャールズ・チャップマン

スミス大尉 – マーク・ストロング
レスリー中尉 – アンドリュー・スコット

エリンモア将軍 – コリン・ファース
マッケンジー大佐 – ベネディクト・カンバーバッチ
サンダース軍曹 – ダニエル・メイズ

ジョセフ・ブレイク中尉 – リチャード・マッデン
ラウリ – クレア・デバーク

ヘプバーン少佐 – エイドリアン・スカーボロー
リチャーズ中尉 – ジェイミー・パーカー
ハットン中尉 – マイケル・ジブソン
コリンズ大佐 – リチャード・マッケイブ


無名の2人を主役に配置して、まわりをベテランで固めてます。別に2人をごり押ししたいわけではなく、有名俳優が主人公だと没入感が削がれるからとの事・・・サム・メンデス監督の狙いはしっかりと映像に反映されていたと思いました!

※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。

感想

1917-1

  • 最高級の美術とセットは必見!
  • ワンカットが生む極上の緊張感
  • 笑ってしまったクライマックス

制作陣の努力で溢れかえっていた力作

ロケ地はソールズベリーというイングランドの都市だそうだ。

スクリーンに映し出された第一次世界大戦の映像たるや、リアリティが尋常じゃなかったね。もちろんその当時を知ってるわけじゃないけど、荒れ果てた何もない広大な土地と地平線、そして死体とねずみ・・・まさに戦争の爪痕と感じられるその様は、ディストピアの世界のようにも感じられる悲しくも素晴らしい景色だった。

今作品はプロモーションでも言っている通り、ワンカット映像・・・もちろん実際にずっとカメラが回っているわけではない。最長の長回しでも9分強らしく、それらをワンカットに見えるように編集している。

なーんだ、カットしてるんじゃんw

一部の人からこのような感想が出たみたいだけど、僕はむしろ称賛したい。例えば作中の天気は曇り空だった。これはつまり天気のいい日や雨の日には撮影ができないという事だ。実際に曇り空じゃない日は全てリハーサルや、セットの構築に回していたそうだ。実際、数キロにも及ぶ塹壕だって全てスタッフが土木作業をして作っている。

よくもこんな面倒な事を・・・w

こうした制作陣の努力は映像のそこかしこから感じられるし、その研ぎ澄まされたリアリティに迫力があるのはもちろんだけど、何と言うか説得力がエグかったね。ここまで予算時間技術を投入した上で、主人公であるスコフィールドブレイクの2人に無名の俳優をあてた事を考えて欲しい。

確かに有名俳優だと、どうしても観客の目はその人を追いすぎちゃうよねw

あくまでも今作品は、第一次世界大戦中にとある兵士に課せられた伝令のお話であり、サム・メンデス監督が祖父から聞いた体験談という実話がベースに作られている。チート主人公の大冒険活劇ではないのだ。それをここまでリアリティを積んだ映画に仕上げてきた制作陣のこだわりは、尋常ではないし素晴らしい。

こんな底知れない努力の結晶を称賛しないわけがないよw

没入感があると言われるが・・・実際は?

ワッカット映画・・・もはや新しいジャンルとなったよね。

今作品の感想として「没入感があって本当にそこにいるかのような感覚になった」というのをよく聞く。確かに前述したように圧倒的なリアリティを演出したセット美術、それらを全てワンカット風に撮影された映像は圧巻だし、主人公達と一緒に歩いてる感覚はある。ただワンカット映画は1つ弱点を持っている。

「どうやって撮ったんだろう?」

このメタな疑問が観てる最中に起きてしまうのだ。確かにその場にいるような臨場感はあるんだけど、同時に没入できてない証明にもなってしまって変な矛盾が発生するwこの矛盾も含めて楽しいのがワンカット映画だと僕は思うけど、別に没入感や臨場感というのはワンカット映像じゃなくても実現できる。

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同じく戦争を題材とした中なら、スピルバーグ監督の名作プライベート・ライアンがそれにあたるだろう。この作品の冒頭から1時間は、まさに戦争体験してるに等しいほどの没入感があり、正直なところ今作品よりもすごかったんじゃないかとも思える。ただ、この「1917」という映画・・・僕は没入感や臨場感よりも褒めたい部分があったんだ。

それは前述した制作陣の努力+ワンカット映像、ここにサム・メンデス監督のセンスが乗っかって実現されたクライマックスシーン・・・主人公スコフィールドが戦場を駆け抜けるんだけど、ありゃ極上だったよ。

全ては、あのシーンを楽しむ為の布石だったと言っていいと思うw

クライマックスシーンに笑った理由

予告動画でも最後に流れる今作品の代名詞とも言える名シーンだ。

主人公スコフィールドは1600名の命を救う為、そして友達ブレイクの兄と会う為に、地獄のような道のりを駆け抜けてきた。金網に引っかかって怪我した手を腐乱死体に突っ込んでしまったり、塹壕内のトラップで爆風を直撃し砂埃まみれになったり、滝つぼに落ちたり、頭に銃撃くらって死にかけたり・・・とにかく、ものすごく大変な道のりだったよね。何とか到着して、あとは大佐に攻撃中止の報告をすれば任務完了なのに、ものの数秒で攻撃が開始されてしまう・・・間に合わない!

こんなに頑張ってきたのにw

クライマックスで走り出す瞬間のスコフィールドの表情・・・僕は笑ってしまった。なんというか、あの瞬間って「1600人の命を助けるんだ!」じゃなくて「もういいや・・・ここから行っちゃえ」みたいに感じたんだよねw誤解してほしくないのは、これはあくまでも僕の感想だし、馬鹿にしてるんじゃないのよ?どう考えてもあのシーンでサム・メンデス監督が笑わせにきたとは僕も思わないしね。もし狙ってやったんだとしたら素晴らしいセンスだと思うけどw

他の兵士達は敵陣に向かっていってる中で、全く違う方向に全力ダッシュする主人公スコフィールドwあの違和感たるや映画史に残る名シーンなのは間違いないし、普通に観れば超盛り上がるクライマックスだ。ただ、どうしてもスコフィールドの心情や、ここまでの大変だった道のりを考えると愛らしくなってくるというか・・・もはや戦争なんてどうでもよくなってしまったのだw

実際、ラストシーンで木によりかかったスコフィールドをみて「よかったね」と思った人は多いんじゃないかな?第一次世界大戦という凄惨な出来事をそっちのけにして、ある兵士の大変だった1日にフォーカスをあてた事・・・僕が今作品で1番素晴らしかったと思った点はここなんだ。

この部分に関しては共感してもらえないかもしれないけど、今作品が戦争映画の歴史に新たな1ページを刻んたのは間違いないし、素晴らしい名作なのは保証するから是非観て欲しい。

サム・メンデス監督作品は肌に合わない事が多いんだけど、これは面白かった!

評価・サントラ紹介

1917-2

ワンカット映画という新しいジャンル

今作品の評価
物語・テーマ
(4.0)
配役・演技
(3.5)
演出(音楽/映像/etc)
(4.5)
観やすさ
(3.5)
余韻
(3.5)
総合評価
(4.0)

ワンカット映画、やっぱりいいですね!「どうやって撮ったんだろう」問題はあれど、それを含めて見応えがあるのは間違いありません。こうした迫力のワンカット映像はできれば映画館のIMAXで観たいですが、家でも十分楽しめると思います!その証拠というわけじゃないですけど、ワンカット映画で2014年にアカデミー作品賞を制した名作があるので、観てみてください。

その名も「バードマン(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

今後も増えていくであろうワンカット映画ですが、イニャリトゥ監督とルベツキというカメラマン・・・この2人は絶対に覚えておく事をオススメします。僕の中では現状の映画界で1番すごい映像をとれるタッグだと思っています。時間があれば是非!

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さすがトーマス・ニューマンでした!緊張感があるのに心地よい旋律という素晴らしい音楽だったと思います。作曲賞もらってもおかしくないクオリティだと思うんですけどね!

では、良き映画の時間をお過ごしください。

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