2012年公開。クリストファー・ノーラン監督によるバットマンシリーズ3部作「ダークナイト トリロジー」の最終章。
本当なら前作のジョーカーを出す構想もあったらしいのですが、演じたヒース・レジャーが急死・・・ノーラン監督をはじめ制作陣はヒース・レジャーとの信頼関係が強かった為、あえて過去の未使用カットも含めジョーカーを出す事をやめて新しいストーリーを作ろうとなったそうです。
ただ、そのジョーカーの余韻があまりにも強かったのか、今作品はあまり面白くなかったという人もいます。でも僕はかなり楽しめましたし、決して駄作ではないと思いますね。原作に古くから出ているキャラクターも沢山出てきますし、3部作のラストとして素晴らしい映画になっていると断言します!
ダークナイト トリロジー3部作↓
- バットマン ビギンズ
- ダークナイト
- ダークナイト ライジング
本記事ではあらすじ、キャスト・スタッフ情報の他に、個人的な感想、視聴方法も記載しています。
もくじ
作品情報
当時プレミア上映されたアメリカ・コロラド州の映画館で12人も犠牲者を出した銃乱射事件がありました・・・。この為、プロモーションやイベントは全て中止になったのですが、この3部作は興行収入が右肩上がりで今作品では前作を超える10億8000万ドルを記録しています。
ちなみにアカデミー賞は受賞無し、残念!
あらすじ
舞台は前作から8年後・・・デント法により平和が訪れたゴッサムシティ、バットマンを引退したブルースは生きる希望を失い家に引きこもっていた。しかしその平穏は影の同盟を破門された過去を持つベインの出現によって壊される。堕ちたヒーローが最後の戦いに挑むシリーズ最終章・・・。果たしてバットマンはゴッサムシティを救えるのか?
キャスト、スタッフ
監督 – クリストファー・ノーラン
脚本 – クリストファー・ノーラン、ジョナサン・ノーラン
ブルース・ウェイン / バットマン – クリスチャン・ベール
セリーナ・カイル / キャットウーマン – アン・ハサウェイ
ベイン – トム・ハーディ
ミランダ・テイト – マリオン・コティヤール
ジョン・ブレイク – ジョセフ・ゴードン=レヴィット
アルフレッド・ペニーワース – マイケル・ケイン
ジェームズ・“ジム”・ゴードン – ゲイリー・オールドマン
ルーシャス・フォックス – モーガン・フリーマン
アン・ハサウェイがサターン賞で助演女優賞を受賞していますね!
※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。
感想
- ジョーカーの後を引き継ぐ重圧
- クライムサスペンスでもアクションでもない
- ラストはあれでいいんだ!
駄作と言われてしまう理由
まずはじめに・・・僕は名作だと思う。
しかし今作品は駄作という人もちらほらいる。理由は色々あるのだが、第一に前作ダークナイトの残した爪痕がすごすぎた。第二にクライマックスまでの助走、ざっくり言えば中だるみがある。そして第三にラストの解釈によるものではないか?と思う。
まずダークナイトの爪痕だが言うまでもなくジョーカーの圧倒的な存在感だ。演じたヒース・レジャーは完璧を超える異常なまで魅力的な悪役だった。今作品はその2作目よりも面白いものを求められるわけで、それはそれはハードルが高かったと思われる。それに悪役のベインも決して悪くなかった・・・というかトム・ハーディは素晴らしい演技だったし、見た目だって最高にぶっ飛んでるじゃないかwただ・・・前作のジョーカーがやばすぎただけなんだ。あれを超える悪役がいるなら教えてほしいよ。僕は全てのエンターテイメント作品を見渡してもいないと思うんだけども。
次に中だるみを感じてしまった人がいたという点だが、これは否定しない。確かに中盤少し刺激に欠けるが、それはあくまでもバットマンにアクションを求めていたからだと思う。改めて3部作をしっかり観ればわかるはず、最終章である今回はクライムサスペンスでもアクションでもなく、ヒューマンドラマなのだ。もっと言えば主役はバットマンではなく、ゴッサムシティの住人である。この小さな誤解というかズレみたいなものが中だるみと感じる原因だろう。
ラストの解釈については後述する事にして、この2つの要因は大きかったね。でも・・・何度も言うけど決して駄作ではない。同じような理由で世間に嫌われる作品がある・・・それはエイリアン3。エイリアンもまたリドリー・スコットによる1作目がSFホラーとして、ジェームズ・キャメロンによる2作目が超ド級SFアクションとして共に超名作が続き、ディビット・フィンチャーによる3作目が駄作と言われている。特に2の凄まじいアクションの印象は強かったよね、僕も大好きだ。ただエイリアン3はアクションでもホラーでもなく・・・まさかのミステリーサスペンスなんだ。フィンチャーは初監督作品であの衝撃のラストにした、一体誰が予想できただろうか。むしろ超大作エイリアンのファンに喧嘩を売ったフィンチャーを僕は称賛したいよ。
話がそれたけど、クリストファー・ノーラン監督はこの3部作でバットマンという子供向けコミカルアクション映画を超シリアスで上質なヒューマンドラマに作り替えたんだ。それも1作目から圧倒的なリアリティと根拠、そしてディティールを肉付けてね。その上での最終章となれば、必然こうなる。
確かにジョーカーのダークナイトを超えたとは言わない、ただ決して駄作ではない。むしろ名作だ。
ラストの解釈・・・バットマンの生死は?(ネタバレ注意)
ネットを調べてみるとラストの解釈においてバットマンはあのまま死んだと主張してる人も少しいた。
まあ確かに核爆弾運んでて爆発してるからねwでも断言するけどラストのシーンはアルフレッドの夢オチじゃなく現実だ。というか、そうじゃないと説明のつかないシーンがいくつかある。
- バット(飛行機)の自動操縦システムがブルース・ウェインによって修正されている事
- 遺品のネックレスがなくなっている事
つまりバットマンは核爆弾を運んで飛んでいったけど、自動操縦にして緊急脱出している。そしてアルフレッドがイタリアに行ったのはセリーナが首につけていたネックレスに発信機がついていたから。
実はこれらの事は全て制作者やクリスチャン・ベールのインタビューなどで明確になっているし、そうじゃなくてもバットマンであるブルース・ウェインの気持ちや今作品のテーマを考えるとこのラストじゃなきゃだめだったと僕は思う。それはブルース・ウェインの生への渇望・・・穴から這い上がる時に命綱を付けずに登った事でブルースはやっと死への恐怖を感じる事で、バットマンとして最後の戦いに挑めたんだ。
でも誤解しないでほしいのは、最後バットマンが死んだという解釈はあってるという事。最後アルフレッドが見たのはバットマンではなくブルースなんだ。つまりブルース・ウェインがやっとブルース・ウェインとしての人生を歩み出したという解釈。
こんな素晴らしく綺麗なまとめ方をしたクリストファー・ノーラン監督には脱帽だよ。
主役はゴッサムシティの住人
前述した通り、この映画の主人公はバットマンではなく、ゴッサムシティの住人である。
僕にはずっとバットマンが引継ぎをしているように見えた。ゴッサムシティの平和を保つ為にバットマンがいつまでも戦えるわけではない。作中にも描かれているようにブルースの体はもはやボロボロなんだ。後半のブレイクやゴードンに伝えたバットマンの言葉はまさにヒーローの引継ぎでしかない。特にゴードンに言った「ヒーローはどこにでもいる。少年の肩に上着を掛け世界の終わりではないと励ますような男だ」という名セリフには震えたし、僕が1番好きなシーンだよ。
その上で今作品のタイトルを見直すとダークナイト・ライジング・・・「バットマンは甦る、立ち上がる」みたいな意味でいいと思うけど、これはブルースが引退しようがゴッサムシティの住人が正義の為に立ち上がれば誰もがヒーローになれる、つまり誰でもバットマンになれると考えれば納得できない?
それにしても本当にクリストファー・ノーラン監督は素晴らしい仕事をしたと思う。どちらかというと子供向けだったバットマンをここまでシリアスに大人向けにリメイクした事はもちろん、今アメコミ映画がハリウッドで最上級の映画コンテンツになっているのも、全てこのダークナイト トリロジー3部作による功績と言っていい。
MCU作品とはまた違う味わいのあるアメコミ映画・・・観なきゃ絶対損だよ。
評価
見応え抜群の3部作は必見
正直なところ、映画をあまり観ない人からしたら退屈に感じてしまうかもしれません。
バットマンという映画には確かにMCU作品のような親しみやすさはないですし、全体的に暗いですしねwただここまでリアリティとディティールを詰め込んだ隙の無いアメコミって僕は他に無いと思います。バック・トゥ・ザ・フューチャーやロード・オブ・ザ・リングなど映画には3部作が色々ありますが、このバットマンの3部作は個人的に1番好きかもしれません。
見た目だけじゃなく人生背景も含めて、こんなにかっこいいヒーローいなくないですか?贔屓目になりすぎかもしれませんが、オススメできる映画だという事は間違いありません。まだ観てない方は是非1作目から通して観てください。特にジョーカーの出てくるダークナイトは必見ですよ!
ダークナイト トリロジー3部作↓
- バットマン ビギンズ
- ダークナイト
- ダークナイト ライジング
「ダークナイト ライジング」の視聴方法
Amazonプライムなら年間プラン4,900円(税込)または月間プラン500円(税込)で映画の他にも松本人志のドキュメンタルやアニメ、primeオリジナル作品なんかも見放題なのでお得ですよ!
ちなみに2019年10月・・・とうとうジョーカーという映画が公開されました。こちらも早速観てきてレビューしましたので、是非ご覧ください。アメコミ映画とは全く違うテイストですが超傑作でしたよ・・・!
では、良き映画の時間をお過ごしください。