映画「セトウツミ」あらすじ、感想【続編はいつ?喋るだけの青春劇】

セトウツミ

2016年公開。まほろ駅前多田便利軒タロウのバカ大森立嗣監督作品。

原作は別冊少年チャンピオンで連載されていた此元和津也先生による漫画となります。2人の男子高校生がただただ喋っているだけという、かなりゆるい青春コメディとなっており、ストーリー性はほぼ皆無ですが、非常にシュールで面白い作品に仕上がっているので観やすいと思います。ちなみに2017年にはテレビドラマ化もされました。

本記事ではあらすじ、キャスト・スタッフ情報の他に、個人的な感想、視聴方法も記載しています。

ジャンル:青春コメディ
作品時間:75分

作品情報

第71回毎日映画コンクール
・スポニチグランプリ新人賞 – 中条あやみ

作中は大半が瀬戸と内海という2人の主人公が河原で座って喋っているだけ・・・結果的にかなり攻めた映画となっています。ただ原作自体がそういった作品なので、漫画を読んだ事がある方は違和感なく観れると思いますし、逆に読んだ事がない方は新しい映画の楽しみ方を発見できるかもしれません。ちなみに撮影期間はなんと1週間・・・しかも台本の読み合わせも簡単に済ませリハ無しだったとの事。主演の池松壮亮と菅田将暉は初対面時に全然話さなかったそうですw

色々とかなり異色の作品と言えますね。

あらすじ

高校2年生の内海想と瀬戸小吉・・・彼らは放課後いつもの河原で座り、ダラダラと喋って過ごしていた。そんな2人を陰ながら見守る同級生の樫村一期、他にもヤンキーの鳴山先輩や謎のバルーンアーティスト、そして猫がたまに通り過ぎる中でも2人の会話は続く・・・。特に部活もせず遊びにも行かず、ただ座って喋るだけの青春の先には何があるのか。

キャスト、スタッフ

原作 – 此元和津也「セトウツミ」
監督・脚本 – 大森立嗣

内海想 – 池松壮亮
瀬戸小吉 – 菅田将暉

樫村一期 – 中条あやみ

おじさん – 鈴木卓爾
鳴山先輩 – 成田瑛基
堤 – 岡山天音
バルーンさん – 宇野祥平

W主演の2人以外はあまり出てきませんが、皆さんかなり味のある演技だったと思います。鈴木卓爾の表情たまらなかったですよw

※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。

 

 

感想

  • 原作よりもノンビリとしてる印象
  • 主演2人の演技力あってこそ
  • 丁度よい空気感と面白さ

たまに観たくなる中毒性

一応バディ映画になるのかな・・・w

クールで友達を作る気が無い内海は放課後に塾へ行くまでの暇つぶしの為に、そしてオバカでお調子者の瀬戸はサッカー部を辞めて暇になった。そんな2人が終始河原で至極どうでもよい会話をしているだけの75分。

かなり挑戦的な映画じゃないかと思う。

確かに原作通りの内容だし、画角とかも漫画をそのままトレースしたかのような感じなんだけど、よく実写化したものだ。そんなストーリーが皆無に等しい映画なんて面白いのか?と思う人もいるかもしれないねwこれが実に面白い。原作だともう少しスピーディーというか漫才的な印象を受けるけど、実写化した今作品はリアリティがかなり増していて「学生時代の会話や過ごし方って案外こんなものだよな~」なんてノスタルジーに浸ってしまったw

そもそも原作の漫画がすごい。読んだ事がある人ならわかると思うけど、これ毎回作者はどうやってこんな面白い小話を考えているんだと言いたくなる。細かい伏線の張り方や回収まで、それはまるで小気味よい落語を聞いてるかの様・・・

ずっと観ていたくなるシュールでシニカルな会話劇と映像だった。

菅田将暉&池松壮亮の演技力

猛者がひしめく若手俳優の中でも異彩を放つ2人。

どちらも主役、脇役なんでもござれ。もちろん今作品では会話が中核であることは間違いないけど、2人の目線なんかも秀逸だった。これ脚本があってセリフなんだよな・・・変な言い方になるけど、まるで瀬戸と内海のプライベートを映してるかのような自然な雰囲気は素晴らしかったね。

それと2人とも演技だけではなく声質もまた良いので、聞いていてストレスが無いというか・・・極端な事を言うと、たまに何て言ったか聞き逃しても正直どうでもよいというかw中身は教室内の端っこで昼休憩中に展開される学生の会話なので、マッタリ観ていられるのだ。監督含めスタッフ側も下手に誇張せず、ただ2人を見守るかのような・・・何もしないという演出がまた丁度よかった。

一応、作中ではタンゴ調の音楽がたまに流れるんだけど、これはラジオのジングルのような役割になっていて、基本的には車の走る音など生活音が鳴り響く中での他愛もない2人の会話を楽しむ作り・・・はっきり言って、これはかなり斬新な映画じゃないかと思う。

もし主演が菅田将暉池松壮亮の2人じゃなかったら?もっと演技が下手な人を使っていたら??そう考えるとゾッとする。はっきり言ってずる滑りしていた可能性が非常に高かったと思う。

2人とも色気があるのに、どこか可愛らしい男子高校生にちゃんと見えたし、素晴らしい演技と存在感だ。

原作を忠実に再現+適度な構成

今作品では下記の計8つのエピソードで構成されている。

  • 第1話「セトとウツミ」
  • 第2話「アメとムチ」
  • 第3話「イカクとギタイ」
  • 第0話「内海想の出会い」
  • 第4話「先祖と子孫」
  • 第5話「瀬戸小吉の憂鬱」
  • 第6話「出会いと別れ」
  • エピローグ「樫村一期の想い」

この映画は作中にはないエピソードをプロモーションとしてyoutubeに3つ公開してきた。原作は2017年12月号まで連載が続いたので映画化した段階ではもっと色々なエピソードを使えたはずだ。つまり大森立嗣監督が脚本の段階で引き算をしているわけだけど・・・この適度な構成は良かったね、もっと欲しくなってしまった。

ちなみに大森立嗣監督は今作品が初の漫画原作、撮影中はどうしてもカット割りが原作を意識しすぎる事があったからと途中で読むのをやめたそうだw実際に作品を観てみると原作を忠実に再現しているし、それでいてちゃんと映画的な楽しみ方が出来るようになっている。確かに前に進むストーリーは無いけど、登場人物達のバックグラウンドはしっかりと妄想できるのが素晴らしい。「この後に内海は塾に行っても誰とも話さず帰ってくるんだろうな・・・」とかねw

もし続編を作るなら、是非とも同じスタッフを招集してほしい。今度はどんな構成にするのかも1つの楽しみだ。

大森立嗣監督、原作は計8巻まで単行本があるから頼む!

評価、視聴方法

作中にはないエピソード

特報1「けん玉」

特報2「タイミング」

特報3「スタンディングオベーション」

上記の3つはプロモーションに使われた小話で映画の中では出てきません。ですが、どれか1つでもクスっときたら映画も楽しめる事間違いありません。終始このトーンですからご安心くださいw

「セトウツミ」の視聴方法

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ただ笑えるだけのほのぼのしたコメディって意外とないですよねwこの映画にハマる人はドラマの勇者ヨシヒコなんかが合うと思いますが、映画だと悩みますね・・・洋画なら帰ってきたMr.ダマー バカMAX!をオススメしますよ!ただただ笑えますw

では、良き映画の時間をお過ごしください。