今作品はマフィアに6年間も潜入捜査したというFBI捜査官の実録手記に基づいた映画です。
英題は「Donnie Brasco」
このドニー・ブラスコという名前は、潜入の際にジョー・ピストーネ捜査官が実際に使っていた偽名です。そのドニーをジョニー・デップ、そしてもう1人の主人公をアル・パチーノが演じました。なんとも豪華な2人ですね!監督はマイク・ニューウェル、製作にはスリーパーズやレインマン等、数々の名作を世に出したバリー・レヴィンソン監督が名を連ねました。
今作品を初めて観た時の衝撃は今でも忘れません。アル・パチーノが放つラストのセリフは映画史に残る名言で思わずウルッときちゃいますよ。必見のラストシーンを持つ素晴らしい名作なので、かなりオススメです!
[ジャンル]ヤクザ・ギャンク系、ヒューマンドラマ[作品時間]127分
[公開日]アメリカ:1997/2/28|日本:1997/11/15
- 予告動画やキャスト情報
- ネタバレありの感想
- 評価と鑑賞方法
もくじ
作品情報
アカデミー賞ではポール・アタナシオが脚色賞にノミネートしただけでしたが・・・この第70回はタイタニックが無双した年で、他にも恋愛小説家、グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち、L.A.コンフィデンシャル、フル・モンティ、アミスタッド、メン・イン・ブラックと・・・傑作だらけでしたので仕方がなかったかと思いますw
ただ今作品だって今観ても全く色あせない名作の1本だと断言しますよ!
あらすじ
FBI潜入捜査官ジョー・ピストーネはドニー・ブラスコと偽名を名乗り、マフィアの一員であるレフティーとの接触に成功する。その後もうまくマフィア組織の人間達と親密な関係を築き信頼を勝ち取っていき、着々と成果を挙げていった。いつしかドニーはリーダーのソニー・ブラックにも見込まれ、レフティーよりも存在感を放つようになるが、潜入捜査官としての正義とマフィアの1人として抱いてしまった仲間への情の間で苦悩するようになってしまうが、果たして?
スタッフ・キャスト
監督 – マイク・ニューウェル
脚本 – ポール・アタナシオ
製作 – マーク・ジョンソン、バリー・レヴィンソン、ルイス・ディジャイモ、ゲイル・マトルー
音楽 – パトリック・ドイル
レフティー – アル・パチーノ
ジョー/ドニー – ジョニー・デップ
ソニー・ブラック – マイケル・マドセン
ニッキー・サントラ – ブルーノ・カービー
ポーリー・セルザーニ – ジェームズ・ルッソ
ティム・カーリー – ジェリコ・イヴァネク
ディーン・ブランドフォード – ジェリー・ベッカー
マギー・ピストーネ – アン・ヘッシュ
ソニー・レッド – ロバート・ミアノ
ブルーノ – ブライアン・タランティーナ
リッチー – ロッコ・シスト
主要3人が本当に良いんですが、奥さん役のアン・ヘッシュや、もう他界されてしまいましたがブルーノ・カービーも素晴らしい演技で存在感抜群でした!
※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。
感想
- ジョニデとパチーノが最高!
- 丁寧に描かれていく心情描写
- ラストシーンの為に観る2時間
異色じゃないジョニー・デップの魅力
どうしても異色な役のイメージが強いジョニー・デップ・・・。
パイレーツ・オブ・カリビアンが有名だからかもしれないけど、何よりもテリー・ギリアムとティム・バートンという2大変態監督のせいだ。特に衝撃だったのはテリー・ギリアム監督のラスベガスをやっつけろ・・・ハリウッドTOPレベルのイケメンをハゲにしたからねw名作とはいえティム・バートンのシザーハンズだって大概だ。
そんなイカれた役ばかり受けてきたジョニー・デップがマフィア映画!?
しかもオールバックに口髭じゃないか!当時、観るのが楽しみすぎてかなりワクワクしたのを覚えているよ。で、観終わった後どうなったかというと・・・今作品から完全にファンになってしまった。演技云々が素晴らしかったのは言うまでもないんだけど、何よりもかっこよすぎてw初めて観た時はシザーハンズと同一人物なんて全く信じられなかったねw
役はジョーというFBIの囮捜査官、ジョーはドニーという名でマフィアに潜入している為、愛している家族の元にはほとんど帰れない。久しぶりに帰る事ができたと思っても、奥さんや娘達からは嫌な顔をされる日々・・・ジョニー・デップは、この葛藤を実に上手く演じきっているんだ。
マフィアの仲間と日本料理屋に行くシーンなんかたまらない。お座敷だから靴を脱ぐ必要があるんだけど靴の中に録音レコーダーを仕込んでいたジョー(ドニー)は「戦争に勝ったのは俺らだ!だから靴は脱がない!」と無茶苦茶な理由でぶち切れて、何とかその場をしのごうとする。
ジョニー・デップはドニーを演じているジョーを演じているわけで、その上でジョー(ドニー)がぶち切れた演技をしている事になる。複雑すぎてわけがわからないwただでさえジョー(ドニー)の心情描写が面白い極上なシーンなのに、ジョニー・デップの演技力にも見応えを感じてしまう。
今作品はストーリーも良いし、名優アル・パチーノも最高だ。でも何よりもジョニー・デップがこってこてのマフィア映画に出てくれた事、そしてドニーという素敵なキャラクターを演じきってくれた事を称賛したい。
僕の中ではジャック・スパロウよりもドニーだ!
アル・パチーノの演技に脱帽!
いくらジョニー・デップが素晴らしくても無視できないのが、相棒のアル・パチーノだ。
この人の目だけで表現する演技力にはいつも驚かされる。最近だとスコセッシ監督のアイリッシュマンでも印象的だった。観た人にしかわからないけど、ケネディ大統領が殺されたとテレビで知った時に1人テーブルに戻ってアイスを食べるシーンは震えたね。無表情なのに喜んでるのがわかるとか・・・すごすぎる。
今作品はそんな素晴らしいアル・パチーノの全盛期と言ってもいい。演じたレフティーというキャラクターは何人も殺してきたバッチバチのマフィアだけど、イマイチうだつの上がらない男で組織内では出世ができない。でも家族想いだし男気もあって憎めない奴・・・。
って、このキャラクターも難しすぎw
こんなに設定が渋滞してるのにアル・パチーノが演じるとなんとも自然なんだよ。どのシーンを切り取っても絵になるし、前述したように目だけで十分に語ってくるんだ。
ジョニー・デップとアル・パチーノ・・・もはやこの2人だけで今作品は名作に値するけど、ここにマイケル・マドセンが加わるんだからマフィア映画好きにはたまらない!レザボア・ドッグスを観た人なら、この男がどんなに怖いかわかるはずだw
このキャストは映画史に残る布陣だと言いたい。
ラストの名セリフは必見!一言の破壊力
今作品を観た人は誰もが心に残る名言がある。
「お前だから許せる」
僕がこれまで映画を観てきた中で1番印象に残ったセリフだ。この名言の直後にアル・パチーノ演じるレフティーが棚に時計などを入れるシーンがあるんだけど、哀愁があって何とも言えなくなる。このレフティーのシーンでエンドロールいって欲しかった人は多いんじゃないかな?少なくとも僕はそうするべきだったと断言する。
マフィア映画にはゴッドファーザーやスカーフェイスなど今でも人気のある名作が数多に存在するよね。それは実際のエピソードから作られるノンフィクションならではの衝撃や、シンプルにかっこいいという理由もあるだろうけど、このジャンルの真髄は丁寧な心情描写とそこから生まれる極上のヒューマンドラマだ。
今作品も終始丁寧で、特にキャラクターの心情描写が素晴らしい。もちろん役者陣の素晴らしい演技のおかげもあるけど、実際の心情を出来る限り忠実に再現したかったのかな?と思う。
時代も変わって、最近はマフィア・ギャング・ヤクザ映画をあまり作られなくなったし、どこかで食わず嫌いしてる人や苦手意識がある人も多いのだろうか・・・もしそういう人がいるなら、どうか1度僕に騙されたと思って今作品を鑑賞してほしい。
僕の中ではこのフェイクこそがナンバー1マフィア映画であり、ラストのセリフは映画史上最高の一言だと断言するよ。
評価・鑑賞方法
これは実話?登場人物のその後・・・
今作品はニューヨーク・マフィアの5大ファミリーの1つであるボナンノ一家という実在した組織を描いており、主人公のジョー・ピストーネ本人が執筆した手記を基にしています。
[登場人物のその後]
- 【レフティー】・・・1994年に刑務所内で病死しています。
- 【ジョー(ドニー)】・・・潜入捜査後に名前を変えて身を隠して暮らしてるそうです。賭けられた懸賞金もその後に取り下げられ、小説を出版したり映画のプロデュースや各国警察の組織犯罪対策のコンサルタントなどをしてるみたいですよw
- 【ソニー・ブラック】・・・彼はジョー・ピストーネの潜入捜査が終わった直後に失踪しており、その1年後に両手が切断された状態で死体として発見されました。
映画と違うと思いましたか?今作品は間違いなく実話を基にしていますが、大きく脚色している部分があります。それはマドセンが演じたソニー・ブラック・・・実はレフティーよりもソニーの方がドニーと仲良くしていたそうです。ラストの名セリフ「お前だから許せる」も実はソニーの言葉なんですよね。正確にはソニーが死んだ後、彼の恋人がジョーに会いに来て「本物のFBI捜査官だったとしても関係ない。お前が好きだった。」と伝えたそうです。
彼らは確かに悪党だったかもしれませんが、当時のアメリカでは生き方を選べない人種もいました。別にマフィアを肯定するわけじゃないですが、少なくとも今作品は人間の美徳や男の友情を描いた素晴らしいヒューマンドラマだと僕は思います。これぞ名作と言える1本である事は間違いありません!
では、良き映画の時間をお過ごしください。
「フェイク」の鑑賞方法
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