映画「ドラゴン・タトゥーの女」あらすじ、感想【ヒロインは誰?傑作ミステリー】

ドラゴンタトゥーの女

2011年公開、デヴィッド・フィンチャー監督による9作目となります。

原作はスウェーデンの作家スティーグ・ラーソンによる推理小説ミレニアムで、2009年にスウェーデンで映画化したものがハリウッドでリメイクされました。かなり重厚なミステリーとなっているので、映画をガッツリ観たいという日に選ぶといいかもしれません。

本記事ではあらすじ、キャスト・スタッフ情報の他に個人的感想、視聴方法なども記載しています。

ジャンル:ミステリーヒューマンドラマ
作品時間:158分

作品情報

  • [受賞]編集賞 – アンガス・ウォール、カーク・バクスター
  • 主演女優賞 – ルーニー・マーラ
  • 音響編集賞 – レン・クライス
  • 録音賞 – デヴィッド・パーカー、マイケル・セマニック、レン・クライス、ボー・パーション
  • 撮影賞 – ジェフ・クローネンウェス

アカデミー賞では編集賞を受賞しました。他はノミネートだけ・・・この年は個人的に不作のイメージが強いので、もっと受賞してもいいと思ったんですけどね。

フィンチャー作品はどれもオススメなので、良かったら他も観てみてください!

あらすじ

大物実業家ヴェンネルストレムの武器密売をスクープし、名誉毀損で訴えられ全財産を失った記者のミカエル・・・。そんな失意の彼のもとに別の大物実業家から電話がかかってくる。それは一族の謎を解明して欲しいという依頼で、謎とは40年前に一族の誰かに殺されたという16歳の少女についてだった。助手としてドラゴンのタトゥーをした天才女ハッカー・リスベットを雇い、共に捜査を進めていくが、2人がいきついた真実とは?

キャスト、スタッフ

原作 – スティーグ・ラーソン
監督 – デヴィッド・フィンチャー
脚本 – スティーヴン・ザイリアン

ミカエル・ブルムクヴィスト – ダニエル・クレイグ
リスベット・サランデル – ルーニー・マーラ

ヘンリック・ヴァンゲル – クリストファー・プラマー
マルティン・ヴァンゲル – ステラン・スカルスガルド

ディルク・フルーデ – スティーヴン・バーコフ
エリカ・ベルジェ – ロビン・ライト
ニルス・ビュルマン – ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン
アニタ・ヴァンゲル – ジョエリー・リチャードソン
セシリア・ヴァンゲル – ジェラルディン・ジェームズ
ドラガン・アルマンスキー – ゴラン・ヴィシュニック

※ここからはネタバレもあるのでご注意ください。

 

 

感想

  • 秀逸な原作をさらに昇華させたフィンチャー
  • リスベットという魅力的な陰キャヒロイン
  • ラスト15分が最高、それを観る為の2時間40分

本格ミステリーならではの緊張感

もはや、このジャンルをやらせたらデヴィッド・フィンチャー監督に敵う人はいない。

相変わらずの映像美、見せ場の配置、全体に漂うミステリアスの空気・・・どれをとっても素晴らしかった。

他の方はわからないが、こんなレビューブログをやっていると、より集中して映画を鑑賞する体になってしまう。例えば、つかみであるフックは冒頭何分使ってるのかだの、何分でストーリーが転機を迎えるだの・・・我ながら気持ち悪いけど、これが面白いもんで傑作ほどその意識とは関係なく引き込まれてしまうんだ。フィンチャー作品は腰据えて構えて観ても、気が付けばハラハラさせられてしまう事が多い。

今作品はまさにその極致で、特にミカエル(ダニエル・クレイグ)とリスベット(ルーニー・マーラ)がタッグを組んでからは恐ろしく面白かった。

誤解してほしくないのは、前半がつまらないというわけじゃない。2人の主人公が合流するまでの助走も非常によくできていて、キャラクターの背景や人間性を描きつつ、本筋のストーリーの土台もしっかり築いていく。不思議な事に作品自体のギアがあがってるような感じではなく、ずーっと2速で走ってる感じ・・・それなのに劇的に面白くなっていくんだ。

もちろん原作自体が素晴らしいというのはあるんだけど、映画では無駄となる要素、シーンをかなり上手に編集したと思う。例えば、原作小説では真実を煙に巻く為に、あまり本筋には関係ないナチスの要素などが描かれているが、今作品ではかなり少量になっている。この辺りは映画という時間制限があるエンターテイメントだからだけど、セリフ回しなども元の映画ミレニアムと比べて非常にスマートになっている。今作品を観た後にすぐミレニアムを観ると、説明しすぎてるように感じると思うよ。(決してミレニアムがだめなわけじゃない)

何にしてもさすがフィンチャー・・・映画内では観客を裏切るけど、期待は裏切らない傑作量産監督だ。

主人公リスベットの魅力

リスベットかわいかったね!控え目に言って、ものすごい存在感だった。

主人公の女の子リスベット、彼女は人とコミュニケーションをとるのが苦手な精神疾患を持つ陰キャの女の子・・・でも瞬間記憶能力を持っていて、ハッキングも簡単にやってのけて、バイクも華麗に乗りこなすという超人ヒーローみたいな一面がある。その上、登場の際はモヒカンだし、眉毛は無いし、ゴルフクラブで人の頭をフルスイングしたりする。さらには、デブの変態おじさんにレイプされたり、それを自分で録画して今度は変態おじさんを拷問したり・・・w

どう考えても1人のキャラクターに要素を詰め込めすぎなんだけど、観終わった印象は1人の純粋な可愛い女の子という・・・w

スウェーデン版の映画ミレニアムでは、このキャラクターをノオミ・ラパスという女優が演じた。2作品ともリスベットの設定は同じなのに、今作品では全然違うキャラクターに感じてしまった。ここがデヴィッド・フィンチャー監督のセンスと演じたルーニー・マーラの魅力なんだろうね。

フィンチャー作品はいつもダークな雰囲気があって僕は大好きな監督だが、それ以外の特徴として主要キャラクターがスタイリッシュで、何と言うかすごくスクリーンに映えるというのがあると思う。監督自身も消したい過去らしいけどエイリアン3リプリー(シガニー・ウィーバー)や、ファイトクラブタイラー・ダーデン(ブラット・ピット)など、ストーリー云々の前にキャラクターが非常に魅力的なんだよね。リスベットはそんなフィンチャー作品の中でも最高峰に魅力があった。

本当不思議なのは、ここまで要素を詰め込んでいるのに、そこら辺にいそうな感じがあるという事・・・どういう演技指導したの?そもそもこのキャラクター像は演技でどうこうなるものなの??本当に驚く。

でも1番驚いたのは、演じたルーニー・マーラが当時まだ無名だったという事だ。

何がすごいって観終わった後の感想

レビューサイトを見渡してみても、書いてあるのはラストシーンのリスベットの事。

これ何気にすごい事だよね。だって、この映画の大半は猟奇的殺人事件を描いているんだよ。しかも結構エグいお話だっていうのにw約2時間40分も重厚ミステリーを観ていたはずが、やれ布石が良かったとか、騙された!とかほぼ皆無。

これはレビューしている人達が的外れなんじゃなくて、逆にしっかりと映画を観る事ができていたという証明であり、それはつまりフィンチャーの罠がまたもさく裂している証明なんだ。

ちなみに僕の感想も「おい~!ミカエルお前・・・w」

これはフィンチャー作品でよくある事なんだけど、鑑賞後にタイトル見直して「あ、そうか。そうだったわ」と納得させられるんだ。

はっきり言って、今作品はラスト15分の為にそれまでの重厚なミステリーを全て布石に使っている。一応、僕は本記事の作品ジャンルをミステリーヒューマンドラマにしたが、本当はもう1つ加えたい。その1つはネタバレになるから詳しく書かないけど、観た人なら全員わかると思う

セブンの時もファイトクラブの時も書いたと思うけど、デヴィッド・フィンチャー監督の映画を観る時は是非「何があっても騙されないぞ!」という気概を持って観て欲しい。どうせ気が付けば彼の手のひらで踊っているだろうけど、それはつまり映画を楽しめたって事だから安心してほしい。

多分これ人生であと10回は観ると思う。本当に傑作。

評価、視聴方法

スウェーデン版は観るべき?

是非観るべきです。

スウェーデン版が素晴らしかったからこそハリウッドリメイクなので。実際ストーリー自体がほぼ一緒ですし、あとは好みの問題というレベルじゃないでしょうか。個人的にはフィンチャー版の方が断然好きですけど、それは作品自体が良く出来てるとかじゃなくて、シンプルにデヴィッド・フィンチャー監督が好きなだけですwちなみに原作のミレニアムは三部作で、スウェーデン版なら既に2、3がありますが、個人的には蛇足感が否めず、やはり1作目のミステリーが面白かったですね。

フィンチャー版である今作品の次作として蜘蛛の巣を払う女という映画もあります。いつか観てみたいと思ってますが、僕はまだ鑑賞していませんね。(あまり評判は宜しくなかったようですが・・・)こうして次作が雑に作られていくと、少し地雷な感じがありますよねw

ただ今作品は間違いなく面白いのでオススメします!

「ドラゴン・タトゥーの女」の視聴方法

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こういうミステリー映画がもっと観たい人はシャッター・アイランドなんかオススメですね!

では、良き映画の時間をお過ごしください。