2000年公開。ガイ・リッチー監督の2作目となる犯罪コメディ群像劇です。
今ではシャーロック・ホームズやアラジンなど、テンポの良いポップな大作を手がける大人気監督にのし上がったガイ・リッチー。今でも1作目のロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズを観た衝撃は忘れられませんし、その1作目をさらに研ぎ澄ましたかのような今作品は超オススメの1作です。
超スタイリッシュな映像と音楽、そして作中に飛び交う尖りに尖ったブリティッシュジョークの数々・・・これこそガイ・リッチー作品と言える傑作ですよ!
本記事ではあらすじ、キャスト・スタッフ情報の他に、個人的な感想、視聴方法も記載しています。
作品情報
- 英国作品賞[ノミネート]
- 監督賞 – ガイ・リッチー
- 男優賞 – ヴィニー・ジョーンズ
2001年のエンパイア賞では上記を受賞しました。イギリスとアメリカ合作映画で、当時はまだ主演のジェイソン・ステイサムが無名だったので、ポスターはブラッド・ピットが真ん中になりました。ちなみにブラッド・ピットは1作目のロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズに衝撃を受け、ガイ・リッチー監督に出演させてほしいと進言したそうです。
あらすじ
ある日、ギャンブル好きのフランキーはダイヤ商から86カラットのダイヤを強奪するが、売り捌く前に裏ボクシングのノミ屋で何者かに拉致されてしまう。NYマフィアのアビーと殺し屋トニー、裏ボクシングを仕切るブリックトップ、弾丸をくぐるボリスに流浪の民パイキーと様々なワルが交差しダイヤを奪い合うが、果たして最後は誰の手に・・・?
キャスト、スタッフ
監督・脚本 – ガイ・リッチー
製作 – マシュー・ヴォーン
ターキッシュ – ジェイソン・ステイサム
トミー – スティーヴン・グレアム
ミッキー・オニール – ブラッド・ピット
ボリス・”ザ・ブレイド” – ラデ・シェルベッジア
ソル – レニー・ジェームズ
ヴィニー – ロビー・ギー
タイロン – エイド
アビー – デニス・ファリーナ
“ブレット・トゥース”・トニー – ヴィニー・ジョーンズ
ダグ・”ザ・ヘッド” – マイク・リード
フランキー・”フォー・フィンガー” – ベニチオ・デル・トロ
ブリックトップ – アラン・フォード
レニー・ジェームズは名前を知らなくても顔を見ればわかるんじゃないでしょうか?ウォーキング・デッドのモーガンの人でございますw
※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。
感想
- お洒落なオバカコメディ
- 一発で惚れる最高のオープニング
- 秀逸な構成はさすがガイ・リッチー!
肩の力を抜いて観るべし
この映画はドタバタ喜劇である。
スタイリッシュな映像と音楽、そしてかっこいいキャラクターが出てくるので、どうしてもお洒落なクライムサスペンスだと身構えて鑑賞してしまう人がいるようだけど、中身は吉本新喜劇もビックリの超オバカコメディだ。主人公ターキッシュがトミーに新しいトレーラーを買ってこいと話すシーンなんて、もはや漫才と言えるほど面白い会話を繰り広げる。
登場人物が多いので初見の人は混乱してしまうかもしれないけど、ぶっちゃけると人間関係の把握はそこまで重視しなくていいwそれよりも彼らのマヌケで愛らしい言動をケラケラ笑って観る事が大切だ。例えばソル率いる黒人3人組の悲しくなるくらい頭の悪い会話や、弾丸をくぐるボリスが車に轢かれるシーン、パイキー達の守銭奴っぷりなどなど、作中の隅々までエッヂの効いたブリティッシュジョークが散りばめられている。
僕は特に主人公ターキッシュの相棒トミーが大好きだ。真顔なのにあれほどまでマヌケそうな雰囲気がにじみ出るなんてずるい、ずるすぎるよ。騙されて買った拳銃をかっこつけて腰にぶらさげていたり、パイキー達に囲まれて涙を流しながら後悔してる表情など・・・全てがツボってしまう。
そんな愛すべきオバカなチンピラ達の手にダイヤが渡り渡って最後は誰の手に!?というのが今作品の本筋・・・あまりにもどうでもいいストーリーでびっくりするよ。もはやダイヤが誰の手に渡ろうと興味が無いレベルだw
言い過ぎだって?いやいや、どうかこの映画を真面目に観ないで欲しい。三谷幸喜監督の映画を謎解きミステリーみたく真剣に考えて観たりしないでしょう?ガイ・リッチーという監督は三谷映画よりも遥かにくだらないコメディを作る人なんだ。加えて、こんなゴチャゴチャした登場人物とストーリーをここまで綺麗に仕上げてくる世界最高峰の構成力を持った監督なんだよ。
映画史上一番かっこいいop
なんてかっこいいオープニングなんだ!
この映画は前述したようにくだらないオバカなコメディなのに、作品全体を通して圧倒的にスタイリッシュな映像と音楽で彩られている。ターキッシュの静かな語りから、フランキーのダイヤ強奪から始まるアップテンポなオープニングは特に秀逸、この緩急の使い分けは実に秀逸だ。
この素晴らしいオープニングで主要キャラクターの紹介がされているが、正直あれで把握できる人なんていない。でもこれはカッコイイ映画なんだ!という事だけは誰でも理解してしまう。そしてこのお洒落な演出とかっこいい音楽で構成されたオープニングに心を持っていかれると、その後のくだらない展開やキャラクター達のオバカっぷりに、余計笑えてくるという寸法だ。
ちなみに日本のバッカーノ!というアニメで今作品のオープニングをオマージュしているよ。
原作者である成田良悟先生がスナッチ、ひいてはガイ・リッチー監督の大ファンなんだそうだ。映画ファンとしてこうしたオマージュは嬉しいものだよね。
ちなみにこちらが今作品スナッチのオープニング。いつ見ても古さを感じないってすごすぎるわ。一応この映画が公開されたのは2000年だからね・・・信じがたいセンスだよ。
ガイ・リッチー恐るべし・・・。
ガイ・リッチーというセンスの塊
ガイ・リッチーという監督はどこかタランティーノを彷彿とさせる。
実際にイギリスのタランティーノなんて呼ばれていたそうだ。どちらも映画史に残るべき素晴らしい映画監督だけど、タランティーノの方がもっと重く中身のあるストーリーを描くよね。僕はどちらの映画も大好きだよ。なんていうかタランティーノ作品は構えて観て、ガイ・リッチー作品は頭カラッポにして観る感じw誤解してほしくないのは、決してガイ・リッチー作品は中身がないという事じゃない。
ライムスターの宇多丸さんはシャーロック・ホームズの批評で「ガイ・リッチー監督は脚本を他の人に任せた方がいい気がする」と言っていたけど、僕は真逆で脚本こそガイ・リッチーにやってほしい。確かにこの監督はスウェプト・アウェイのような大コケした過去もある。でも基本的にはセンスの塊のような人だと僕は思っていて、前述した選曲センスやスタイリッシュな発想に表現力・・・何よりも極上にエッヂの効いたセリフ回しを奏でる脚本はかなり面白いし独特だ。
今作品に出して欲しいと頼んできたとはいえ、当時全盛期のブラッド・ピットを脇に配置したり、ベニチオ・デル・トロを無駄遣いするあたりのセンスも含め、やっぱりこの監督は天才だと思う。
スナッチは最高に面白い人が作った最高に面白い映画だ。
評価
鍵を握る犬の種類は?
ドッグと呼ばれている犬・・・作中では最重要キャラクターとも言えますよねw
何ともオバカそうで愛らしいワンちゃんですが、犬種はスタッフォードシャー・ブル・テリアというのだそうです。ネットで調べるとアメリカン・ピット・ブルテリア(通称ピットブル)と記載している方が多いようですが、正確にはスタッフォードシャー・ブル・テリアから作出された犬種がアメリカン・ピット・ブルテリアという事なので、要は親戚みたいなものなんでしょうね。
どちらにしても今作品に出てくるワンちゃんは本当にかわいくて最高ですよ!ソルの店内で暴れるくだりは何回観ても笑い転げてしまいますww
もし犬好きな方でまだ今作品を観てない人がいるなら、このワンちゃん目当てで観ても損はありません。そもそも気軽に観れちゃうオバカコメディですからね!個人的には超オススメの1作です。
「スナッチ」の視聴方法
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この映画はブラッド・ピットがずば抜けてかっこいいですが、こういうブラピがもっと観たいならファイト・クラブをオススメします。スナッチみたいな映画を他に観たい人はパルプ・フィクションなんていかがでしょう?めっちゃ面白いですよ!
では、良き映画の時間をお過ごしください。