映画「ジョジョ・ラビット」あらすじ、感想【ヨーキー役は誰?可愛いコメディ】

ジョジョ・ラビット

今作品は第二次世界大戦中のドイツを舞台に、ナチスとユダヤという本来なら重いはずの関係性や戦時下の人々を、ブラックユーモア満載で描いたコメディ映画です。

クリスティン・ルーネンズの小説「Caging Skies(原題)」をMCU作品のマイティ・ソー バトルロイヤルで監督を務めたタイカ・ワイティティがメガホンをとりました。ワイティティは俳優としての一面も持っており、今作品ではアドルフ・ヒトラーをコミカルに演じています。

[ジャンル]戦争コメディ
[作品時間]108分
[公開日]アメリカ:2019年10月18日 / 日本:2020年1月17日

本記事の内容
  1. 予告動画やキャスト情報
  2. ネタバレありの感想
  3. 評価とサントラ紹介

作品情報

映画批評サイト『ロッテントマト』の評価 (批評家:80%/一般:95%)

ジョジョ・ラビット評価
引用元:https://www.rottentomatoes.com/

  • 作品賞 – カシュー・ニール、タイカ・ワイティティ
  • 助演女優賞 – スカーレット・ヨハンソン
  • 脚色賞 – タイカ・ワイティティ
  • 美術賞 – ラ・ヴィンセント(プロダクション・デザイン)、 ノラ・ソプコヴァ(セット・デコレーション)
  • 衣装デザイン賞 – メイズ・C・ルベオ
  • 編集賞 – トム・イーグルス

アカデミー賞では6部門にノミネートしました。スカーレット・ヨハンソンは同年にNetflix作品であるマリッジ・ストーリーで主演女優賞にもノミネートされています。すごすぎますね!

あらすじ

第二次世界大戦中・・・ドイツ人少年のジョジョは空想上の友達であるアドルフ・ヒトラーと相談しながら、青少年集団ヒトラーユーゲントの立派な兵士になろうと奮闘していた。しかしジョジョは訓練中にウサギを殺せなかった事で、弱虫のレッテルを張られジョジョ・ラビットとバカにされてしまう。そんなある日、ジョジョは家に隠し部屋がある事に気付く・・・そこにはなんと母親がこっそりと匿っていたユダヤ人少女のエルサがいた。ユダヤ人を匿っていると知られたら死刑になってしまう状況下でジョジョがとった行動とは・・・?

スタッフ・キャスト

原作 – クリスティン・ルーネンズ「Caging Skies」
監督・脚本 – タイカ・ワイティティ
音楽 – マイケル・ジアッチーノ

ヨハネス・”ジョジョ”・ベッツラー – ローマン・グリフィン・デイヴィス
エルサ・コール – トーマシン・マッケンジー

ロージー・ベッツラー – スカーレット・ヨハンソン

クレンツェンドルフ大尉 – サム・ロックウェル
フロイライン・ラーム – レベル・ウィルソン
フィンケル – アルフィー・アレン
ディエルツ – スティーブン・マーチャント
ヨーキー – アーチー・イェーツ

アドルフ・ヒトラー – タイカ・ワイティティ


ジョジョの親友ヨーキー!めっちゃくちゃ可愛かったです。演じたのはアーチー・イェーツ君!なんとディズニーがリブートを予定しているホーム・アローンの主役に大抜擢されるようですので、要チェックしておくべきです!

※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。

感想・評価

「ジョジョ・ラビット1」

  • 登場人物が皆かわいらしい映画
  • もうひとひねりあれば・・・
  • 惨劇をコメディにするのは難しい

現代社会を小馬鹿にしたワイティティ

タイカ・ワイティティ監督の悪ふざけが心地よいコメディだった。

さすがコメディアン畑出身だけあって、今作品はブラックユーモアで溢れかえっていたよ。ちなみに自身でヒトラーを演じているけど「ヒトラーが軽蔑していたユダヤ人と有色人種のハーフである自分が彼を演じる事こそ、彼に対する最大の侮辱だ。」と笑い飛ばしている。

主人公のジョジョは10歳にしてナチス思想にドップリ浸かりきっている男の子・・・ユダヤ人は角がはえてるだとか、夜はコウモリみたく木にぶらさがって寝るといった素っ頓狂なウソをしっかりと信じ込んでいて、街ゆく人にも「ハイルヒトラー!」と元気よく笑顔で挨拶をしていた。

ざっくり言えば洗脳された子供のお話だよね。これが第二次世界大戦下のドイツでは当たり前にあったと思うと恐ろしいけど、演じてるローマン・グリフィン・デイヴィスのとぼけた表情のおかげか、かかってる音楽がキャッチーなせいか、ジョジョが何とも愛らしく見えてくるのだw

今作品はこのナチスに染まりきった超純粋なジョジョ君が、ユダヤ人の女の子エルサに出会う事で少しだけ大人になるという成長譚になっている。戦争というアンタッチャブルな題材で、よくここまでポップに仕上げたもんだとワイティティ監督には感心するけど、隠し刀のように仕込まれた社会風刺とテーマの剣先は意外と鋭い。

それは「嘘に振り回されず、真実を見極めろ」というメッセージ・・・。

舞台は第二次世界大戦だよね・・・。SNSに流れてきたニュースを手放しに信じてイイネ!ボタンを押す現代社会と一体何が違うのか?ワイティティ監督はゲラゲラ笑いながら世界に切りかかってきたようなものだ。なんというパンクイデオロギーに溢れた映画じゃないか!

今作品を危うく手放しに称賛するところだったよ。ただ、ダメ出しの前に語りたい登場人物がいる。

ヨーキーだけが見えていた世界

今作品には洗脳されていない人間が4人出てくる。

  • スカーレット・ヨハンソンが演じた母親・ロージー
  • トーマシン・マッケンジーが演じたユダヤ人少女のエルサ
  • サム・ロックウェルが演じた職業ナチのクレンツェンドルフ大尉
  • アーチー・イェーツが演じた親友のヨーキー

中でも特筆したいのはヨーキー君・・・今作品で1番お気に入りのキャラクターだ。確かに4人とも洗脳されていないんだけど、唯一彼だけは時代にも振り回されていないんだ。

例えば、母親はナチス思想に染まってないとばれたら大ごとだと理解していたから、ひた隠しにしていたよね。クレンツェンドルフ大尉も実のところはとっても優しく素敵な紳士だったけど、逆らうと面倒だと知っていたから仕事としてナチス軍人をやっていた。「エルサは?ナチスに洗脳されてないユダヤ人じゃないか!」だからこそ隠れていたよね。洗脳はされてなくても作中で1番時代に振り回されていたと言っても過言じゃない。

でもヨーキーだけはナチス思想にも染まっていないし、ただ皆との楽しい時間を過ごしているだけなんだ。ユダヤ人やロシア人のにわかに信じがたい噂もフラットに受け止めていて、なんていうか彼だけ俯瞰で世界を見ている感じ・・・戦火で砂埃まみれになってもジョジョを見つけたら、屈託のない笑顔でハグしにくる姿には完全にやられたw誰もが祈ったんじゃないか?

こいつだけは死なないでくれよ!と。

僕はどうかどうか・・・ジョジョの近くにいつまでもいてあげてくれ!と願ってしまった。変な言い方になるけど、作中での立ち位置から僕にはヨーキーが神様天使のように感じたよ。民族が違うから何なのか?バカみたいに戦争をおっぱじめて、嘘で塗り固めた洗脳で人々を振り回して何が政治なのか?そんな事より目の前の大好きな人と笑っていたいというヨーキー君こそ、素敵な人間と言えるじゃないか。

まず1つ目のダメ出しはヨーキーの出番が少ない事だ!ワイティティ!

コメディというジャンルの難しさ

改めてコメディ映画とは難しいものだと感じた。

今作品は冒頭から時代背景ガン無視でビートルズの「I Want To Hold Your Hand」という曲のドイツ語バージョン「Komm gib mir deine Hand」が流れる。この曲はド直球のラブソング・・・つまり、この映画はラブストーリーだという事を一応示唆してくれたのかなと感じた。確かに母子愛やエルサとの淡い愛情も描かれているし、クレンツェンドルフ大尉の優しさという名の愛情に至っては目頭が熱くなってしまった。

ワイティティ監督は最後まで愛を描いたコメディ映画として突っ走ったけど、やっぱりスカヨハお母さんの死というのはあまりにも重かったように思う。もっと母親の事を描いていれば受け止められたかもしれないけど、ちょっと雑に感じてしまった。結果、ジョジョの心情の変化に違和感を覚えたままクライマックスにいくもんだから、エルサとのラストが少し薄まってしまったように思う。

グリーンブックのようなコメディタッチにアンタッチャブルな題材を描きつつ、感動作に仕上がっている作品にしたかったのかな?ワイティティ監督のやりたかった事はしっかりと伝わるんだけど、さすがに戦争という題材はエッヂが効きすぎていたのかもしれないね。

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戦争と愛の対比は間違ってなかったと思うし、ナチスやヒトラーを小馬鹿にしたようなプロットは面白かった。メッセージ性やテーマも素晴らしい。合格点は軽く超えてる良作だけど、どうにも僕にはスカヨハお母さんの描き方が今一つ足らなかったように思う。でもだからといって描きすぎたらコメディを突き通せないというジレンマ・・・ここさえ乗り切っていたら最後のメッセージがもっと響いたんじゃないだろうか。

すべてを経験せよ

美も恐怖も

生き続けよ

絶望が最後ではないのだから

R・M・リルケ

改めてコメディというジャンルの難しさを感じた作品だったけど、逆にこんな難しい題材に挑戦したワイティティ監督の事は手放しに称賛するよ。面白かった。

まとめ・サントラ紹介

「ジョジョ・ラビット2」

気軽に観れる可愛らしい良作

今作品の評価
物語・テーマ
(3.0)
配役・演技
(3.5)
演出(音楽/映像/etc)
(3.5)
観やすさ
(4.0)
余韻
(3.0)
総合評価
(3.5)
第二次世界大戦のドイツが舞台ですのでホロコーストの描写もありますが、正確には戦争を描いているのではなく、戦争の時代に生きた人々を描いています。戦時下じゃなければジョジョやヨーキーのような子供達は、銃を持って走り回るのではなく遊び回ってるわけですし、本来なら彼らは大人が始めたバカげた戦争なんて興味ないんですよね。

こうした子供の目線から描いた物語というのは、大人が忖度して見て見ぬフリをしてしまう核心真実をグサグサと刺してくる時があります。今作品は10歳のジョジョやヨーキーから本当に大切な事を教えてもらえる素晴らしい映画ですから、是非彼らに癒されてみてくださいw

同じように戦時下の少年達を描いた傑作なら邦画にもあります。こちらも超オススメですよ!

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「ジョジョ・ラビット」のサントラ紹介

作品に合った可愛らしい音楽が満載でした!サントラもかなりオススメです^q^

では、良き映画の時間をお過ごしください。

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