とうとう実写化されましたね!
のぞき屋、殺し屋1、HIKARI-MANなど独特な作品を数多く生み出した山本英夫先生の漫画が原作。このカルト作品を呪怨の清水崇監督がメガホンをとり、綾野剛主演で実写映画化となりました。
漫画もリアルタイムで読んでましたが、ホムンクルスは色々と実写化が難しそうなシーンが満載ですから、どんな映画になっているのか楽しみにしながら映画館へ行ってきました。清水崇さんが監督となるとホラーテイストが強めなのかな?と勘ぐったりw
ちなみに製作・配給はエイベックス・ピクチャーズですが、映画館での上映は特別興行となっており2021年4月2日から先行公開された後はNetflixで独占配信となります。
[ジャンル]Netflix作品、サスペンス[作品時間]131分
[公開日]2021/4/2
もくじ
作品情報
予告動画
あらすじ
新宿西口の一流ホテルとホームレスが溢れる公園の狭間で車上生活を送るホームレス・名越進は、医学生・伊藤学に出会い、報酬70万円を条件に第六感が芽生えるというトレパネーションという頭蓋骨に穴を開ける手術を受けることになった。その手術以降、名越は右目を瞑って左目で人間を見ると、異様な形に見えるようになった。伊藤によると「他人の深層心理が、現実のようにイメージ化されて見えているのではないか」と言い、彼はその世界をホムンクルスと名付けた。そして、名越は様々な心の闇を抱える人達と交流していく。(引用:wikipedeia)
スタッフ・キャスト
[原作] 山本英夫
[監督] 清水崇
[脚本] 内藤瑛亮、松久育紀、清水崇
[音楽] ermhoi、江﨑文武
[主題歌] millennium parade「Trepanation」
[名越進] 綾野剛
[伊藤学] 成田凌
[謎の女] 岸井ゆきの
[女子高生1775] 石井杏奈
[組長] 内野聖陽
※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。
感想
ホムンクルス実写化は果たして成功だったのか?
個人的に是が非でも実写化してほしい作品を描く漫画家が3人いる。
一人目は既にいくつか映画、ドラマと実写化されている古谷実先生。映画ならヒメアノ~ルやヒミズなど。わにとかげぎすもドラマ化されたし、全て好きな作品だ。
二人目は徳弘正也先生。言わずと知れたジャングルの王者ターちゃんを生み出した大先生。僕が一番好きな漫画家なんだけど、どうにもエロとグロの要素が強すぎるのか、実写化してくれないw面白いんだけどなぁ・・・
そして三人目が今作品の山本英夫先生。三池崇史監督がメガホンをとった殺し屋1なんて本当に嬉しかったよ。観た人ならわかると思うけど、まあとにかく作風がエグい。そんな山本先生の作品の中でも群を抜いて尖った作品がホムンクルスだと思う。
まず言いたいのは、よく実写化してくれた!ありがとう!
大体、今作品を映画尺に再構成するのは相当大変だったと思うし、何よりも映像化するにはあまりにも高いハードルがある。それはトレパネーション後の名越に見える人間の姿・・・全身砂になった女子高生や、ロボットになったヤクザなど人外も人外。漫画では違和感なく読めたけど、実写映画では一歩間違えればクソ映画一直線・・・Z級コメディになってもおかしくない。
それがどうだ、清水崇監督はしっかりと実写化していたよ。
違和感なんて全くなかったし、見応え抜群のホムンクルスの世界には本当にゾクゾクさせてもらった。はっきり言って邦画の予算なんて期待していない。ハリウッドのB級映画の方が予算多いくらいなんだから。でもそんなの関係なかった。清水監督はちゃんと原作ファンも喜ばせてくれたと思う。
ただストーリーは正直厳しいものがあったと感じた。今作品は前半が原作をなぞった小話、後半からオリジナルのストーリーが走りクライマックスへ向かっていく。映画尺に再構成したから仕方ないと思うんだけど、その為に主人公・名越の設定と性格も若干変更されているんだよね。
結果、これが致命傷になっていたように思う。
なんていうか名越がトレパネーションを受ける動機に無理が出たというか・・・でも清水監督の努力は理解できるんだよね。原作通りの設定で突っ走ったら間違いなく2時間じゃ終わらないしw
悔しいけど実写化は成功と言えない自分がいる。それでも見応えがあったと言えるんだ。
綾野剛と成田凌のギラついた演技に驚嘆
なんて相性の良い2人なんだろう。
記憶喪失の男・名越を演じた綾野剛と、イカれた研修医・伊藤を演じた成田凌・・・いやぁ、凄まじい絵力だったよ。
原作でも相当エッヂの効いたキャラクター達だけど、2人はしっかり原作を世襲しつつ、さらに迫力と狂気を増幅させていたと感じた。もちろん脇を固めた他の役者も素晴らしかったけど、今作品は完全にこの2人が引っ張っていたと思う。
演技って僕みたいな素人が簡単にわかるようなものじゃないし、いつも上手いだの下手だの好き勝手言ってるのは本当に申し訳ないですw所詮は全て主観による好みが大きいと思ってるよ!ただ今作品は素人でも間違いなくわかった。痛烈に理解できた。
2人とも存在感が尋常じゃないのよ。
表情やら仕草やらセリフ回しだの言いたい事はいくらでもあるけど、何よりも良いと感じたのは声だ。2人とも全く違うキャラクターなのに、どちらも明確に違う狂気を帯びた素晴らしい声色だった。
綾野剛は前から活舌が微妙だと言われがちだけど、最近はそれさえも個性という名の武器にしてしまって、なんていうか松田優作を彷彿とさせる雰囲気を感じたよ。成田凌も少し前に主演したカツベン!とはまるで別人で、知らないで観たら気付かないレベル・・・本当にすごい2人だ。
役者の演技だけでも十分に見応えのある作品を観たのは久しぶりだった。
主題歌は誰?綾野剛との親和性が高すぎ!
King Gnuの常田大希さんが作ったクリエイティブ集団・millennium parade(ミレニアムパレード)というらしい。
ミュージシャンだけじゃなく映像ディレクター、CGクリエイター、デザイナー、イラストレーターなど様々なプロフェッショナルが集まってるんだって!
ちなみに主題歌「Trepanation」は今作品のオープニングで使われているから、公式がYoutubeにUPしている下の本編冒頭映像で聴く事ができるよ。(millennium parade公式Youtubeでも音源はUPされてたよ)
はっきり言って「映画の雰囲気に合ってた!」なんてもんじゃない。映画の舞台は新宿なのに、まるで異世界に迷い込んだかのように感じるほど。作中の音楽を手掛けたのはメンバーであるermhoiさんと江﨑文武さん。ミュージックビデオのようにかっこよく、雰囲気のある映像も相まって最高だった。
これぞまさに映画音楽。
ちなみにmillennium paradeは綾野剛さん主演の映画「ヤクザと家族」でも「FAMILIA」という主題歌を担当しており、こちらも素晴らしかった。綾野剛と相性が良いのかなwちなみに他にはNETFLIX作品の「攻殻機動隊 SAC_2045」でも主題歌を担当しており「Fly with me」という曲を提供している。
今後も映画業界から引っ張りだこになりそう・・・むしろお願いしたい。
今作品はストーリーに若干無理が生じていたように感じたのは確か。でも綾野剛、成田凌という2人の名役者が放つ存在感、そしてmillennium paradeの音楽だけでも十分にホムンクルスの世界を作り上げていたと思う。
良い雰囲気を持つ映画だった。
評価・まとめ
ホムンクルス実写化の最大の壁
観る前は人外のキャラクター達の映像化が一番の壁になると思ってたけど、観終わってみると確かにストーリーの方が遥かに高い壁だったのかもしれません。
ただ終始ダークでどんよりとしているのに、どこか魅力的な雰囲気が漂う映画だったのは間違いないです。感想パートにも書きましたが、後半のオリジナルストーリーがもう少しハマればもっと大きな余韻があったんじゃないかなと思います。
それにしてもこんなイカれた漫画を本当によく実写化してくれましたw久しぶりに漫画も読み直してみようかな。ちなみにエンドロール後は原作ファンへのサービスがあるので見逃さないようにご注意くださいね!
では、良き映画の時間をお過ごしください。
(C)2021 山本英夫・小学館/エイベックス・ピクチャーズ
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