映画「マザーレス・ブルックリン」あらすじ、感想【ネタバレ無し!丁寧な探偵物語】

マザーレス・ブルックリン

監督・脚本・制作・主演と何から何までエドワード・ノートンが自身で手掛けた渋い一作です。

原作であるジョナサン・レサムの小説「マザーレス・ブルックリン」では時代背景が1999年ですが、ハードボイルドな内容だった為、エドワード・ノートンが1950年代に改変しています。映像と音楽からにじみ出る50年代の渋い雰囲気は、何とも言えないノスタルジックな気分にさせてくれますよ。

本記事はあらすじ、スタッフ・キャスト情報の他に、感想や評価を記載しています。

[ジャンル]クライムミステリー
[作品時間]144分
[公開日]
アメリカ:2019年11月1日 / 日本:2020年1月10日

作品情報

マザーレス・ブルックリン

引用元:https://www.rottentomatoes.com/

ロッテントマトでの評価はぼちぼち?上映時間が若干長く感じるという点に辛口のつっこみが入ってるようですが、それでも概ね「面白かった」という高評価が目立ちました。2014年2月頃からエドワード・ノートンは企画を温めていたそうで、番宣も精力的だったせいか週末興行収入ランキングでは初登場で9位を獲得しております!

あらすじ

1957年のニューヨーク、孤児院にいたライオネルはフランク・ミナに引き取られ、私立探偵として活動するようになった。ライオネルはトゥレット症候群を抱えていた為、仕事で支障をきたす事があったが、人並外れた記憶力がありフランクに可愛がられていた。ある日、フランクがトラブルに巻き込まれ銃殺されてしまう。恩人の死の真相を追いかけるライオネルが辿り着く真実とは・・・?

スタッフ・キャスト

監督・脚本・制作 – エドワード・ノートン
音楽 – ダニエル・ペンバートン

ライオネル・エスログ – エドワード・ノートン

ローラ・ローズ – ググ・バサ=ロー
トニー・ヴェルモンテ – ボビー・カナヴェイル
ギルバート・コニー – イーサン・サプリー
ダニー・ファントル – ダラス・ロバーツ

ポール・ランドルフ – ウィレム・デフォー

トランペット・マン – マイケル・K・ウィリアムズ
ビリー・ローズ – ロバート・ウィズダム
ギャビー・ホロウィッツ – チェリー・ジョーンズ
ジュリア・ミナ – レスリー・マン
ウィリアム・リーバーマン – ジョシュ・パイス
ロウ – フィッシャー・スティーヴンス
パトロン – キャンディス・M・スミス

モーゼス・ランドルフ – レック・ボールドウィン
フランク・ミナ – ブルース・ウィリス

レック・ボールドウィンの悪役っぷり、ウィレム・デフォーブルース・ウィリスの存在感は安心して観ていられる絶品のお芝居でした。もちろん主演のエドワード・ノートンが一番ですが!

※本記事はネタバレ無しで書いてありますが、ある程度の情報は記載しております。

感想・評価

  • 音楽と役者の演技だけでも見応え充分!
  • 丁寧に作られた大人のスリラー
  • エドワード・ノートン好きにはたまらない一作

極上のジャズが響くアメリカン・ノワール

エドワード・ノートン最高!

主人公ライオネルは相手に言ってはいけない発言や、その場でやってはいけない行動をついとってしまうチック症という障害を持っている。ストーリー自体は骨太なハードボイルド探偵物語に仕上がっているけど、このチック症という設定のおかげでエドワード・ノートンのコミカルな演技が余計面白く感じた。

本筋自体は実に真面目で且つ、丁寧になぞられている。そこに笑い要素なんか一切無し!アメリカン・ノワールと謳っているだけあって1950年代のニューヨークを作り上げた巨大権力を相手に、主人公ライオネルがたった1人で立ち向かうという骨太探偵ドラマ・・・近年あまり見かける事のできない腰を据えたミステリーなのだ。そこに1950年代の渋いジャズが散りばめられているというんだから見応えはえげつない。

ただ、はっきり言ってこの程度のプロットとストーリーの映画は世の中に腐るほどある。もっと言えば古臭すぎて、1つ間違えたら駄作とまで言われたかもしれない・・・。それがどうしてこんなに面白いのか?何故笑い要素のないストーリーのはずが笑って鑑賞できてしまうのか?

それが主人公のチック症という設定だ。

エドワード・ノートンの極上の演技力だからこそ実現できたと言っても過言ではない。あるシーンで探偵ライオネルは不動産屋に聞き込みに行く。窓口には巨乳の女性が座っていたんだけど、真面目に聞き取りをしてる最中だっていうのにライオネルは急に大声で「おっぱい!!」と叫ぶwこうした小さな緩急が何とも楽しく、骨太でクソ真面目な本筋を観やすくしていて且つ、より面白さを増幅しているのだ。

20年ぶりにメガホンをとり、2作目にしてこんな素晴らしい映画を作り上げた我らがエドワード・ノートン様を最高と評さないでどうする!

ブルース・ウィルスやウィレム・デフォーなど豪華な脇役

今作品は主役以外も素晴らしく注目すべき俳優がゴロゴロ出てくる。

作中の大半は主役であるエドワード・ノートンの独壇場になっていて、あまり脇役にフォーカスがあたらないけど、それでも圧倒的な存在感があるウィレム・デフォーブルース・ウィルス・・・中でもレック・ボールドウィンの悪役っぷりには笑えるほど安定感があった。特に過剰な事をしているわけじゃないのに、自然と見応えのある演技合戦になってしまっているという・・・映画好きにはたまらない状況が2時間半続く。僕はあまり知らなかったけど、ヒロインのローラ・ローズを演じたイギリスの女優ググ・バサ=ローもすごく綺麗だし演技も本当に良かった。

この映画はお洒落なジャズに1950年代の街並み、そこを歩くコートを着た男だったり、夜な夜な部屋で椅子に座り佇む姿など、エドワード・ノートンが撮りたかった映像や、やりたかった事がギッシリ詰まっている。既視感があるどころじゃないんだけど、その情熱はファンとして非常に嬉しかった。

なんというか、エドワード・ノートンの映画愛が伝わってくるんだ。

そんなノートンがどうしても必要だった人を集めた感じ・・・全キャストがカチッと型にハマったかのような気持ちよさがあったと思う。主役として中心に立ったエドワード・ノートンが最高に輝いたのは、こうした豪華で渋い俳優陣が外堀を固めてくれたというのもあるだろうね。

欲を言えばもう少しブルース・ウィルスを観ていたかったかな?

無駄に長く感じてしまうのが玉にきず?

時間にして2時間24分・・・実際少し長いw

シビアに言えばもう少し短くできたんじゃないかなと思うし、何故このシーンをいれたんだろう?と考えさせられる点もあるのは事実・・・MCUなど娯楽性が高く面白い映画が世に溢れている中で、わざわざこの映画を万人に勧めるつもりはないけど、前述したように今作品はエドワード・ノートンのやりたかった事が詰まっているわけで、彼を愛する人達にはたまらない2時間24分に感じるはずだ。

少なくとも大ファンの僕は許せてしまった。

語り部から入る冒頭・・・エドワード・ノートンの独特なかすれた声はいきなり雰囲気を作ってしまったし、真実の行方ファイト・クラブの時のような狂気とはまた少し違う哀愁漂う表情や佇まいは、やっぱりこの人にしか出せない味があったよ。特に優しさと鋭さが共存する眼光は相変わらずで、まるで別人とさえ感じさせるし、チック症のせいで失言してしまった後の恥じらいながらも申し訳なさそうな表情には毎シーン拍手喝采してしまう。

長い映画史の中でも最上級の演技力を誇るエドワード・ノートンが監督・脚本・制作、さらには主演までやり遂げた骨太なノワール探偵映画・・・演技が上手すぎて笑えてくる俳優なんてそうそういるものじゃないから、是非この人を知らない人にも観て欲しい。

誰が何と言おうと僕には傑作だったよ。

まとめ

エドワード・ノートン出演のオススメ作品

僕は今作品を映画館で鑑賞してきましたが、客入りはそこまででしたw

ですがエドワード・ノートンの作品に対する熱量がひしひしと伝わってくる、非常に見応えのある映画だったと思います!確かに冗長に感じてしまうところもありましたが、その分丁寧に作りこまれていましたしクライマックスのオチのつけ方もミステリーとして面白いものでした。そして何よりも2時間24分という長尺を飽きさせない絶品の演技で仕上げてきたエドワード・ノートンはさすがの一言です。

そんなノートンさんが大好きな僕がオススメする他の出演作品をいくつか紹介しておきますね。この人がいるだけで作品自体が安定するほどの強烈な名演技はどの映画も必見です!

エドワード・ノートン出演のオススメ作品

ちなみに元インクレディブル・ハルクさんですからね。MCUファンの皆さんも忘れないであげてほしいですw

では、良き映画の時間をお過ごしください。