クエンティン・タランティーノ監督の3作目となるクライム映画。
今作品を撮った時のタランティーノはまだ33,4歳・・・正直信じられません。30代前半でこんなに渋くて素敵な映画を作り上げたなんて、唖然とする才能ですよね!
初作品レザボア・ドッグスからのパルプ・フィクションという立て続けの傑作を出した時点で、もちろん只者ではないんですけど、その次の3作目でこんな名作を出してくるんですからね・・・本当に素晴らしい映画監督だと思います。
げのちゃん
[作品時間]154分
[公開日]米:1997/12/25|日:1998/4/25
- キャスト情報が知りたい!
- どんな映画なのか知りたい!
- 視聴方法を知りたい!
もくじ
作品情報
全体的に満足度が高めのようです。別に壮大な世界観ではありませんし、ただの小悪党たちによる犯罪ドラマのはずなんですが・・・今作品は観終わった後に映画ならではの上質な後味の良さがありますよねw
受賞歴
- 助演男優賞 – ロバート・フォスター
- 主演女優賞 – パム・グリア
- 主演男優賞 – サミュエル・L・ジャクソン
- 第48回ベルリン国際映画祭銀熊賞/男優賞 – サミュエル・L・ジャクソン
- カンザスシティ映画批評家協会賞/助演男優賞 – ロバート・フォスター
- サンディエゴ映画批評家協会賞/主演女優賞 – パム・グリア
エイガスキー
あらすじ
メキシコの航空会社でスチュワーデスをしながら、生活苦から武器商人オデールの運び屋もやっていたジャッキー・ブラウン・・・ある日、彼女は逮捕されてしまう。しかしFBI捜査官のレイからオデールの逮捕に協力するよう取引を持ち掛けられた事をキッカケに、保釈業者のマックスと協力してオデールの全財産を奪い取る事を企てる・・・。一攫千金を狙った中年の2人の計画は果たしてうまくいくのか?
スタッフ・キャスト
[原作] エルモア・レナード「ラム・パンチ」
[監督・脚本] クエンティン・タランティーノ
[撮影] ギレルモ・ナヴァロ
[編集] サリー・メンケ
[ジャッキー・ブラウン] パム・グリア
[オデール・ロビー] サミュエル・L・ジャクソン
[マックス・チェリー] ロバート・フォスター
[ルイス・ガーラ] ロバート・デ・ニーロ
[メラニー・ラルストン] ブリジット・フォンダ
[レイ・ニコレット] マイケル・キートン
[マーク・ダーガス] マイケル・ボーウェン
[ボーマン・リヴィングストン] クリス・タッカー
[ウィンストン] トミー・タイニー・リスター・Jr.
げのちゃん
※ここからは若干ネタバレがあるのでご注意ください。
感想
- タラ式ブラックスプロイテーション
- ロバート・フォスターがエモすぎ!
- 登場人物が全員光り輝く映画
タランティーノはパム・グリアの大ファン?
今作品の原作「ラム・パンチ」は、元々白人が主人公である。
それをタランティーノ監督がブラックスプロイテーション映画の大人気女優パム・グリアを抜擢して改変したのだ。
げのちゃん
ブラックスプロイテーション映画とは?
70年初頭に生まれた黒人をかっこよく描いている映画。もちろん主役は黒人で、作中はブラックミュージックが流れたり、白人キャラクターは雑に扱われたりする。色々とぶっ飛んだ作品が多いが、まさかの黒人地位向上を目指す団体からの反対を受けて、70年代の終わりには姿を消してしまったジャンル。
簡単に言えば黒人による黒人の為のB級映画と思えばいい。タランティーノは幼少の頃に観た映画でパム・グリアの大ファンだったそうで、オフィスにはパム・グリアの映画ポスターをたくさん張っていたそうだwつまり今作品は、タランティーノ監督によるブラックスプロイテーション映画をオマージュした作品なのだ。
こうしたタランティーノ監督の映画への愛情や遊び心、何よりも類まれなセンスにはいつも心を掴まれてしまう。素晴らしい映画人だと思う。
ちなみに主役のパム・グリア以外だと、サミュエル・L・ジャクソンやクリス・タッカーなどクセのある黒人俳優が出てきて、実に楽しいクライム映画に仕上がっている。しかし今作品は、ただのブラックスプロイテーション映画ではない・・・何故なら白人俳優の皆さんもまた一癖も二癖もある渋い方々が揃っているからだ。
特にロバート・フォスターは非常に良かったよ。エモすぎるんだよね、この人。
落ちぶれた名優ロバート・フォスター
2019年10月11日に他界してしまった偉大な俳優ロバート・フォスター。
今作品は中年になってしまい、どうにもならない人生を歩むジャッキー・ブラウンをパム・グリアが演じ、その相棒として同じく中年の孤独な人生を歩む保釈業者マックスをロバート・フォスターが演じた。
エイガスキー
何がエモいって昔大人気だったパム・グリアとロバート・フォスター・・・実はこの時、既に売れっ子とは言えない状況だった2人が、この中年男女を演じているからグッときてしまう。それに今作品は主演としてパム・グリアとサミュエル・L・ジャクソンがクレジットされているけど、実質の主人公は間違いなくジャッキーとマックスだしね。
タランティーノ監督は「彼らにもう1度スポットライトを当ててあげたかったわけじゃない」と言ってたけど絶対にそんな事ない。パルプ・フィクションでもトラボルタをもう1度スターにしたように、この2人もまた今作品をキッカケにオファーが増えていったんだからね。
こうしたメタな見方はどうなんだ?という意見もあるだろうけど、この大抜擢からはタランティーノの愛を感じてしまうし、2人とも期待に応えて素晴らしい個性を放ったのは、やっぱりエモい。
ちなみにロバート・フォスターが亡くなった時に、タランティーノ監督はこのようなメッセージを残したそうだよ。
「世界は1人の紳士を失った」「正直者、良心に溢れた人、良き父親、素晴らしい役者を失った。彼とシルバースプーンで食べた朝食を全部覚えている。僕たちが話したこと、優しい言葉、サポートすべて。『ジャッキー・ブラウン』に彼を起用したことは僕の人生における最高の選択のひとつだった」
ロバート・フォスターが演じたマックスがラストに見せる表情と目線は、まさにエモーショナルな感情を表現していて絶品の演技だったよ。
全キャラクターが光った絶妙なバランス
パム・グリアとロバート・フォスター以外も素晴らしいキャスティングだった。
脂がのった無双時代のロバート・デ・ニーロにあんな小悪党をやらせたり、マザファカおじさんことサミュエル・L・ジャクソンのキレッキレな怖さ、そしてしっかりと無味無臭な脇役を好演したバットマンことマイケル・キートンw
今でもそうだけど、やっぱりタランティーノは手が付けられないね。
レザボア・ドッグス、パルプ・フィクションと立て続けに映画界を激震させて、世間の期待値が最高潮の状態だったにも関わらず、今作品でこんな渋すぎるキャスティングを提示してきたわけで・・・やっぱりどうしてイカれていらっしゃる。
エイガスキー
げのちゃん
ブリジット・フォンダの雑なエロと丁度良いウザさも素晴らしく、今作品は全員がしっかりとチープな小悪党になっていた。観た人に「誰が一番印象に残った?」と聞いたら、1人選ぶのにかなり時間がかかっちゃうんじゃないかな。僕なら迷ってしまう・・・wというか全員すごかったんだよね。
絶妙なキャスティングと終始漂う丁度よいB級感、その上で展開される素晴らしいストーリーとセリフ回し・・・目立たないけど、映画好きの琴線を刺激してくるいぶし銀の名作だ。
やっぱりタランティーノ監督は良いわ。
評価・視聴方法
タランティーノ映画はどれも名作揃い!
個人的にかなり好きな映画ですね。マッタリ進行していく映画なのでテンポが苦手な人もいるかもしれませんが、今作品にが気に入った人はタランティーノ作品を全て楽しめると思いますw
ハズレがない素晴らしい映画監督ですので、良ければ他作品もチェックしてみてはいかがでしょうか?
「ジャッキー・ブラウン」の視聴方法
(※2020/5/15調べ)
げのちゃん
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げのちゃん
エイガスキー
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